物語のテーマは「目的」と「問題」で見つける


物語を添削する時、よく相談される悩みがあります。それは「全体的にぼんやりとしてしまい、何の話をしているのかがよくわからなくなる」というものです。

そんな時、私は作者の方に「主人公が解決すべき『問題』は何か?」と質問します。

そして続けて「この物語における主人公の『目的』は何か?」と聞きます。

すると多くの場合、その二つの回答が重なるのです。違いを見つけられずに混乱してしまうと言ってもいいでしょう。

自分の作品では分かりづらいのかもしれません。そこで例えば、おとぎ話「桃太郎」をサンプルにして同じ質問をします。

Q:桃太郎が解決すべき問題は何でしょうか?
すると、最も多い回答は「鬼退治」です。

しかし、
Q:では、桃太郎の目的は?
続けてこう問われると、やはり「鬼退治」と答える方が多いのです。

つまり、「ぼんやりとした話を書いている人」は、達成すべき『目的』と解決すべき『問題』がごっちゃになっているのです。

そうなると、主人公が何をすればいいのかが見えなくなり、テーマ性が消失します。

「鬼退治」が目的で、そのために「鬼退治」をするのであれば、鬼の殺戮シーンだけの話になってしまいかねません。それはストーリーではなくスケッチです。

理論的に考えれば、桃太郎が解決すべきなのは「鬼の脅威をいかに取り除くか?」という問題であり、達成すべきは「村に平穏な日常を取り戻す」という目的です。

そんなに難しいことではありません。ほんのちょっとだけ深く考えれば分かるはずです。

しかし、ここでバタバタと先に進んでしまう人があまりにも多いのです。そのためにこの最も重要な決め事をしないまま話を作り始めてしまうのです。

落ち着いて、まずはこの二つをしっかりと決めてしまいましょう。

目的と問題は次のように一文につなげると、その相関関係がスッキリと分かりやすくなります。

▼桃太郎は村に平穏な日常を取り戻すために鬼の脅威をいかに取り除くか?

目的と問題。これこそが物語のテーマです。

桃太郎の「鬼退治」はそのための手段であり、選択肢の一つにすぎないのです。

これで主人公の進む道や行動の判断基準が定まるとともに、作者の考えるべきことが明確に見えてきました。

テーマを絞り込むということは、実は作者の選択の範囲がぐんと広がるということでもあります。

結果的に、村に平穏を取り戻し、鬼の襲撃を阻止できればテーマは守られるわけです。

鬼退治という言葉から連想されるような、鬼を殺したり、殲滅したりするシーンを描く必要はありません。

上述のテーマを満足させられるのであれば、桃太郎が鬼と和解することも可能なのです。

そこに作者のオリジナリティーが発生します。

桃太郎は鬼を殺すという限定された役割を背負わされたヒーローに留まらない可能性をはらんでいるわけです。

何の話をしているのか分からなくなってしまう人は、何とか物語を進行させる適正な基準を見つけようとして、ありきたりの話を書いてしまう傾向が強いように感じます。

いわゆる世間的に認知されやすい、よくある展開パターンにすがってしまうのです。

「鬼退治」といえば「鬼を殺戮する」場面に直結してしまうのです。そこには想像の余地が残っていません。

それではオリジナリティーを喪失してしまいます。

まずは『目的』と『問題』の違いをはっきりと確認しましょう。そうすれば、あなたの物語のテーマが明らかになります。

それでは忘れないうちにさっそく確認しましょう。

▼民話「ジャックと豆の木」

【あらすじ】
幼い頃に父親を雲の上からやって来た巨人に食べられ、大切な金の卵を生む雌鳥やおしゃべりハープを奪われて没落してしまった家。その家の惣領息子ジャックは母親に言われて貴重な牝牛を市場へと売りに行く。しかし、途中で会った男の豆と牛を交換してしまう。家に帰ると怒った母親により豆を庭に捨てられるが、次の朝にその豆は巨木へと成長していた。ジャックは豆の木を登り雲の上にある巨人の城にたどりつく。ジャックを見た巨人の妻は夫は人食い鬼なので早く逃げるように言うが、ちょうど巨人が帰ってきてしまう。巨人の妻はジャックを隠すが、巨人は人間の匂いがすると言う。巨人が寝た後、ジャックは金の卵を産む鶏を奪って家に戻る。その後、ジャックはまた豆の木を登り金と銀の入った袋を奪う。しかし、ハープを持っていこうとした時にハープが喋り出し巨人は起きてしまう。急いで地上に戻ったジャックは豆の木を斧で切り、追って来ていた巨人は落ちて死んでしまう。裕福になったジャックと母親は幸せに暮らす。

【質問】
ジャックの達成したい目的と、解決すべき問題を述べてください。

★果たしてあなたは正解できるでしょうか?
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