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物語のオープニング

「かっこいいオープニング」の罠

ぴこ蔵ニュースレター

あなたの文章が「稼げない」理由
~『生成AI時代のストーリーテリング』

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面白いストーリーを作るためにあなたは何をするべきか

ブンコ
「私の名前はブンコ。作家になりたい女。でも、なかなか作品が書けない。書き始めても最後までフィニッシュできない。どうしてなんだろう? やっぱり才能がないのか……? 文章教室に通おうか?」

ぴこ蔵
「そんなことはないぞお」

ブンコ
「あんただれ?」

ぴこ蔵
「わしはあらすじのプロ、ぴこ山ぴこ蔵じゃ! 日本中の悩める書き手を救うためにやってきたのじゃ!」

ブンコ
「あんたいったい何を言って…… たった今、弟子にして下さい!」

ぴこ蔵
「すごい食いつきじゃな」

ブンコ
「だって本当に悩んでるんだよー。だれでもいいから助けて!」

悩める書き手に教えたい

ぴこ蔵
「それではさっそく最初の質問じゃ! お主は物語を作るとき、まずかっこいいオープニングから書き始めておらんか?」

ブンコ
「もちろん! 最近の自作でもお気に入りのファンタジーは

その赤銅色の龍は、この星の一番高い場所にある万年雪の下で、永遠にも似た眠りを静かにむさぼっていた。

から始まるの! なんか凄いお話がはじまりそうでしょ」

ぴこ蔵
「ほほう!」

ブンコ
「ハードボイルドなサスペンスだってあるんだよ。

朝焼けが始まった頃、店の駐車場に一台の車が滑り込んできた。まだ暗いというのにスカーフとサングラスで顔を隠した女が運転席のウインドウを開けて私に合図した。私は営業用の笑顔で車に近づくと女が話し掛けてくるのを、そしてサングラスの奥にある美しい眼を見せてくれるのを待った。しかし女はサングラスを外すよりも先に、ハンドバッグの中から拳銃を取り出した。

なーんて感じの、そりゃもうかっこいい、マイ・フェバリット幕開け。自分の中に湧いて出たイメージに陶酔してしまう瞬間だよ。もうこれで一本書けたような気になってしまうのよん」

ぴこ蔵
「実はそれが失敗の原因なんじゃよ」

ブンコ
「ギクッ!」

ぴこ蔵
「そういうのってオープニングのインスピレーションは強烈でもまず長続きすることはないからのう。その場の雰囲気にハマッて始めた恋愛と一緒じゃよ。お主は自分の影に恋をしておるのじゃ。うひょひょ!」

ブンコ
「ギクギクギクッ! 何てこと言うんだアンタは!」

ぴこ蔵
「ちなみにお主、その小説、最後まで書き上げたのか? いや、半分ほどでも書いたかな?」

ブンコ
「か、書いてません……」

ぴこ蔵
「なぜ書かないのじゃ?」

ブンコ
「だって、刺激的なオープニングが終わると、主人公がさっそく途方にくれちゃって。次に何をすればいいのかわかんないんだもん」

ぴこ蔵
「それはそうじゃろう。お主が決めておらんのじゃから」

ブンコ
「げげっ!」

ぴこ蔵
「そんなタイプの人は書く順番を変えることじゃよ」

ブンコ
「書く……順番?」

ぴこ蔵
「よーし、それでは教えてあげよう!」

何はなくとも「どんでん返し」

ぴこ蔵
「書きたい物語のイメージをすでに持っているなら、『あっと驚く結末』を作るためにはまず、おぬしの物語イメージに合わせた『どんでん返し』を作ることじゃ!」

ブンコ
「どんでん返し? あの『なんとかサスペンス劇場』とかで最後に意外な犯人が出てくるやつ?」

ぴこ蔵
「まあ、あんまり意外ではない場合がけっこうあるけど(笑)基本的にはそういうことじゃ」

ブンコ
「だって老師、それじゃ『サスペンス劇場』用の作品しかできないじゃん」

ぴこ蔵
「とんでもない思い違いじゃな。ミステリー、サスペンスは言うに及ばず、恋愛、ホラー、アクション……。どんなジャンルの物語にも、どんでん返しが隠れておる。

それどころか、大前提なのじゃよ。むしろ、人はどんでん返しを読みたいがために小説を読むのじゃ。どんでん返しがなければ、面白いとは思ってくれん」

ブンコ
「本当ですかあ?」

ぴこ蔵
「少なくともエンタテインメントの要素を持つ物語ならどんでん返しは必ず必要じゃ。

事実を伝えることに意味があるノンフィクションとか、あるいは哲学的な思索を繰り広げる高邁な思想書なら、確かにそんなものは関係あるまい。しかし、エンタテインメントはそれでは許されんぞ。面白くなければ娯楽としての存在価値がないのじゃ。人間とは、薬がどんなに苦くても文句を言わんが、ケーキが期待していたより甘くないと怒り出す生物じゃ」

ブンコ
「どんでん返しがあるとどうなの?」

ぴこ蔵
「どんでん返しが提供するのは、信じていた世界が一瞬で大逆転する衝撃じゃ。予測可能な展開だったはずなのに、あっという間に何もかもが姿を変える。頭の中は真っ白。アドレナリンとドーパミンが駆け巡る至上のびっくり体験なのじゃ!」

ブンコ
「それは確かに自分の作品にどんでん返しが入ってたら面白いよねー……。ちょっと興奮するなー」

ぴこ蔵
「さて、やっとこれでスタート地点に辿り着いたのじゃ。次回からいよいよ、誰も教えてくれなかった『面白くてたまらないストーリー作り』のための具体的なテクニックについて説明をはじめられる。つまり、突き詰めれば『どんでん返しの秘法』じゃ!」

ブンコ
「いや、でも、ぴこ蔵師匠。あたしみたいな素人にどんでん返し作れったって、いきなりそれって難しくないかねー? もっとこう、地味で堅実な文章修行とか……」

ぴこ蔵
「いやいや、お主が一番最初にやらねばならんのは派手な『どんでん返し』の作り方を覚えることじゃ。そうすれば、物語作りはあっという間にプロ並みじゃ。なぜなら、どんでん返しこそが全てを決めるからじゃ」

ブンコ
「どんでん返しが全てを決める????」

ぴこ蔵
「その通りじゃ。結末、伏線、オープニング、全てを決める。難しい、複雑そう、というのは思い込みに過ぎん。どんでん返しには簡単な作り方があるのじゃ!」

ブンコ
「そ、それを早く教えてくでーっ!」

『コフィン・ダンサー 』上 (文春文庫)

『コフィン・ダンサー 』下

著:どんでん返しの魔術師・ジェフリー ディーヴァー

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『生成AI時代のストーリーテリング』

生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。