タグ別アーカイブ: どんでん返し

満月の夜に狼男を駆使して読者をあっと驚かせるには(笑)

あなたの作った物語をエンターテインメントとして評価されたければ「読者をあっと驚かせる」ことが不可欠。そのための効果的な方法論の一つが『どんでん返し』という技術である。

もしもあなたの作る物語が、それを読んだ誰かに「陳腐だ」「よくある展開だ」「退屈極まりない」「だからお前は」「そもそもお前って奴は」などと血も涙もない酷評を浴びたとしたら……。

あなたが物書きを標榜する以上、そいつの頸動脈を絞めあげる前に、急いで物語に『どんでん返し』を組み込むべきです。そしてその腰を抜かさせてやるのです。怒りこそは力の源泉であります。腹立たしい批評を喰らったら、反省なんかしないで怒りに燃えればいいのです。そして次はそんな批評を絶対にさせないような圧倒的に面白い作品を書いてみせましょう。
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「主人公のどんでん返し」ってあり得るの?


こんなご質問をいただきました。

「主人公が死んだと思っていたら、生きていた」というのは、どんでん返しタイプで言うとどこに属するものでしょうか? 敵が死んだと思っていたら生きていた、というパターンの亜種ということでしょうか? それとも、どんでん返しにはならないのでしょうか? (PN 水戸のご老公)

ぴこ蔵です
素晴らしい! いい質問ですねえ! さすがはご老公様じゃ、ありがとうございます。まず結論から申し上げますと「主人公は死んだと思ったら、実は生きていた」というパターンでは、「どんでん返し」にはなりません。

もちろん、ストーリーの分析には「これが正解!」というものはありませんので「主人公のどんでん返し」という分類も条件次第ではあり得るのかもしれません。

しかし、ぴこ蔵流には「どんでん返しから物語を作っていく」という独特の枠組があります。ぴこ蔵流の物語創作術における「どんでん返し」とはストーリー全体の構造を決定付ける「扇の要」なのです。

そんなぴこ蔵流の手順に沿って創作しようとすると「主人公が死んだと思っていたら、実は生きていた」という仕掛けにはどんでん返しのタイプとしては奨励しづらい理由があります。

なぜでしょうか?

「敵のどんでん返し」においては、基本的にここからクライマックスが始まり、ここで回収することを前提に伏線が敷かれます。(「目的のどんでん返し」では少しタイミングがずれます)

どんでん返しは、オープニングにもエンディングにも強い影響を与えるターニングポイントなのです。

そんなぴこ蔵流の手順に沿って創作しようとすると実例の仕掛けを「どんでん返し」であると認定するにはなかなか難しいものがあります。

その理由が2つありますので説明していきましょう。




どんでん返しにならない理由その1

その理由の一つは、どんでん返しが成立したその瞬間、ストーリー上では新たな問題が発生しなければならないということです。

どんでん返しが発動した時、信じていた世界の枠組ががらがらと崩れ落ち、そこまでの流れとは全く異なる展開が始まるのです。

突然、死んだと思い込んでいた怪盗が姿を現したら名探偵はとにかく気を取り直してそいつを捕まえなければならないわけです。必死に探していた目的物が実は存在しなかったことが分かったら探していた人は、これからどうするかを早急に考えなければなりません。

新たな問題の発生。だから読者もパニックに襲われるわけです。とんでもない展開に焦ってしまうわけです。こうやって枠組を破壊し、新たな危機が訪れることによってクライマックスの幕をドラマティックに引き開けるのもどんでん返しの重要な役割の一つなのです。

ところが、「主人公が死んだと思っていたら生きていた」ということになるとそこまでは概ねいい感じで(笑)危機が世界を覆っていたのに、一気に逆転楽勝ムードに支配されてしまいますよね。

その後の展開が「これで主人公が勝てる!」というイケイケモードに突入してしまうわけです。つまり……

クライマックスシーン、悪事の達成を前にして喜ぶ悪党。しかし、その時、死んだはずの主人公が現れた!

「お、お前は死んだはずでは……」
「馬鹿め! 悪事を粉砕するために、俺は地獄から蘇ってきたのだ」

……と、いう感じの流れになります。

主人公が死んでいなかったことによって一番びっくりするのは「敵」である対立者であります。で、問題はこの後です。たいてい、生きていた主人公の活躍により悪は滅び、問題は無事に解決されるわけです。

このように、主人公の目的達成の障害になっていた問題が解決される場合、そのどんでん返しは「敵どんでん」の亜種でも「目的どんでん」の亜種でもありません。

分かりやすくするためにあえて名前をつけるとすれば、主人公の「切り札」ということになります。切り札」とは物語のクライマックスにおいて主人公が問題を解決するための方法です。

たとえば、主人公が何かのトリックを用いることにより、「主人公は死んでしまった」と敵を油断させておいて倒すわけです。

『主人公が死んだと思っていたら生きていた』という、形としてはどんでん返しに良く似ている仕掛けですが、「切り札」の機能や目的は大きく違います。

「どんでん返し」が難題を発生させることを目的とするのに対して「切り札」は問題解決を目的とするからです。

主人公の生還が「問題解決」を促すケースが多いことを考えると、『主人公が死んだと思ったら、実は生きていた』という仕掛けは主人公にピンチをもたらす「どんでん返し」としては用いにくい、ということが言えると思います。




どんでん返しにならない理由その2

もう一つの問題は読者の心理的な抵抗です。

「主人公が死んだ」という前提を読者の心情に即して考えた場合、どんでん返しとして成立させるためにはあまり効き目があるとは言えません。

なぜなら、「主人公の死」というトリックを読者が完全には信じないからです。そもそも読者は、常に、主人公が死なないことを前提に読んでいます。本当に死んだ場合でも最後の最後まで疑っています。せっかく感情移入した(つまり愛している)主人公の死をなかなか受け入れてくれないのです。「絶対生き返ってくれるはず」と思っています。

名探偵シャーロック・ホームズは宿敵モリアーティ教授と格闘した挙句滝に落ちて死んでしまったということになっているわけですが、これをよしとするシャーロッキアンは世界中に一人もいないと思います。

「ホームズが死ぬわけがない」のであります。一時的に行方不明になっているだけで必ずまた登場すると信じているのです。愛読者と言うのはそういうものです。あしたのジョーは死んだのではありません。「燃え尽きて灰になった」のです。ですから、ライバル力石徹のお葬式は盛大に開かれましたがジョーの葬式は行われていません。

人気のある歴史的ヒーロー、例えば、源義経や坂本竜馬もののドラマをやる時は「彼らを殺さないでくれ」というメッセージが日本中から届くほどであります。

読者は主人公の死を望みません。したがって、死んだと言われる主人公が「実は死んでいなかった」というどんでん返しを発動したところで読者を驚かせる効果は薄いものになります。「ほらやっぱり」という事になってしまうからです。

読者はそうなることを信じて待っていたわけですからある意味で当然の展開にすぎないのです。自分を投影し感情移入している読者はなかなか主人公の死を受け入れないのであります。

主人公が生き返った時点で読者は喜んではくれるが、あまり驚きはしないわけです。なぜなら読者は、そもそも前提である主人公の死を全く受け入れていないからです。むしろ常に主人公が生き返ってくることを望み、心のどこかでそれを待っているのです。これでは「衝撃のどんでん返し」とはなりませんね。



結論でございます

ぐだぐだいろんなこと書きすぎたので本論だけもう一度、整理しておきましょう。

Q:「主人公のどんでん返し」はどんでん返し足りうるのか?

A:以下の理由から、基本的に私は「どんでん返しのパターン」としてはお勧めしません。

どんでん返しの成立要件は以下の通り

(1)どんでん返しはクライマックスの直前に起きる
(2)枠組みを壊し、新たな次元の問題を提示する。
(3)クライマックスに導入する。

まとめますと、このどんでん返しが成立するには、主人公が生きていたことによって枠組みが壊れ新たな問題がが発生するかどうか、が大きなポイントです。

しかし、大体の場合「主人公が生きていた」という状況は、そのことによって敵をやっつけるなど問題解決のために使われることが多いため、むしろこれは「切り札」であると言えるでしょう。

また、これが物語の最後に来れば「意外な結末」となります。どんでん返しではありません。




主人公とは何か? という定義も大事

例えばトマス・ハリスの小説「レッド・ドラゴン」の中心人物はまぎれもなくレッド・ドラゴンですが、主人公というのは、読者と立場を同じにして同じ謎を解明し、同じ問題を解決していこうという方向性を持っている存在なわけです。

ところがレッド・ドラゴンは謎を撒き散らし、問題を発生させるばかりです。

したがって、レッド・ドラゴンは主役ではあるが主人公ではないと言えるのです。

読者がストーリーの中である問題を追いかける上で、同じ運命を感じ自己を投影し、物語に身を任せるためのガイドが主人公です。「主人公が死ぬ」というトリックを使う場合、その間は主人公の視点は消失するので、主人公の一人称だけでは絶対に語れません。

主人公の視点が消えた瞬間に物語が終わるわけですから。

そんな時はホームズに対するワトソンのように語り手を設定して、主人公の視点が消失しても大丈夫なようにするわけです。

この高く厚い壁に果敢に挑戦するのはすばらしいことだと思います。トリックのひとつとしてこういうスタイルはあるのでしょうが、ただ、作り手側から見た場合はなかなかむずかしいのであります。

そんな理由で「主人公が死んでいると思ったら生きていた」は、汎用的などんでん返しのタイプとしては積極的に勧めにくいと言えます。




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『どんでん返し』と『意外な結末』の違い

ブンコ
「突然なんだけどさ、師匠」

ぴこ蔵
「なんじゃらほい?」

ブンコ
「そもそもどんでん返しってどんなもの? いや、そりゃなんとなく大雑把には分かってるつもりなんだけど、いまいちピンと来ないんだよね~」

ぴこ蔵
「むむ。それはマズイなー。どの部分がどんでん返しなのかがきっちり見抜けないことには、いつまでたっても正確に技を使いこなせないのじゃ」

ブンコ
「だからもっとこう具体的にさ、これがどんでん返しだっていうのを教えてくれないと、自分はどんでん返しだと思い込んでいても『意外な結末』だとか『オチ』だとか言われちゃうとさ、自信がなくなっちゃう」

ぴこ蔵
「ならば簡単な見分け方を一つ教えておこう。『どんでん返し』はクライマックスの直前に起こって、物語を一気に盛り上げる号砲となる!」

ブンコ
「号砲って何だ? 警報みたいなもん?」

ぴこ蔵
「大砲とか銅鑼の音とか法螺貝とかサイレンみたいなもんじゃな。これからコトが始まりますぞー、というお知らせじゃな」

ブンコ
「そっかー、どんでん返しの後にクライマックスに突入するのか……」

ぴこ蔵
「例えば、ある事件でどんでん返しが起こり、真犯人の正体が明らかになるとしよう。すると真犯人は高笑いしてこう言う。

『ワッハッハー、よく気がついたな! その通り、私が真犯人・怪盗手品師ピコピーコであーる! しかし、ちょっとばかし遅かったようだな。これを見たまえ、君たちの大切なダイヤモンドは先ほど私がすりかえておいたのだ!』

 さあ、どうする名探偵ブンコ!」

ブンコ
「チクショー! 待てーッ、大泥棒! アタシのダイヤを返せ!」




ぴこ蔵
「そして物語はクライマックスに突入するのじゃ!」

ブンコ
「なるほど、『どんでん返し』はクライマックスの始まりなわけだね」

ぴこ蔵
「それに対して『意外な結末』は、そのクライマックスの大問題が最終的に解決される場面のことじゃ」

ブンコ
「ってことはつまり、さっきの泥棒手品師の話で言うと……」

ぴこ蔵
「……その時、名探偵ブンコはとっさに壁の隠しボタンを押した! すると怪盗手品師ピコピーコの足元が音を立てて崩れ、大きな穴が開いた! あわれピコピーコはその穴に真っ逆さま。床下はるかの荒海へと落ちていったのである」

ブンコ
「しまった! アタシのダイヤが……」

ぴこ蔵
「……ところがぎっちょん、落ちていく怪盗手品師のポケットから一羽のハトが飛び出した。ハトは羽ばたくとぐんぐん上昇し、ブンコの肩に止まった。するとそのクチバシには、なんとあのダイヤモンドがしっかりとくわえられていたのだった」

ブンコ
「ああっ、お前はアタシが幼いころ飼っていた伝書鳩のクーポ!」

ぴこ蔵
「そして名探偵とお手柄の伝書鳩は、いつまでもうっとりと輝く宝石を見つめるのであった。めでたしめでたし」

ブンコ
「くわ~っ! これが『意外な結末』かーっ!」

ぴこ蔵
「もちろんこの鳩と名探偵の関係を語るエピソードは出来るだけ序盤の段階で描いておかねばならない。しかも、いったんそのことを読者に忘れさせておくような工夫も必要じゃ」

ブンコ
「『どんでん返し』と『意外な結末』の違いはなんとなくわかったよ。それじゃ『オチ』はどうなるの?」

ぴこ蔵
『オチ』というのはじゃな、『どんでん返し』と『意外な結末』がいっぺんに起こることをいう

ブンコ
「例えば?」

ぴこ蔵
「……穴から落ちていった怪盗。呆然として残された名探偵と関係者の皆さん。やがてジェニガッタ警部が言う。

『えー、そんなわけで皆さん、ご覧のとおり怪盗とダイヤモンドは海の藻屑と消えました。さてこれからどうしましょ?』

収まらないのはダイヤの警備係・ゲス夫。名探偵ブンコに掴みかかって怒声を浴びせる。

『このヘボ探偵! てめえがあのボタンを押したからこうなったんじゃねえか! 責任取れ! 10億円払え!』

そのはずみに足がもつれてゲス夫とブンコは穴に転落。慌ててはるかな海面を覗きこむジェニガッタ警部。しかし、夜の海、しかも霧が出てきて何も見えない。

途方に暮れる警部はやがて首をふるとつぶやいた。

『まあ、しかたないな。これは単なる事故だ。それ以外に私の責任を問われるような事件は何も起こらなかったことにしよう』」

ブンコ
「アタシのダイヤと命はどうなった?!」




ぴこ蔵
「……その頃、海面では一艘のクルーザーが落ちてきた3人を回収していた。ずぶ濡れの名探偵と警備係にシャンパングラスを渡して、怪盗は言った。

『2年越しの計画は大成功! お疲れ様でした! それでは我々の友情に乾杯!』」

ブンコ
「なるほど、実は警備員と探偵と怪盗がグルだったのか。そんでもってみんなで警部をたぶらかしたと。これが『オチ』なんだね!」

ぴこ蔵
「まあ、急ごしらえのへっぽこコン・ゲームで申し訳ないが、言いたいところは分かってくれたかな」

ブンコ
「一応分かったけど、さすがにこれだけじゃ不安だからさ~、もっと実際の作品の例を教えてよ」

ぴこ蔵
「よかろう。具体的な作品名を挙げておくので、実際に読んでみることじゃな。ここでわしがネタバレして解説したところで、そんなに気やすくお主の身には付かないじゃろうて。鵜の目鷹の目、本気で見破ろうとしなければ真髄は見えてこないものなのじゃ。

と言っても、世の中にどんでん返し入りの作品はごまんとあるぞお。まあとりあえず誰もが知っている有名作家のものを紹介してみよう。

例えばわしが好きなのはおなじみ天才人喰い博士ハンニバル・レクターが登場する「レッド・ドラゴン」(原作:トマス・ハリス)じゃな。シリアルキラーの残虐な連続殺人事件が描かれるサスペンスなのにも関わらず、どんでん返しの伏線となる美しくもロマンティックなラブストーリーの構成がお見事である。

また、どんでん返しの達人といえばジェフリー・ディーヴァーかな。中でも『コフィン・ダンサー』のどんでん返しには恐れいった。

 

ミステリーの大御所、アガサ・クリスティーの短編『青い壷の秘密』『第四の男』などは短編なので時間がかからずに要点がわかり、しかも面白い。超おすすめなのじゃ!(創元推理文庫「クリスチィ短編全集1」)

ディーン・R・クーンツのベストセラーで言えば『汚辱のゲーム』や『ストレンジャーズ』にどんでん返しがあるし、ジョニー・デップ主演の映画「シークレット・ウインドウ」並びにその原作となったスティーヴン・キングの中篇小説「秘密の窓、秘密の庭」(文芸春秋『ランゴリアーズ』収録)は、普段、この手のどんでん返しを使わないキングが珍しく書いたミステリー風の作品。

日本のものなら藤沢周平の『隠し剣孤影抄』(文春文庫)に収録されている『必死剣鳥刺し』なんかどうじゃ。時代小説の名人中の名人が贈る珠玉の傑作短編にはよく読むとラブストーリーの鉄則まで入っていてお得なのじゃ♪

きりがないので後1つだけ。

映画『スティング』はポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが共演した傑作名画じゃ。二人の詐欺師がギャングのボスを騙すために命がけで頑張るストーリーなのじゃが、この作品にはどんでん返しもあるが、それとは別にオチがある」

ブンコ
「おっと出たね! 1本で2度おいしいってやつだね!」

ぴこ蔵
「『スティング』のどんでん返しのほうは『主人公を狙う凄腕の殺し屋の正体』で、オチはまさにラストシーンのサプライズなのじゃ。これはまあ本当に面白い映画なのでまだなら必ず観たほうがいいぞ」

ブンコ
「うーん、詳しく知りたいけど、そんなに面白いんなら観てみるよ。だからとりあえずそれ以上のネタバレ解説はしなくていいや!」

ぴこ蔵
「まあ、構造的に言うとすればこうなるかな。

物語を面白くするには3つのポイントがある。主人公の目的と、それを邪魔する敵や障害、そして主人公の変化じゃ」

ブンコ
「それは前にも聞いたな」

ぴこ蔵
「問題はその次。つまり、物語を面白く、エキサイティングに語ろうとするならば、主人公が目的を果たそうとするストーリーラインと、主人公が敵と戦うストーリーライン、そして主人公が変化するストーリーラインの3本の筋が必要だということじゃ。そしてそのストーリーラインが交錯する瞬間に『どんでん返し』や『オチ』が発生する」

ブンコ
「えっ? そういうことなの?」

ぴこ蔵
「もちろんじゃ。これらを一緒くたに一本のストーリーで語ろうとするからお主の物語はごちゃごちゃのボケボケになってしまうのじゃ」

ブンコ
「べ、別々に作るのかー。でもどうやって?」

ぴこ蔵
「そこで大事なのが『伏線』と『並行線』なのであーる」




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補足:「あるない型」のどんでん返しについて

どんでん返しには二つの流派がある

どんでん返しには大きく分けて二つの流れがあります。

一つは「α(A)だと思っていたら、実はβ(B)だった」というタイプ。

もう一つは「あると思っていたら、実はなかった」(あるいはその逆)というタイプです。

前者を「AB型」、後者を「あるない型」と呼んでもいいでしょう。
※αβ(アルファーベータ)型は呼びづらいのでAB(エービー)型にします。

どんでん返し「二つの流派」から4つの基本形ができる

こうして「目的のどんでん返し」と「敵のどんでん返し」のそれぞれを『AB型』と『あるない型』の2タイプに分類することによって、2×2=4つのどんでん返しの基本形が明らかになります。

つまり……

「どんでん返し」の大きな流派は、
【敵】・【目的】×[AB型]・[あるない型]の4つのパターンに分類されます。

(1) 「敵の正体が明らかになる」
(2) 「死んだはずの敵が甦る」
(3) 「失われたはずの力が復活する」
(4) 「探しものは自分のそば(内部)にあった」




どんでん返し基本形4パターンの解説

まず、「敵のどんでん返し」における『AB型』に相当するのが(1)「敵の正体が明らかになる」 というパターンですね。

このパターンは「敵」の種類によってさまざまなバリエーションを持っており、なんと最少でも7タイプのどんでん返しを生み出します。まさにどんでん返しのマザータイプと言ってもいいでしょう。

次に、「敵のどんでん返し」における『あるない型』に当たるのが(2)「死んだはずの敵が甦る」 というやつです。

10タイプのどんでん返しパターンで言うところの<TYPE08>です。

<TYPE08>(ドラドラ2)
★敵は死んだと思っていたら、実は生きていた★

ぴこ蔵がどんでん返しについて深く考えるきっかけになったトマス・ハリスの名作、『レッド・ドラゴン』で使われているパターンであることから、ドラドラ2ではなく「レッドラ」という呼び方をすることもあります。

この型を使う際の注意点は「死者をも甦らせる強い説得力」に尽きます。ゾンビは別ジャンルですからダメですよ(笑)あくまでも合理的な理由でなければなりません。うまいトリックや緻密な設定を必要とされる、なかなか難しいどんでん返しです。

また、これには裏パターンとして、「生きているはずの敵がすでに死んでいた」というものもあります。この場合は『ないある型』ということになりますが、だましのコンセプトは『あるない型』と同じなのでひとくくりにしておきます。

そして、「目的のどんでん返し」における『あるない型』が(3)「失われたはずの力が復活する」パターン。こちらも敵どんでんと同じく、やはり「復活」のための理由に強い説得力が要求されます。オカルトやファンタジーなら必ずしも科学的である必要はありませんが、逆にそれだけ読者の納得感を支える論理構築力が求められます。

さらに、「目的のどんでん返し」における『AB型』、それが(4)「探しものは自分のそば(内部)にあった」です。これもまた、宝探しからラブストーリーまで、実に多くのドラマを生む永遠のどんでんパターンだと言えるでしょう。

以上4つの基本形をさらに細分化していくと全10タイプになるわけです。




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さあ、どんでん返しを作ってみよう!


<あらすじ初稿>

トラ吉は野良王国の王様。手下に野良猫たちを従えて今日も平和に暮らしている。
弟分のチビや、愛人のキナコも幸せそうだ。
ある時、何者かによって野良猫トラ吉のまわりから
王様の象徴である宝玉「烏王丸」が奪われた!
宝物には多くの場合、ご先祖猫たちの血に濡れた伝説と、
それに見合うだけの不可思議な霊力が潜んでいるとのことだった。
伝説によると「烏王丸」はその昔、猫族と烏族が大戦争をしたときに
猫族が烏族を破り、当時の族長である大烏を殺し、その血を固めて作ったとされる。
怨みと魔力のこもった宝石で、おろそかに扱ってはならないとされていた。
失ったものを取り戻すためにトラ吉は立ち上がる。
急がなければ、タイムリミットがやってくる!
ダイゴローは最近どこかからやって来た渡り鳥ならぬ渡り猫だ。
乱暴者で、王国の国民達も被害を受けていた。
トラ吉は大切なものを奪った犯人をダイゴローだとにらむ。
トラ吉はダイゴローを敵だと思い込んで追い詰めた。
ところがダイゴローは本当の敵ではなかった。
烏王丸には邪悪な魔力が封印されていた。
もともとは一時的に空腹感を抑え怪力を与える宝玉として
重宝されていたが、実は中毒性があり、
これを長期間舐め続けると、習慣性、依存性が現れる。

そしてある日、凶暴な吸血鬼になってしまうのだ。
そして、本当の敵キナコが姿を現した。
キナコは「食欲」を満足させるために烏王丸を奪ったのだ。
タイムリミットは容赦なく迫る。
キナコは烏王丸を舐めているうちに吸血鬼へと化していた。
トラ吉は壮絶な死闘の末、化け猫となったキナコを倒し、王国に平和を取り戻す。(終)




さあ、創ってみよう!

ブンコ
「てなわけで、まず最初は以上の手順をもとにあらすじ初稿を作ってみましょう!」

ぴこ蔵
「今回のあらすじ実例は『猫の世界を舞台にした伝奇ホラー』じゃ! ポイントは、いかに機械的にストーリーを作っていくかじゃ」

ブンコ
「でも、師匠、機械的なストーリーなんか読んだってつまんねーんじゃねーの? 」

ぴこ蔵
「大丈夫じゃ! 機械的に作った物語に『魂』を入れる方法はたくさんある! 例えば、「タイムリミット」「事件のきっかけ」「主人公の成長」など。そんなわけで、まずは物語の土台をしっかり作ること。大切なのは、まずここまで自分で書いてみることなのじゃ。

この方法論を身につけようとしたら、まずどうしても自分でいったんあらすじを作ってみなければならないのじゃ。そうしない限り、絶対に体得できない世界があるのじゃ」

ブンコ
「やっぱり実際に書かないとわからないものなの?!」

ぴこ蔵
「うむ。理論だけではダメなのじゃ。プレイヤーにならねば。例えば自転車の練習みたいなもんじゃよ。自転車についていかに詳しく知っていようとも実際に乗ったことのない人には、あのバランス感覚はどうしても理解できない。逆に、一度でも乗れたら、その感覚を一生忘れることはない」

ブンコ
「肉体的な感覚が大事ってことなのね。でも、なんで最初は機械的に作るのさ?」

ぴこ蔵
「それは、余計なことを書かないためじゃ! 初心者が挫折する原因は、余計なことにばかり気を取られて例えばキャラの外見の説明だけで疲れ果ててしまうことにある」

ブンコ
「久しぶりにギクッ!」

ぴこ蔵
「キャラクターの容姿などは後でどうにでもなるのじゃ! 大事なのは、キャラクター同士の関係じゃ。愛し合っているのか、憎みあっているのか、関係性こそがストーリーを動かす要因だからじゃ。物語の進行に関係のない話はこの段階では考えてはならん。キャラクターとはストーリーの要請に従って作るべきものなのじゃ!」

ブンコ
「わかりましたよ、わかったけど師匠、仮筋なんか使ったらオリジナリティーがなくなってしまいませんかねえ?」

ぴこ蔵
「ふぁっふぁっふぁ! ふぁーっふぁっふぁっふぁ!!」

ブンコ
「な、なんだー? すっごく笑ってるぞー」

ぴこ蔵
「これを使って自分で一度書いてみればわかるが、ストーリー作りはそんなヤワなものではないぞ! このカリスジの恐ろしさとは、たったこれだけなのに、使う者の全てを引き出してしまうところにあるのじゃ! 展開は無限じゃぞ!」

ブンコ
「ひえ~っ!! 恐るべしカリスジ!!」




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