物語をドラマチックにする要素

物語をさらにドラマチックに深める2つの実例

ぴこ蔵ニュースレター

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~『生成AI時代のストーリーテリング』

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ブンコ
「主人公が他の登場人物と対立することで物語がドラマチックになることは分かったよ。じゃあそろそろどんでん返しの作り方を教えてくれるよね?」

ぴこ蔵
「まだまだ! もっともっとドラマチックを掘り下げてみよう。お次のテーマは『ストーリーの基本形』! まあ、ストーリーのパターンと言っても相当あるし、その作り方に到っては星の数じゃ。決して誤解して欲しくないのじゃが、わしは、唯一絶対のストーリー製作法を教えるわけではないぞ。

そんなことはあり得ない! 不可能じゃ! ただ、最低限これさえ知っておれば、少なくともお主のストーリーが途中で道に迷うことはない。……という非常に実戦向けに簡略化した方法を伝授しようと思う。

この方法を用いて、とにかくひとつでもいい、ストーリーのあらすじを最後まで作って欲しいのじゃ!  一つ出来たらもう一つ。これを何度も繰り返すことによって、創作の要点が掴める。何事も経験、そして反復練習じゃ!

アタマで考えてテクニックを選んでおるようではまだまだ。無意識にさまざまな技法を繰り出せるようになるまでとにかくあらすじを作りまくることじゃ! 1日1あらすじ! これが目標じゃ!

説明のために、あらすじの実例を2つ用意してある。それでは、よくある失敗例として、まずは実例(1)を読んでもらおうかの。


★★実例(1)

パチンコ台には巨大な龍が描かれていた。その両眼は主人公をにらみつけている。主人公は今日も朝から暇つぶしにパチンコ屋で玉をはじいている。

いくつになっても定職につかないことに腹を立てて自分を勘当した亡き父も、会社の帰りによくこのパチンコ屋に通っていたことを思い出す。腹が減ったのでパチンコを中断し、近所の立ち食いそば屋でたぬきそばを食べていると、誰かに肩を叩かれた。振り向けば兄が立っていた。やはり暇そうである。仕事は休みかと問いかけると、兄はうなずいてそばをすすった。

主人公は兄とパチンコ屋に戻って新しい台を探す。隣同士に座って顔見知りの男の噂話をした。その男は親が急死して家業の米屋を引き継いだのだ、と主人公が言った。「米屋もあれだけどコンビニ経営もいいよな」兄は言う。「実はリストラされちゃってさ。一緒にコンビニやるか?」

突然の兄の申し出に主人公はどう答えてよいかわからない。相変わらず玉も出ない。最後の玉が無くなった時、昔、亡き父がよく歌っていた歌が店内に流れた。

その瞬間、今は亡き父の思い出とともに一つの言葉が主人公の脳裏に甦った。「兄貴を見習って就職しろ」主人公はタバコが吸いたくなる。しばらく止めていたタバコを兄からもらって火をつける。どうってことはない、またひとつ禁煙が終わっただけだ、と思う。パチンコ台の龍は主人公を叱るかのようににらみつけている。

主人公は「別に何でもいいけどな、俺の方は」と呟いた。


ぴこ蔵
「どうじゃな? ↑の例は?」

ブンコ
「うっわ~。やる気ないっつーか退屈っつーか本当に何も変わんないなー。でも、よく見かけるんだよよねー、こんな感じのハナシ」

ぴこ蔵
「パチンコしてそば食ってタバコ吸っただけじゃからなあ」

ブンコ
「『俺、小説書いたんだけど、読んでくれない?』とか言ってこういうの読ませられたことあるんだけどさー。悪いけど正直たまんなかったっす。こんな話を聞いても「ドラマチックねえ」とは思わないよねー」

ぴこ蔵
「つまり、誰とも対立しないこんな話にはドラマがないんじゃ。これではいつまでたっても物語が動き出さん。寝たきりじゃ」

ドラマチックにする要素

ブンコ
「ほんじゃーさー、どんな話ならドラマがあるの?」

ぴこ蔵
「パチンコの話が出たんで、これを素材に使ってみるか。こんなストーリーならどうかな?


★★実例(2)

パチンコ台には巨大な龍が描かれていた。その両眼は主人公をにらみつけている。

『この台を攻略した者に全財産を遺す』という遺言に従って自分を勘当した亡き父が遺したパチンコ台に立ち向かう主人公。

固唾を飲む一族郎党の前で公開勝負をする日の直前、主人公は暴漢に襲われ手首を負傷する。

激痛に耐える主人公の前に現れたのは、最大のライバルである実の兄だった。兄は主人公と父親の確執を暴き、お前にパチンコをする権利はないと言う。思わず感情的になった主人公は「たった10発の持ち玉で勝負する」という過酷なルールを呑んでしまう。

勝負が始まり、傷はうずき、玉は減ってゆく。あと4発、3発。

痛む手にラスト2発の玉を握りしめた時、昔、亡き父がよく歌っていた歌が店内に流れた。

その瞬間、今は亡き父の思い出とともに一つの言葉が主人公の脳裏に甦った。「画竜点睛」。

パチンコ台に描かれた巨大な龍。撃つ者をにらみつけるその両眼。

「そうか!わかったぞ!親父!」主人公は最後の気力を振り絞り、痛む手首を極限まで回す。そして2発の玉が目にも留まらぬ速さで一気に打ち出された!


ぴこ蔵
「どうじゃな? ↑の例は? 急ごしらえなんで設定がいい加減なのは大目に見てくれ。ビッグ錠&牛次郎みたいでいい感じじゃろ?(笑)」

ブンコ
「少年漫画のオールドファンならうなずいてくれるかもよ。でも確かに、前の話に比べると、少しドラマチックな雰囲気になったよねー。なぜ?」

ぴこ蔵
「そこじゃ! そこが秘伝のテクニックじゃ! 誰もが簡単に作れる『物語のエンジン』があるのじゃ!」

ブンコ
「えっ? すると師匠、ストーリーをドラマチックにするための特効薬みたいなものがあるということすか?」

ぴこ蔵
「その通り! いいか、よく聞くのじゃぞ。物語を前に進めるには、2つの設定をする必要がある。それは『目的』と『障害物』なのじゃ!」

 

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