満月の夜に狼男を駆使して読者をあっと驚かせるには(笑)


あなたの作った物語をエンターテインメントとして評価されたければ「読者をあっと驚かせる」ことが不可欠。そのための効果的な方法論の一つが『どんでん返し』という技術である。

もしもあなたの作る物語が、それを読んだ誰かに「陳腐だ」「よくある展開だ」「退屈極まりない」「だからお前は」「そもそもお前って奴は」などと血も涙もない酷評を浴びたとしたら……。

あなたが物書きを標榜する以上、そいつの頸動脈を絞めあげる前に、急いで物語に『どんでん返し』を組み込むべきです。そしてその腰を抜かさせてやるのです。怒りこそは力の源泉であります。腹立たしい批評を喰らったら、反省なんかしないで怒りに燃えればいいのです。そして次はそんな批評を絶対にさせないような圧倒的に面白い作品を書いてみせましょう。

信じきっていた登場人物の怖ろしい正体に震え上がり、少なくとも一週間は一人で学校や会社のトイレに行けないぐらいの、あるいは亭主の幸せそうな寝顔を「こいつもしかしてワシのヘソクリ狙うとるんちゃうんか?」と疑惑の目で見てしまうぐらいの、そんな驚愕と衝撃を与えてやりましょう! そうすればもう誰も二度とあなたの作品に対して「面白くない」とは言わなくなるでしょう。

それでは、読者の腰が抜けるようなどんでん返しをうまく仕掛けるためにはどうすればいいのでしょうか?

『3匹のモンスター』メソッドによって分類された敵のどんでん返しには、それぞれ固有の「伏線と連動」のパターンがあります。

※言ってる意味がよくわからない、という方は以下の講座をお読みください。
『創作講座(どんでん返し編)』

例えば、『狼男』というタイプを使ったどんでん返しを見てみましょう。

主人公自身の中に本当の敵がいるタイプの場合、そのどんでん返しの存在を読者に嗅ぎつけられないためには、まず主人公がその事実を知らないということが大前提です。主人公は自分自身が怖ろしい『狼男』であることに気づいてはいけません。ところが内部にいる『狼男』は、そんなことおかまいなしに悪事を働く。

主人公にそのことを悟られないためには主人公の記憶を奪わなければなりません。主人公が気づけば読者も気がつくからです。しかし、エンタメとしてここが肝心なところなのですが、伏線だけはしっかり張っておかねばなりません。後になって「しまった! そういえば!」と想起されるからこそ衝撃を与えられるのです。

そういえばあの時……「主人公は誰かに睡眠薬を飲まされて眠りこけていたはずだ!」とか「現場に到着するのが妙に早いな、と思ったんだ!」とか。なんだか小さな違和感があったのに見逃していて「そうか、あれはそういうことだったのか!」と後から気がつくわけですね。

でも、地団太を踏んでももう後の祭り。

「思えばヒントは与えられていたのに、ああ悔しい。でも、引っ掛かっていた胸のつかえが解消された。こりゃ気持ち良くだまされたなあ。この作者の物語をまた読みたい!」

あなたもそんな感想がもらえるような物語を書いてみましょう。

この『狼男』タイプの物語には、伏線として「主人公が意識を喪失する」場面が不可欠なものとなります。主人公が気を失っていないと、その意識を伝わって読者に真相が判ってしまうからです。

さらにその他のタイプの敵を組み合わせてどんでん返しを作る場合は、そちらの伏線も敷いておかねばなりません。

例えば……

※偽敵=狼男、本敵=ドラキュラの組み合わせによるどんでん返し

★敵は自分の中にいると思ったら、実は別にいた★

【このどんでん返しの特徴】
物語の基本的な型としては、狼男、つまり【主人公の内側に隠れている敵】を囮にして、本敵ドラキュラが主人公をペテンにかけるという構成です。

つまりこれは「自分の中にいる何かが知らないうちに悪事を働いていた」とばかり信じこんでいたら、実は「悪党にすっかりだまされていた」という話なのです。

どんでん返しが訪れて真犯人が明らかになり狼男の恐怖が真っ赤な嘘だったとわかることで、一転してとてつもない解放感と爽快感を体験することになります。悪いのは自分じゃなかったんだ! と、ほっと安堵できるわけです。

このどんでん返しは、だまされたことによる痛みや苦しみの後で、素直に人生の喜びや楽しみや有難みを味わうために使うと非常に読後感のよいストーリーになるでしょう。

本敵は「偽の記憶(記録)」を巧みに操る知能犯

さて、それでは主人公の内部に別の人格がいるという真っ赤な嘘をでっちあげ、それを信じ込ませるためにどんな手口を用いるか。

この物語にはどんでん返しを成立させるために本敵の補助をする伏線が必要になります。それは「主人公をだます客観的な証拠」を見せるというものです。

つまり『本当の敵』は「主人公が意識を失っている(眠っている)間に、別人格が主人公の肉体を乗っ取って悪事を働いている」という決定的な記録を捏造する必要があるわけです。具体的に言うならば、主人公自身には覚えがない行動が写っているビデオや写真であるとか、あるいはその行動の目撃証人をでっち上げるのです。(ちなみにぴこ蔵はこれらを『記憶装置』と呼んでおります)

このタイプのどんでん返しには、ロジカルな結論として、最低限この仕掛が不可欠なのです。

このようにして、どんでん返しを成立させるには、必要な小道具や人間関係を用意し、そのたびにさまざまな伏線を張らなくてはなりません。どんでんのタイプを選択した瞬間に、好き嫌いに関係なく、必ず書かねばならないシーンが発生するのであります。

どんでん返しを作ることによって主人公のキャラクターや物語のテーマとかを語る以前に伏線が自動的かつ必然的に決まっていきます。Aだと思ったらBだった、というだけのシンプルなパターンの中には実は非常に複雑なストーリーが折りたたまれているのです。

これをゼロから考えるのには大変な時間と労力がかかります。しかも、苦労したあげく誰もが同じ結論に達するわけですから、最初からその定石を知っていれば自分でも驚くほどのスピードで、破綻することなくストーリーが作れます。

まずはどんでん返しを選ぶ。そしてそれに必要な伏線を張っていく。ぴこ蔵がまとめた10タイプの『どんでん返しが入ったあらすじの型』には、それぞれに必要不可欠な伏線があらかじめ組み込まれています。この連動の構図を知ることにより、あなたの物語構成力は格段にレベルアップすることでしょう。

そんな『型』をベースに、あなたのオリジナルの設定を入力することであらすじを構成する「自動あらすじ製造エディタ」の詳細はこちらでお読みいただけます。

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