物語リセット

新シーズンへの開幕切符~物語のリセット&リスタート

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長期連載を狙うのであれば、次のシーズンにつなげるための伏線を張っておく必要がある。物語をアップグレードした際、論理的に破綻しないために、一段階大きな枠組で入念に準備をしておこう。

こんなご質問をいただきました。

長期連載の漫画など見ていて、たまに伏線の回収ができずにぐだぐだになるときがありますよね。出版社からの要望で人気のものは終わらせてくれないのも現状ですし、次々と展開していくうちにスケールが大きくなりすぎるというパターン。急に一本筋の通った道に新たなストーリーと付け加える、となったときはどのようにストーリーを展開すると前回よりも面白く深く、ちゃんとした筋道を立てることができるのでしょうか。

新しい登場人物を出し古い人物を消す

ストーリーラインは登場人物に付随するので、新しいストーリーを付け加えるためには、メンバーを入れ替えるか、あるいは「ゲスト」という形で発想するといいでしょう。

さて、ご質問はさらに続きます。

メインプロットはそのまま目的に突っ走り、その中で細かく区切って、その区切りごとに伏線とどんでん返しを繰り返していけばいいのではないかと素人考えをしているのですが・・・・;これは正しい考え方なのでしょうか。そして、もし目的を達成してしまった後に、さらなる新しいストーリーをつなげてほしいとなった場合は何を注意し、どのように作っていけばいいのでしょうか。

目的はリセットし、新敵は「少年ジャンプ」式のどんでん返しで投入

こういう長期連載スタイルには独特のつなぎ方があります。目的を達成したらそのエピソードは終わりますので、次の目的を発見しなければシリーズは継続できません。

「リセット」と「リスタート」が必要なのです。

目的のリセットといえば、集めると願いをかなえてまた飛び散ってしまう、あの「ドラゴンボール」の仕掛けが思い浮かびます。

「所有者はどんな夢でも一つだけ実現出来るが、再入手には苦労する」

こういうアイテムがあれば何度でも目的を再設定できますね。また他にも「少年ジャンプ」が誇るメガヒット作品には……

敵を打倒 → 友達になる → その上部組織が新たな敵として登場

――という黄金パターンが繰り返されていることは有名です。

最大の目的を達成しないままにしておいてこの「繰り返しどんでん」を使うには、ちょっと考えただけでも……

◆当面の敵が、より大きな敵の支配下にあること
◆敵がその上部組織によって非人道的な命令を受けていること
◆主人公が倒した敵を感動させること

――などの前提条件をあらかじめ用意しておかねばなりません。つまり、長期連載のための大きな型を作っておくことが大事なのです。新キャラが出てくるたびにこれらの伏線を張っておくことで、目的を達成したら次の展開に支障なく移行できるようになります。

また、新シーズンでいったん引っ込めた旧キャラを「復活」させ、前シーズンでは語られていなかった真実を暴露させるという技もあります。この場合には「お、お前はあの時に死んだはずでは!?」みたいな『ないある型どんでん返し』を使うと効果的でしょう。

※『ないある型どんでん返し』の参考ページ

どんでん返しはどこにある?
補足:「あるない型」のどんでん返しについて

具体例は、それこそヒット作品に豊富に提示されておりますので、とくに「新章開始」の回を中心に注意深く読んでみてください。

先人の名作の構造を読み解くことは、お宝だらけの洞窟に足を踏み入れるようなものであります。自分の疑問点を明確にした上で何度も何度も読み返して、徹底的に分析することをお勧めします。

もちろん「ただ読むだけ」では絶対に分かりません。ストーリーの流れを詳細にノートに書き起こすこと。そして、伏線を拾い出しては結果との関連を明らかにすること。

とくに大事なのは、自分がどこに「感動」したのかを具体的に把握すること。

最終的には、その仕組みを他人に解説できるように原理を抽出し、自分の作品に当てはめてその「感動」を再現してみることが重要です。

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。