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ゲームクリエイターのあなたへ エピソード作りに苦労していませんか?

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あなたの文章が「稼げない」理由
~『生成AI時代のストーリーテリング』

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ゲームにはたくさんのストーリーが必要です。

最も大量にエピソードを消費するジャンルはゲームシナリオです。プレイヤーを退屈させないためにも、雰囲気やテイストの異なるミッションが次々に発生しなければなりません。

それなのに、あなたのゲームではどれも同じような事件ばかりが起きてはいませんか?

似たようなアイテムをいつもと変わらぬ理由で探し回るだけのゲームになっていませんか?

それでは他のゲームと見分けがつきません。

RPGは大量に流通しています。ユニークかつ豊穣な物語世界を構築しなければ、いとも簡単に他の競合作品の中に埋没してしまいます。そうなれば目立つこともなく、たくさんあるゲームの1つとしてすぐに忘れ去られてしまうでしょう。

あなたのゲームが「これはすごい!」「見たことがない!」「感動する!」「びっくりした!」などの賞賛の声に包まれてランキング上位に駆け上がるためには、面白いエピソードが大量に必要なのです。

エピソードに必要なもの

ドラマティックなRPGを作るには、一つ一つのエピソードを面白いものにすることが絶対条件です。

読者の興味を掻き立て、大きな目的に向かって引っ張っていく必要があります。

でも、どうやって?

その一つの答えが「どんでん返し」です。RPGのエピソードに、ミステリーやサスペンスの必需品を仕掛けるのです。「どんでん返し」は高度な技術ではありません。むしろ、面白い話を作るためには最低限必要な要素だと言えましょう。

どんでん返しの効果

あなたは自作のゲームにどんな特長を盛り込もうとしていますか?

爆笑ギャグ? 斬新な世界観? それともかわいいキャラ? 確かにどれも魅力的ですね。

ただし面白いギャグや素敵なキャラクタでバズるには、特別な運と並外れたセンスが必要です。誰もが売れっ子お笑い芸人や人気漫画家になれるわけではないことはあなたもご存知でしょう。

ところが、物語に謎やスリル、そして、エンタテインメントに何よりも必要な「意外性」つまり、アッと驚くサプライズを取り入れるテクニックは、手順通りに型を守れば、誰でもすぐに身に着けられるのです。

そんな技術の一つが、あらすじドットコムが開発した『10タイプのどんでん返しパターン』です。

ゲームシナリオをテキストで読んでも分かりづらいのは当然です。そこで雰囲気を感じてもらうために、RPGツクールを使ってどんでん返し入りのストーリーをゲーム画面風に仕立ててみました。

桃太郎にどんでん返しを入れてみた! その1

桃太郎にどんでん返しを入れてみた! その2

どんでん返しを入れるとこんないいことが!

考えられるメリット

・RPGゲーム作家として一目おかれる
・アクセスアップ
・ランキングがあがる
・シナリオ作りに困らない
・創作時間の短縮
・ユーザが満足する
・ユーザーを楽しませる
・リピーターが増える
・ファンができる
・収入アップ
・人気作家になる……などなど

ストーリーにどんでん返しを仕掛けるのは簡単です。誰でも確実に作るための技術があるからです。

それなのに不確実な運や、評価の定まっていない才能だけに頼るのは、効率的な戦略とは思えません。

すでに存在する技術を取り入れないのはあまりにももったいない。そのスキルを学べば、作品の評価がぐんとアップするのですから。

さあ、あなたも自分のストーリーに「どんでん返し」を仕込むことによって、確実に面白がってもらえるゲームを作りましょう。

 

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『生成AI時代のストーリーテリング』

生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。

面白くない物語の作り方

面白くない物語の作り方2

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あらすじドットコムはアートではなく技術(クラフトワーク)を研究するサイトですが、だからと言ってあなたの物語の芸術性を軽視しているわけではありません。

完璧な芸術作品を作るというのは、作家という存在理由にも関わる重要な目標であります。

ただし困ったことに、芸術性を最優先すると細部まで徹底的にこだわらざるを得ず、初心者ならずともなかなか作品が出来ません。

あのサグラダファミリアのように、完成までに何百年もかかってしまう場合さえあります。

しかし、実際問題、ショートショート1本書くのに3年もかかっていてはヤバいわけで(^^;

エンタテインメント作家を目指すのであれば、作品はできるだけ素早く作るべきでしょう。生産性というのはとても大事な要素なのです。

とはいえ、読む人に楽しんでもらえる娯楽作品を作るというのは、芸術に負けず劣らず手間と時間のかかる作業であります。

作者は地味な取材をして、集めた資料をじっくりと読み込み、個々の素材を膨大な時間をかけて吟味し、事実かどうかの裏を取ったりして、やっとこさ物語作りにこぎつけます。

ところが、本当の問題は実はそこからなんですよね。

せっかく労力をかけて書いたのに、その物語が誰にも面白がられなかったとしたら、創作活動にかけた日々は全て無駄になってしまいます。

「うん、よく調べてるなあ。でも、面白くない」
その一言でボツ。理由は簡単。面白くないと読んでもらえないからです。

でもね、面と向かって面白くないと言われるのはまだ幸運なんですよ。まがりなりにも誰かが読んでくれて評価までしてくれたんですから。

無名の新人が何かを書いたとしても、多くの場合、誰からも何の反応もありません。

石を投げ込んだはずの水面はシーンと静まり返っております。冷たく凍りついております。波紋一つ立つもんじゃありません。

あ~あ、大長編書いちゃったのに……
つまんないなら先にそう言ってよ……

面白くない物語はこのように大変危険です。もしかしてあなたにも同じような経験があったりするのではないでしょうか?

しかし一方では、短時間のうちに書き上げられたにもかかわらず、高い評価を得ている作品があります。アタマに来ますよねえ、まったく。

誰もがきっと思っているはずです。

面白い物語を次から次に書きまくる作者はいったいどんな創作活動をしているのでしょうか?

どうすればもっと効率的にストーリーが書けるのでしょうか?

どんな物差しを使えば書き始めの早いうちに失敗を回避し、進行方向を修正できるのでしょうか?

面白さをチェックする指標とは?

通常、作者は自分のストーリーがどの程度の効果をあげているかを測るためのさまざまな指標を持っています。

この指標こそはあなたの創作活動にとっての生命線です。

自分独りだけでモヤモヤしてても仕方がないのであります。読者からちやほやされない秘密を知りたければ……

まずは指標に従ってあなたのストーリーがウケない原因を分析し、だめだったところを把握しましょう。

さっそく以下の「面白くない物語の指標」の中で心当たりのあるものにチェックを入れてみてください。

☑ オープニングに躍動感がない
☑ 物語に敵(対立軸)がいない
☑ 敵の動機がテキトーすぎる
☑ 敵が怖くない
☑ 敵が憎たらしくない
☑ 主人公に真の目的がない
☑ 主人公に義務がない
☑ 犠牲者がいない
☑ 深甚な被害が発生しない
☑ 登場人物の役割がはっきりしない
☑ 興味をそそる謎がない
☑ 伏線が張られていない
☑ 歓びやときめきの描写がない
☑ 主人公に深刻な危機が訪れない
☑ 解決すべき問題が曖昧である
☑ 出来事が拡散するだけで収束しない
☑ 逆転がない
☑ ツイストがない
☑ 主人公が反転攻勢に出ない
☑ タイムリミットがない
☑ ハラハラさせる場面がない
☑ 誰も謎解きをしない
☑ 伏線が回収されない
☑ 解決すべき問題がグダグダ
☑ 問題解決の切り札がない
☑ 犠牲的な精神の発露がない
☑ カタルシスがない
☑ 主役の内面が変化しない
☑ 結末が予定調和すぎてバレバレ
☑ 心を震わせるような感動がない

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チェックはいくつ付きましたか? もし10個以上付いたのなら……残念ながらその作品はエンタメとしての体をなしていないのではないかと思われます。

もちろんその作品の芸術性を云々するわけではありません。人間の生きる形に正解は無数にあるわけですから。

しかし、誰もが楽しめる娯楽を作る職人の世界は偏屈です。読者の要求が満たされない場合は一定の技術レベルに達していないとみなされます。

つまり、それは「面白くないストーリー」なのであります。

それでは上記の問題をクリアするにはどうすればいいのでしょうか?

あなたの作品にゴールはあるか?

この記事を読んでいるあなたなら、ストーリーに具体的で明確なゴールを設定することがいかに大切か、私が日頃からどれほど大汗をかいて力説しているか(笑)よくご存知でしょう。

それは、作者がついつい「曖昧な」ゴールを設定してしまうことが多いからです。

そして、それを達成するために主人公がとるべき具体的な手段がはっきりしないのはなぜなのだろう、と悩むわけであります。

なぜ主人公がどうすればいいかわからなくなるのか、なぜストーリーが前に進まないのか、と悩むのです。

何度でも言いますが、それはまさに、物語のゴールを具体的かつ明確に設定していないからなのであります。

しかしそれは、書きたいことが見つからないからではありません。

むしろ逆です。

あれも書きたい、これも書かないと、と欲張り過ぎてしまうからなのです。

書きたいことが多すぎて、そのためにピントがズレて本当の目標がぼやけてしまうのです。

では、あなたが物語のゴールを限定し、それを明確な言葉にしているとします。

また、そのゴールに近づくために主人公が選択すべき一連の行動ステップも書き出しているとします。つまり、因果関係に則ったプロットですね。

では、次は何をするべきなのか?

主人公がゴールを達成するための行動ステップはもうわかっています。

しかし、そのゴールに到達する「説得力」や「納得感」を上げる方法がまだ不確かではありませんか?

ストーリーテリングに不可欠な「読者の共感」を誘いながらゴールを達成するためにはどうしたらいいのでしょうか?

そこで、あなたの作品をできるだけ具体的かつ効果的に成長させる方法についてお話しします。

端的に言いますと、あなたが感動した他人の作品を作者としての角度から見ることで、その技術を盗むのです。

名作の感動を取り込み、再現することで、あなた個人の力量の限界を突破するのです。

そうすれば、これから書くつもりの物語に今まで思ってもみなかった豊かな広がりを与えられるでしょう。

作者として自立するために、あなたが最初になすべきことは「自分自身の技量の客観視」です。

そのためには、世界中が認める大作家の名作を分析し、そこですでに明らかにされているスタンダードな技術を再現することです。

大作家と同じ技術を使ってみることで、あなたは彼我の実力の格差を実感できます。

自分に何が足りず、どこが間違っているかが把握できます。

学ぶという言葉は「真似ぶ」という古語がルーツです。

謙虚に、一生懸命に真似をするのです。

テクニックというものはそうやって初めて身につけることが出来るのです。

あなたのストーリーを成長させるには

何はともあれまずは名作を読んでください。

もちろん名作映画やマンガでもいいのですが、あなたが物語を作る場合、最初はとりあえずアイデアを文字にすることになります。

テキストにする手間を考えると小説、それも最初はあまり長くない作品がいいでしょう。

名作として評価の定まった短編小説を時間をかけてじっくり鑑賞してみてください。

これは面白いと思う作品が見つかったら、今度はそのストーリーを解析しましょう。

どの部分がなぜ面白かったのか?

どうして面白いと感じたのか?

その仕掛けを徹底的に調べ上げて名作の謎を解明するのです。

解析できたら面白かった部分を真似しましょう。舞台や小道具や登場人物を変えて書き出してみてください。

O・ヘンリや芥川龍之介や志賀直哉の名作を、筋立てだけそのままで、あなたが好きな舞台や小道具やオリジナルのキャラクターを使って書き直すのです。

何のためにそんなことをするのかと言ったら、そのアイデアを盗むためです。盗むというのは、自分の作品の中で同じ技術を再現することです。

その結果、名作と同じ効果を生むことが出来たら、あなたはそのテクニックをゲットしたと言えます。

それを確かめるためにも、身近な誰かに読んでもらうといいでしょう。

名人と同じ技術を使ったのですから誰からも「面白い!」という感想がもらえて当たり前です。

もしも面白がってもらえなかったら、あなたはその技術をマスターできていないということです。

また、もう一つ重要な条件として、ネタ元がバレたら失敗です。

「あれ? これって『賢者の贈り物』だよね?」と言われたらそこまでです。それは再現ではなくてほとんどコピペですからね。

あなたがすべきなのは「面白さの本質だけを再現する」ことです。

そのためにはいかにうまくアレンジして本家の匂いを消せるかということがポイントです。

元ネタがバレることなく「面白い」と言ってもらえるまでチャレンジし続けましょう。

ただし、うまく再現できるものばかりとは限りません。ちなみにO・ヘンリ『賢者の贈り物』は誰がどうアレンジしてもほとんどネタバレするという恐るべき完成度を誇る作品です。一度ぜひ挑戦してみてください。

この練習をすると、あなたが今までに考えたこともないような話が飛び出してきます。そして、ストーリーに対する視野がぐっと広がります。

あなたは本当に面白い話を作りたいですか?

面白い作品を作りたければ、まずは面白い作品を見つけてください。そしてその面白さを盗んでください。面白いストーリーを作るための、おそらくこれが最短の近道です。

漠然と捉えていた「面白さ」の形を明確に把握して、その本質だけをきっちり盗めれば、それがあなたの実力査定になります。

元ネタがバレたり真似すらできないうちは、まだまだあなたの視野が狭いということです。練習を積んで観察眼と表現力、そしてオリジナリティを養ってください。

 

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『生成AI時代のストーリーテリング』

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対立時を2つ作る

対立軸を2つ作ろう

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ストーリーに事件が足りない。
登場人物が行動してくれない。
話がちっとも前に進まない。

そんな悩みがあるのなら、ぜひ使いこなして欲しい法則があります。

それは主人公と対立する存在を作ることで発動します。

ただし、対立軸は2種類必要です。

対立軸を2つ作ることによって、やることがなくてじっと立ち止まっていたキャラクターがゴールに向かって走り始め、その連鎖反応がドミノ倒しのようにつながっていきます。

『2つの対立軸』は、ゴールを設定することによって全体のプロットを一挙に構築してしまう法則なのです。

これを導入すれば、あなたの物語は必ず動き出します。

嘘だと思ったら試してみてください。最初はちょっと小難しいけど、それだけの価値はあります。

 

2種類の物語タイプ

物語のタイプには『破壊』をゴールに設定したものと『和解』をゴールに据えたものとがあります。

強敵を倒すのが主人公の最終目標だという場合は「破壊がゴールの物語」です。

人格のない障害を克服するまでの顛末。例えば、アイガー北壁を登ったり、アルカトラズ刑務所から脱獄したりするのもまた「破壊がゴールの物語」です。

要するに、不倶戴天の絶対的な敵であるとか、自然現象や物理的な環境という意思の疎通が図れないような対象をブレイクするのが目的のストーリー。

それが『破壊の物語』です。

対して、ケンカ相手と仲直りするのが主人公の最終目標だという場合は「和解がゴールの物語」となります。

片思いの人に勇気を出して告白して受け入れられるのも「和解がゴールの物語」です。

要するに、もともと愛情を感じていたり、話し合って妥協する余地があるのに関係がうまくいっていない相手と、理解し合い許し合うのが目的のストーリー。

それが『和解の物語』です。

作者がどちらのタイプの物語を作りたいかによって、2つの対立軸の優先順位が替わります。

 

2つの対立軸

では、その『2つの対立軸』とはいったいどんなものなのでしょうか?

それぞれの対立軸の性格は次の通りです。

X:最終的に主人公が破壊することによって解消する対立軸

Y:最終的に主人公が和解することによって解消する対立軸

説明の便宜上、Xのほうを『破壊の対立軸』、Yのほうを『和解の対立軸』と呼びます。

ここで注意してほしいことがあります。ストーリーの対立軸は、対立それ自体が目的ではありません。二つとも、解消することを目的に作られた対立軸なのです。

ここがポイントです。ちょっとこんがらがってしまうかもしれませんが、ここをしっかりと理解してください。

物語というのは「対立が発生して主人公がそれを解消するまでの顛末」が描かれたものです。ただし、これは読者目線です。

作者目線で言うとこうなります。物語とは「対立を発生させて主人公にそれを解消させるまでの顛末」を描くもの。つまり、物語作者の仕事は「わざと対立を作ってそれを解消してみせる」ということなんですね。

 

作者の自覚と覚悟

作者はとにかくまず、全ての原因である対立を自分の手で作らなければならないのです。これは作者としてのマインドセットの話になりますが、もっと能動的に、積極的に、あなたが事件を起こすつもりで書くのです。

バランスを取ったり帳尻を合わせてはいけません。異常な事態を描くのがストーリーの本質なのです。登場人物に空気を読ませてありがちな方向へ押し流してはいかんのであります。

作者は何があっても常識に囚われず、世間とのお付き合いを断固として拒絶し、人でなしの気持ちになって計画を立て、矛盾を抱えているのを承知でむちゃくちゃな決断を下してください。

しかし、同時に全てをコントロールして、最後はスパッと手際よく、あるべきところに収めてください。

あなたは登場人物の依代となり、感情を高ぶらせ、暴走しなければならないのですが、それでもプロットの合理性をキープしなければなりません。

そのために「物語の型」があるのです。

 

対立と解消

いかにして対立を作り、それを解消するか、という話をします。そもそも、対立とは具体的にどんな状況を指すのでしょうか?

対立とは、異なる二つの立場が衝突することです。そして、その対立が原因で具体的な問題が生じてきます。

例えば『水争い』なんかが分かりやすいですね。日照りの夏、山上の水源が涸れ、農業用水路を流れる水の量が少なくなります。そうすると、上流の人は水を堰き止めて、まずは自分の田んぼに水を引こうとします。

ところが、そんなことをされては下流の人はたまりません。「水門を開け!」と怒鳴り込みます。これが対立ですね。

しかし、上流の人は水門を開けようとはしません。下流の田んぼの稲が枯れ始めます。これが対立によって生じた問題です。

問題の解決方法には「相手をやっつける(破壊型)」か「相手と妥協する(和解型)」かしかありません。

水争いの話で言えば、上流と下流で水門を挟んでの肉弾戦で決着をつけるという破壊型ストーリー。

あるいは、話し合いによって両者に等分に水が流れるように水門を開くという和解型ストーリー。

このように、物語はその対立解消の方法によって、破壊型と和解型に分かれるわけなんです。

解決手段は戦争か、あるいは共存か、ということなんですね。

うーん、抽象的な話を続けてたら頭が痛くなってきたわい。なので、もっと具体的な事例を見てみましょう。

 

少年ジャ◆プの王道マンガ

まずは『破壊』をゴールに据えた作品のあらすじパターンです。

「聖闘士☆◆矢」「キ◆肉マン」「ドラ◆ンボール」などなど、少年ジャ◆プの王道マンガでお馴染みのパターンを思い浮かべてください。

主人公が死力を尽くしてライバルを倒します。するとそのライバルの上役みたいなのが出てきて、こいつはさらに強くて怖いわけです。

さてどうするべと主人公が悩んでいると、先日戦ったライバルがやってきて主人公に力を貸してくれるんですね。

いつしか二人の間には戦った者同士の信頼感みたいなものが芽生えており、その友情パワーで新しい敵をぶっ飛ばすわけです。

この時、『和解の対立軸』は、拳を交えたおかげで友情の芽生えたライバルです。

そして『破壊の対立軸』は新たにやってきた怖い敵です。

 

ハリウッド・アニメ

次に『和解』をゴールに据えた作品のあらすじパターン。

実例はあの世界的大ヒットアニメ映画。不思議な力を持った姉とその妹の物語です。もちろん観ましたよね? 歌も熱唱しましたよね? 雪が降っても少しも寒くなかったぐらいですよね。

あの姉妹の映画のことを思い出してください。観てない人はすぐ観てください。

主人公は妹のほうです。姉とケンカした主人公は、姉の怒りを解こうとしてさらに問題をこじらせてしまいます。

その大喧嘩につけこんで、卑劣な悪人が二人を亡き者にしようと背後から忍び寄ります。

それに気付いた主人公は、自分の身を投げ出して姉を守ります。姉はその様子を見て感動し、主人公と和解します。

『破壊の対立軸』があの卑劣な悪人です。最後にお仕置きを受けてました。

一方、『和解の対立軸』はお姉さんです。長い姉妹ゲンカでしたが最後は姉妹愛が復活します。

そして、この物語のゴールはまさに「姉妹の和解」にあるわけです。

 

作者の決断が全てを決める

で、何をいいたいのかというと……

まずは、対立軸はどんな場合でも2つ設定するということです。

破壊型のストーリーか、和解型のストーリーかはどちらの対立軸を優先するかによって決まります。

どちらのタイプの物語であっても『破壊の対立軸』と『和解の対立軸』の両方を設定するのが大事なんです。

次に、『破壊の対立軸』は、主人公と『和解の対立軸』にとっての共通の敵であるという関係性に注意してください。

さらに、主人公が『和解の対立軸』と和解するためには、もともとお互いのことを心のなかで認め合っていなければなりません。

また、当たり前ですが、喧嘩しないことには仲直りが出来ません。

これらのさまざまな制約がプロットをダイナミックに突き動かします。

葛と藤のように絡み合う二つの対立軸が物語を編み上げる縦糸と横糸になっているわけですね。

読者としての分析ならここまででいいのですが、作者としてこの構造を使って物語を書くためにはさらに重要な事があります。

それは「決断」です。

姉妹のアニメ映画は『和解』がテーマになっています。つまり、製作者が『和解』をゴールにすると決めたわけです。

一方、少年ジャ◆プ型では『破壊』をゴールに選んでいます。

どちらを優先するのかは作者が決断しなければいけません。

つまり、物語のゴールとして『破壊』か『和解』かをあなたが選ぶ必要があるわけです。ここに正解はありません。というよりも、どちらを選んでも正解になり得るのです。

ただし、必ずどちらかをゴールにすると自己責任で決めなければなりません。これをはっきりさせないと、どっちつかずの物語になってしまいます。

これからあなたが書こうとしている作品は「破壊の物語」ですか? 「和解の物語」ですか?

頭を使って見極めましょう。

あなたのメッセージを伝えるためには、そして美学や世界観、あるいは素材やキャラに合うのはどちらか。

よく考えた上で決断する。

それが作者の仕事なのです。

 

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イメージをストーリーにできない悩み

美しいイメージはあるのにストーリーにできないで悩んでいませんか?

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自分だけの物語をそろそろ本格的に書きたいのであれば「あらすじ」を作ってみませんか?

どんなものでもいいから、とにかくストーリーを結末まで考えてみませんか?

そのために、まずは「あらすじ」を1本、とりあえず最後まで書ききることを目指しましょう。

小説や漫画やシナリオとして完成しなくてもかまいません。新たなストーリーがデザインできればいいのです。

ただし、『物語』と『あらすじ』の間には文章量以外にも大きな違いがあることを知っておく必要があります。

あらすじと物語の間には

「ホラーの帝王」スティーヴン・キング大先生は『あらすじ』と『物語』についてかつてこんなことを書いてました。

以下はけして正確な引用ではありません。かなり大雑把に紹介しております(^^

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

「ヘンゼルとグレーテル」と聞くとあなたは一番にどの場面を思い出しますか?

多くの人が挙げるのは「目印のパンくずを小鳥が食べちゃうところ」でしょう。

ところが、ストーリーの筋という目線から眺めてみると実はこのシーンは、物語の主題とはあまり関係がないのです。物語の運びに絶対不可欠なものでもありません。

しかし、ある意味ではこれこそが物語そのものを決定的に支配している要素だと言えます。

この部分が、まかり間違えば退屈な話になりかねない題材を、誰もがゾクゾクする、100年経っても面白い物語に仕立て上げています。

その強力なイメージを持つ細部を生み出すことこそがストーリーテリングという魔法の本質なのです。

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

さすがにいいこと言ってます、S・キング。

物語の面白さの本質はストーリーテリングそのものにあり、単なる筋立てなんぞには最高に魅惑的な「何か」がない、と言っているわけです。

まさしくそのとおりです。基本的に『あらすじ』なんてものは読んでもちっとも面白くありません。なぜなら、そこには決定的なものが欠けているからです。

その決定的なものの多くは、おそらく「美」であり、いわゆる細部に宿る創作の女神の張り手的な一撃だと思われます。

「美」は物語の最も重要なエレメンツ

ところが、それほど強烈な要素だからこそ、私たちが物語を発想する際にまずそこから入ってしまうことが多いんですね。

しかし、それではまず失敗します。ほとんどの場合、その最初のインパクトを超えられずさらに話を盛り上げていくモチベーションがなくなるのです。

そこで必要になってくるのが面白くもなんともない『あらすじ』なんです。

あらすじ作りこそは職人の技術であります。そこに必要なのは「独自の美しさ」というよりも「安定して着実に生産できるセオリー」なのです。

芸術至上主義を唱える前に、まずは自分の職人としての腕を確立しなければ創作なんて出来っこありません。

また、美しいものを確実に美しく表現できるようになるためにも、その再現精度を高める理詰めの方法論が必要なのです。

とにかく最初は、いかに正確に、ある表現レベルまで達するか。そして、どれだけ確実な生産力を身に付けるか、ということに全力を傾けてください。

やるべきことをきちんとやっておきさえすれば、残りの時間は「最高に魅惑的な何か」に没頭できるのであります。

キャラや世界観によって醸し出される「美」が『建物』だとしたら、あらすじ作りは『宅地造成』みたいなものであります。

地盤固めや配管や配線と同じで、人の目に触れることはないけれども建物を建てるためには絶対に必要な基礎工事です。

あらすじは、物語のインフラ

例えば、主人公が成長する物語であるとか、苦労して夢を掴むとか、ひどいことをされた奴に復讐するとか、ありえない力を手に入れて逆にさんざんな目に合うとか、そういう大きな方向性ぐらいは初期の段階で決めておかないとストーリーは第1章で止まります。

それをイヤでも作るのが「あらすじ作り」であり、そのために「型」を使ってストーリーをデザインするのに必要な準備をするのです。

主人公の目的や、そのゴールが達成できるかどうかを決めずに物語を作り始めるのは、ライフラインのない家に住むようなものです。

もう一度言っておきましょうね。

基本的に『あらすじ』なんてものは読んでもちっとも面白くありません。だから、必要なのにも関わらずみんな遠ざけたがるのです。

しかし、どんな業界においても基礎知識の有無は決定的です。そのイロハだけでも学んでおくと恐るべき効果があることを知っておくといいですよ。

あなたの主人公には対立する「敵」が必要か? それとも、主人公の目的をジャマする障害物があるのか?

主人公は追いかけるべき「目的」を持っているのか? それとも、たまたま問題に巻き込まれてしまうのか? あるいは、一見そう見えて実は最初から敵の仕組んだ罠だったのか?

読者の興味を持続させるためにどんな謎を投げかけるのか? そしてその謎にはどんな答えを用意するのか?

もしくはいわゆる「やおい」的な作品として完成するつもりなら、どこに注意して会話すれば、より深い共感を持ってもらえるのか?

以上のような問いに対して答えるすべを持っていないのなら、まずは「1日1あらすじ」を目標に、たくさんのストーリーを考える練習をしてみてください。

その際には、キャラの見た目から妄想に入るいつものやり方をぐっと我慢して、「物語の進め方」を地道にしっかりと固めることが大事です。

豊かな果実をすぐに手に入れたいのに草むしりと地ならしは一見それほど楽しい作業ではないかもしれません。

しかし、そこから始めるのが最も効率的なやり方だと私は信じています。

 

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クライマックスの作り方

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TVドラマ「ミディアム」

全米で人気を博したTVシリーズ『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』は、死者からのメッセージを夢に見るという能力を持つ実在の女性をモデルにした作品です。

そう言うと、オカルトものかと思われるかもしれませんが、意外にもホームドラマを絶妙にブレンドした明るく楽しい検察ミステリーなのです。

とは言え、起こる事件は殺人、誘拐、強盗、暴行。ヒロインのアリソンは三児の母でありながらその特殊な能力のために、家事の合間に血なまぐさい犯罪現場に駆り出される日々。

被害者や犯罪者の霊、時には亡くなった先祖からも頼られて、悪夢にうなされながら難事件を解決していきます。

妻の不思議な力をいまいち受け入れることができないロケット工学者である夫と、どうやら母親の能力を引き継いだらしい三人の娘たちに囲まれて、危険な業務や恐怖の心霊体験にドタバタしながらも幸せな家庭生活を送る主婦の物語です。

カテゴリーぎりぎりの独特な設定がやみつきになる一話完結型なのですが、ミステリーとして非常にしっかりとした骨組みを持っています。ヒロインの霊感はあくまでも推理の材料の一つであり、それだけに寄りかかった解決はしません。

「問題解決の切り札」の設定が見事なのであります。

私は今、1周見終えて(全7シーズン130話ありますが)2周目のシーズン2に突入したところです。1周めは楽しむだけでしたが、今度はコツコツと構成をチェックしながらの鑑賞となります。特に気を入れて行っているのが、その多彩な「問題解決の切り札」のパターン分析です。

いやー、とっても参考になります。
というか、宝の山であります。ありがとうハリウッド!

問題解決の切り札

この作品で学んだ数々の切り札テクニックはいつか発表したいと思っていますが、それにしても感じるのは『基本の大切さ』です。物語終盤で起こるどんでん返しや逆転を成立させるために、各登場人物のストーリーラインがどんな役割を担っているのか? そして、難解な事件を最後の3分で解決するために、いったいどんな切り札を用意すればいいのか?

そんなエンタメ・テクニックの全てを理解し、吸収するためには、人を楽しませるストーリーの基本的な構造を知らなければなりません。

特に重要なのが「問題解決の切り札」の知識だと私は考えています。

これを知っているのと知らないのとでは、構造分析にかかる時間が10倍ぐらい違うと思います。

無知は、せっかく名作で惜しげも無く披露されている「切り札」の数々を自分のものにするチャンスをふいにし、あなたの作品の評価を一挙に3段階ほど上げるための技術(本当にちょっとしたコツです)を一生手に入らなくします。

特に「どんでん返し」や「切り札」などの重要なポイントに対する知識の欠如はストーリーテラーにとって致命的だと思います。

もちろん自己流でも学べます。私のようにお気に入りの名作を見つけて、納得できるまでノートに書いて徹底的に分析すれば、誰でもスキルを身につけることが出来ます。ただ、ひと通りのパターンを把握するだけで数年かかると思います。

 

クライマックスの作り方

クライマックス・シーンとは問題を解決する場面です。

「無実の罪で追われながら主人公はどうやって真犯人を捕まえるのか?」
「スパイが恋人を敵国の牢獄から救出すると同時に機密情報を盗み出すには?」

素晴らしいクライマックスを作るには、そんな難問奇問を解決するための『切り札』を設定する必要があります。

そして、その『切り札』の仕組みが分かれば、誰もが唸る問題解決方法をもっとサクサクと作れるようになります。

これまでさんざん苦しめられてきた、「盛り上がらない終盤」と「長すぎる執筆停滞」から、あなたを解放することが出来るのです。

手に汗握って引きこまれ、何年経ってもそのカタルシスが忘れられない……
そんなクライマックス作りは物語創作の最重点課題です。

 

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。

面白い物語のコアなアイデア

面白い物語のコアなアイデア発想法

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分かりやすく面白い話を発信するために

今、この文章を読んでいるということは、あなたは近々に「是が非でも何か面白い話を作って発表しなければならない!」という立場にあるのだとお見受けします。

その物語は小説になるのかもしれないし、漫画かもしれません。ドラマの脚本やゲームシナリオということもあるでしょう。あるいは、商品を売り込むためにセールスレターをまとめているのかも。

しかも、応募の締切が近づいているとか、週明けの会議でプレゼンしなければならないとか、学校の発表会が迫っているという切羽詰まった期限があるのでは?

ジャンルや動機が何であるにせよ、のんびりしてはいられません! そこまで追い詰められているのであれば(笑)今すぐ以下の2つの技と知恵を身に付ける必要があります。

(1)自分の考えや気持ちを他人にわかりやすく伝える発信力(たとえあなたが人と接することが苦手でも)

(2)誰もがあなたの話を喜んで聞いてくれるようになる方法論(たとえ初対面の人が相手でも)

そして、その2つを同時に満足させ得る答えはただ一つしかありません。それは、『面白い話をする』ことです。
面白ければ興味を持って話を聞いてもらえます。それどころか、相手はすすんで理解しようとさえしてくれます。

ぴこ蔵メソッドの目的とは、まさにそんな「面白いストーリー」の創作体験であり、その究極のスキルが「どんでん返し」に代表される『驚き』を作るテクニックというわけです。

ただ、実はここに至るまでに、ぜひ知っておいたほうが良い技術があります。

それは、面白い話の元となるコアなアイデアを作る方法です。

最もシンプルな作り方

物語の中心的なエピソードがありきたりだと、どう頑張ってもやはり面白くはなりません。核心となるシーンには、少なくとも読者や観客を「ほほぅ」と驚かせるだけの、一定水準以上のクオリティを持つアイデアがなければ盛り上がらないのです。先々の展開を読まれてしまいますからね。

では具体的にどうすればいいアイデアを思いつくのでしょうか。

ぴこ蔵が最も信頼し敬愛するイタリアの児童文学者、ジャンニ・ロダーリはこう言っています。

「面白い物語を作りたければ、まずは、二つの言葉(概念)の面白い組み合わせを見つけること」

ロダーリはこの手法を『ファンタジーの二項式』と名づけています。この時、言葉と言葉との間に「距離」があればあるほど面白い成果が出るということです。

ロダーリは例として「犬」と「たんす」という組み合わせをあげています。確かにいい具合に距離を感じますよね。

『ファンタジーの文法 物語創作法入門』ちくま文庫 訳・窪田富男)

ただ、案外この「距離」の発見が難しいのです。距離と言っても、もちろん物理的なそれではありません。ドラマ性を感じ取るのは人の心理の働きであり、つまりは「意外性」なのであります。

対立する感覚を見つけるのが早道

距離発見のカギの一つは、例えば「快」と「不快」といった対立する感覚です。
対立からは心理的な距離が生まれやすいのです。

例:【快】好きなものや楽しいもの×【不快】嫌いなものや怖いもの

・ガトーショコラ(チョコケーキです)×注射
・アイドル×怪物
・牛丼×暴走族

そんな対立する物同士の組み合わせが心のトリガーを引きます。振り幅というやつですね。

前置詞を使えば思いがけない組み合わせが見つかる!

ここでさらに面白い関係性を発見するために、ロダーリのテクニックを利用してみましょう。それは「前置詞」を使うという技です。

「何を突然、英語の勉強なんか始めてくれちゃってんだよ」と身を固くしたあなた。
大丈夫ですよ。中1で習ったごくごく簡単な前置詞を思い出すだけでいいんです。

in,on,from,to,for,by,of……etc.

これくらいだったら誰でも知ってますよね。

これらの前置詞を使って、先ほどのような「名詞の組み合わせ」の新たな関係性を探すわけです。すると自分が発想したことのない絵柄の状況を発見できます。

ちょっと面倒くさいかもしれませんが、それにも関わらずわざわざ使いたくなるぐらい、この手法は発想に便利なのです。具体的にやってみましょう。

「名詞+前置詞+名詞」から短いエピソードを作る

まずは御本家の発想例から紹介しましょう。前述の『ファンタジーの文法』によると、ロダーリは「犬」と「たんす」という名詞の間にイタリア語のさまざまな前置詞を配して

・たんすを背負った犬
・犬のたんす
・たんすの上にいる犬
・たんすの中にいる犬

……などの状況を作ってみたそうです。

そしてロダーリが選んだのは「たんすの中にいる犬」でした。つまり、「犬 in たんす」というわけですね。この絵柄が作家の心の何かをピピっと刺激したのだと思います。

さらにその状況から……

「主人公が帰宅すると、家の中のあらゆるたんす、家具、家電の中に犬がいる。しかし心優しい主人公は彼らを追い出すのではなく溺愛し、犬の食事のために毎日10キロの肉を買い続ける。するとそれを怪しんだ肉屋があらぬ噂を流し、人々がそのデマを拡散し、しまいには警察がやってきて……」

という物語を発想したのです。

それでは、ロダーリ先生に負けないように、私たちもこの手法に挑戦して「今まででは考えつかないような発想」を生むコツをつかみ取ろうじゃございませんか。

私は大好きな「ガトーショコラ」と大嫌いな「注射」という組み合わせを選ぶことにします。

(1)さっそくガトーショコラと注射の間に前置詞を置いてみましょう。

・ガトーショコラ from 注射
・ガトーショコラ to 注射
・ガトーショコラ for 注射
・注射 in ガトーショコラ
・注射 on ガトーショコラ

(2)そして、この組み合わせの中からぴこ蔵が選んだのは……

「注射 in ガトーショコラ」

(3)その視覚的なイメージとしては……

・ガトーショコラの中に隠された注射器

これは怪しい。危険な香りがしますねえ。なんでまたそんなことをしたのでしょうか? 何かが起こりそうな気配が立ち込めてまいりました。

ピンとくるかどうかは、こうして前置詞が示す状況をビジュアルで想像すると分かりやすいと思います。私にはなんとなくそんな絵柄が見えたわけです。

チョコケーキではなくガトーショコラという一歩踏み込んだ名前を使ったというのも、ある種の雰囲気が感じられて想像がふくらんだ原因かもしれません。

また、注射ではなくて「注射器」に変更したのも視覚化に役立ちました。発想のきっかけはけっこう微妙なところに潜んでいるのです。

それではこの状況を活かしてエピソードを作ってみましょう。

お話作りのヒント

「もの」は「人間(人格があるもの)」に結びつけることで、どんどん物語になっていきます。ストーリーとは登場人物に付随するものだからです。

そこで「ガトーショコラの中に隠された注射器」に人間をからませていきます。

・誰が注射器をお菓子の中に隠したのか?
・それはいったい何のためか?
・誰が最終的にこの注射器を使うのか?

それらの疑問に答えることで、自然に人間と小道具との関係が明らかになってくるはずです。

ここで大切なのは「対立」の原則です。

・誘拐の標的 VS 誘拐犯
・悪ガキ VS 大人

このように幾つか対立点を重ねると、緊張感が高まって面白くなります。

そして、とどめに「逆転」の仕掛けを入れることで、ストーリーがぐっと活性化します。そのポイントは――

・誰が最終的にこの注射器を使うのか?

……という「オチ」の周辺に存在します。

例えばこんな感じ:

———————
パーティ会場で金持ちの子どもに近づいて誘拐するために、悪者が睡眠剤入りの注射器をガトーショコラの中に隠し持っていた。ところがその子はいたずら好きな悪ガキで、先にその注射器を見つけて、悪者の飲み物に中身を注射する。緊張で喉が渇き、その飲み物を一気に飲んだ悪者。その服のポケットに空の注射器をそっと返す悪ガキ。ふらついて倒れる悪者。介抱した人がポケットの注射器を発見して警官を呼ぶ。麻薬常用者として逮捕され、千鳥足で連行されていく悪者。
———————

こんなふうに、「ファンタジーの二項式」を使って、小さな、しかし何かピリッとした事件が起こるエピソードを作ってみましょう。

 

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面白い物語を組み立てる

面白い物語を組み立てるためのマストなプロセスとは?

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物語作り、最初は楽しくなければいけません

初心者の作品は、往々にして抽象的過ぎて、何を書いているのか分からなくなりがちです。

いかに高邁な真理が書かれていても、そこに読者の望む刺激的で興奮を誘う情動、あるいはよほど目新しい発見や衝撃的な思想などがない限り、頭でっかちで退屈な作文だと認識されるのがオチです。ですが、誰でも最初はそんなものなのです。むしろ、それでいいのです。

「物語を語りたい」「心の中で燃え上がるイメージを言葉にしたい」そんな原初の衝動がペンを握らせキーを叩かせるのですから、他人が何を言おうと関係ありません。そこに必要なのは技術よりも意志です。

あなたは何もない所からエンタメストーリーを作っていくのです。ゼロから数字を生み出すという一種の奇跡を起こすわけです。この段階で文章や絵の批判に耳を傾ける意味は全くないのです。

机に向かって最初の何百文字かを書きつけるというのはまさにそういった自分だけの情熱に身を任せることに他なりません。時間にすれば二時間ほどでしょうか。ただし、狂気の二時間です。この間はどうぞあなただけの幻想、妄想、瞑想に思いきり耽溺してください。ここは作者の時間帯です。

次の段階は読者のために

しかし、もしもあなたが次の数時間を今度は読者のために使う気持ちがあるのであれば、どうか頭を切り替えていただきたいと思います。少しでも分かりやすく、一瞬も退屈させることなく、そして可能な限り空想の翼を広げてもらうために、サービスの鬼と化して全力を尽くしてください。

初心者は取材なしで本編を書き上げようとします。これではリアリティーが生み出ません。妄想だけではバランスの悪い、非常に幼い世界しか表現できません。いかなるファンタジーであっても、大切なのは読者が生きている現実世界の常識や感覚です。そこに違和感があれば(それが意図されていない場合には特に)読んでいる人は共感を持てなくなってしまいます。

そもそもエンタテインメントというものは「人生の意味を問いかける」純文学とは違って、「人生は生きるに値する」という前提から出発します。哲学や芸術を追求するのならばエンタメに手を出してはいけません。ここは徹底的に技術だけが支配する職人の世界です。目的はただ一つ、時間を忘れて楽しんでもらうこと。

エンタメとは、不条理な人生を生きる人たち、弱っていたり傷ついている人たちを支え、癒し、応援するために求められる存在であることをけして忘れないでください。自分の主張や意見をただ発表してもしょうがないんです。読者に心の底から愉しんでもらえないと意味がないんです。

では具体的にどういうふうに考えていけば、自己満足の殻から一歩踏み出した客観的に面白い作品を、合理性を持って作り出していけるのでしょう。そのためにはコンセプトを明確にすることが重要です。楽しませるための的を絞るわけです。

コンセプトをはっきりさせよう

例えば「想定する読者は誰で、ジャンルは何で、刺激したい感覚はどれか」そんなこと考えたこともないという人がほとんどだと思います。夢も希望もない話だとがっかりされる方もいるかもしれませんね。

しかし、それが物語が面白くならない大きな理由です。

書きたいものを書くな、読みたいものを書け! と申します。

どんな人がどんなものを読みたがっているのか? その嗅覚がなければエンタメのプロにはなり得ないのです。しかも、大きな作家になりたければ、より大きなターゲットを狙うことが必要です。

そのために、あなたはどんな読者に対して作品を書いていくのか? その読者層はあなたの目標にしている人数を満足させるのか? 一度でいいから考えてみるべきです。

これは作品の質を下げる卑しい考え方だと思う方もいるかもしれません。作家たるものはそういう商業的な観点で作品を見てはいかんのだ、とプライドを持って断言する人もいらっしゃるでしょう。

いつも言いますが、そういう方は純文学を書くべきなのです。人生の意味を問い、人間の本質をえぐり出し、社会を批判し、世界に警鐘を鳴らし、人類にとっての文学の可能性を追求すべきです。

しかし、あなたが創作対象に選ぶのはエンタテインメント作品です。文学的アカデミズムとは一線を画した「大衆の娯楽」なのです。

私たちは、路上の大道芸人であり、街角のバンジョー弾きであり、薄暗い部屋にたたずむカードマジシャンなのであります。私たちが知らねばならないのは『現実世界』とそこに棲む人々。そして彼らの情念です。私たちは読者をもっと知らなければならないのです。

逆に言えば、ターゲットがはっきりすれば格段に書きやすくなります。その上で、その制約に沿ったテーマを考えます。テーマと言うのは抽象的なことではありません。

「主人公の目的は何か?」「邪魔をする敵や障害物は何か?」「主人公のゴールはどこか?」そして「主人公の意識や世界の変化をどう表現するか?」これらをそれぞれ決めたら全ての要素を一連の流れにしてください。

まずは『目的』です。主人公が何を求めて行動するのかを決めるのです。そのきっかけとして「何者かに大切な何かを奪われる」ことで目的が作りやすくなります。そうするとゴールは必然的に、『いかなる形で目的を果たすか?』つまり、「奪われた大切なものを回復する方法は何か?」という『形式』の問題になるわけですね。

「奪還」「復讐」「獲得」

物語における「目的を果たすための形式」には大きく分けて三つのパターンがあります。それは「奪還」か「復讐」か「獲得」です。

奪われたものを奪った相手から取り戻すのが「奪還」です。奪い返せない場合の欠落感の代償行為が「復讐」です。そして、奪われたものではなく新しい何かをゲットするのが「獲得」です。大概の物語の目的は以上の三つのどれかになるわけです。

さて、『敵』とは「主人公から何かを奪った者」であったり「目的を追う上での邪魔者」ということになります。ポイントはそこに「恐怖心」が存在することです。この陰りがない相手はあまり魅力的な敵にはなりません。「恐怖」こそが『悪』を生みます。

主人公はそんな『悪』を抱いた敵に対する自分の中の恐怖心と戦うことになります。恐怖に負ければ主人公もまた『悪』に染まるのです。そういう意味では主人公と敵は合わせ鏡です。そんな恐怖心を克服するからこそ戦いに意味が出てきます。そして、その克服の過程こそが『変化』なのです。

『目的』『敵』『変化』

この『目的』『敵』『変化』が決まれば物語の背骨が出来ます。

「奪われた『目的』を追う主人公が、欠落感からの回復を邪魔する『敵』と戦って、悪への入り口となる恐怖心を克服するために『変化』する」

必然的にゴールはその流れに沿って決まるでしょう。エンタメ作品のストーリーを構成しようと思ったら、まずはこの話を800文字で作ってみましょう。コツは具体的な行動や事件を設定することです。

例えば「ヒロインが本を読みながら考える」だけではあまりにも画面が動きません。そこには椅子に座った女の子がいるだけです。大切なものを奪われた主人公はそれを追いかけなければなりません。歩くにせよ走るにせよ、バイクや車や飛行機に乗るにせよ、主人公は椅子から立ち上がり、扉を開けて外に出るのです。

あくまでも具体的に。意識描写や抽象的な表現はまだまだ書いてはいけません。何が起こったか、どう行動したか。全てはまずそこから始まるのであります。

悪と正義、どっちがどっち?

友人のシナリオライターさんからFacebook上にこんな記事があると教えてもらいました。

秀逸なのでシェアします。
↓↓↓↓

「正義の味方と悪の組織の違い」

悪の組織の特徴
1 大きな夢、野望を抱いている
2 目標達成のため、研究開発を怠らない
3 日々努力を重ね、夢に向かって手を尽している
4 失敗してもへこたれない
5 組織で行動する
6 よく笑う

正義の味方の特徴
1 自分自身の具体的な目標をもたない
2 相手の夢を阻止するのが生きがい
3 単独~小人数で行動
4 常になにかが起こってから行動
5 受け身の姿勢
6 いつも怒っている

※ ネット上では有名なコンテンツなのだそうですが元ネタは見つけられませんでした。

悪があってこその正義の味方

上記の「悪と正義」の対比ですが、両者とも最後の1行が特に秀逸で笑ってしまいます。まあ、この記事自体は半分ジョークなんですけど、半分は非常に正確に「悪と正義」の実相を捉えています。

要するに、正義と言うのは悪に対する対症療法的な抵抗であり、悪よりもずっと狭い行動基準によって成立しているわけです。正義はそれだけで自立する現象ではなく、あくまでも先に「悪」が存在し、誰かに何らかの損害を与えるから「正義」の味方がその補償を求めて立ち上がるのであります。

そんなわけで、物語の主人公が正義の味方型の場合、その目的の大半は「復讐」か「奪還」になります。

持っていないものを「獲得」しようとしてその行為が他者や共同体に迷惑をかけた場合、その人間は『悪』として断罪されます。それがいいとか悪いとかの問題ではありません。

能動的な行為が「悪」であり「欲望」だと断罪されてしまう状況は地球上の至るところに確かに存在します。実際、目立つことが悪と同義のように扱われてしまう文化はこの日本においてもさんざん目にするところであります。

それを念頭において、状況に合った「悪役」を造型することが、あなたのキャラの説得力を増す上で重要なのです。

 

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物語の終わらせ方

しりとりで体感する「物語の終わらせ方」

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あなたは誰かにこう聞かれたことはありませんか?

「物語がうまく書けないんだけどどうすればいいの?」

今回は、そんな時にどう説明すれば構成のコツが伝わりやすいか、について考えてみました。

例えば、ミステリーは犯人が誰かを当てるのがゴールですが、それだけでは単なるクイズです。謎解きオンリーではあまり面白い物語にはなりません。「さて、犯人は誰でしょう?」という問題にたどり着くまでに、もっといろんなお楽しみがあってこそのエンタメであります。

そのお楽しみというのは、例えばシャーロック・ホームズや金田一耕助のキャラクターの魅力であったり、複雑な人間関係の奇怪さであったり、舞台となる世界の不気味さであったりするわけですよね。

それらを表現するためには、ストーリーにいろんな枝葉を広げなければいけません。雰囲気や背景を伝えるために本編とは関係のないエピソードを入れたり、話に説得力を増すためにちょっとした登場人物を出したりします。

そういう話って、伝えなければならない情報や結論がはっきり決まっているので、わりと筆が軽くなり、書いているうちにどんどん楽しくなってくるんです。

気が付くと本編とは関係のない方向へと話が広がってしまい、なかなか元に戻せないことがあります。散歩がてら里山を見に行ったつもりが、思わぬ山菜の豊作に夢中になり、森の奥まで深入りしたあげく、道に迷って遭難してしまうのです。

物語を完成させるにあたって気を使わねばならないのは、このように「前半に伏線や世界観構築のためのエピソードで思いっきり広げた話」を、どうやって「後半ではどんでん返しやクライマックスに向けて収束させるか?」ということです。

用事が済んだら本道に戻らなければなりません。しかも、突然ぴょんと一足跳びに戻ってもお話が分かりにくくなります。じわじわと周到にやらなければ、ムードもサスペンスもあったもんじゃございません。

それでは、恣意的に広げた話をうまく収束させるためにはどうすればいいのか?

それには、「帰り道への方角」を確保しておくことです。

「このあたりでそろそろこっちの方向へ舵を切っておかねば!」というポイントを準備しておくことが大事なのです。

しかし、思いつくままに話を広げていく作り方しか知らないと、そのポイントが分かりません。その結果、なんとも曖昧で完成度の低い結末しか迎えられず、犯人の正体が分からないミステリー(笑)や、幽霊の出てこない心霊体験(泣)を書いてしまうハメに陥ります。

だからこそ、「オチのアイデア」や、「あっと驚く意外な結末」の構想をあらかじめ作っておくべきなのです。

早い段階でそれさえ作っておけば、物語の未完成率はもっと下げられます。

「そんなことは分かっているんだけど、途中で別の話が盛り上がったり、魅力的なキャラが出てきたりして、せっかく楽しくなってきたのにと思うとなかなか気分がそっちに向かわないんだよね」

そうなんです。

人は、降って湧いた苦痛にはある程度立ち向かえますが、快楽を諦めるのは苦手です。ましてやその後に苦難が待っていると思うと……、そりゃ楽しいことを優先しますよね。

でも、それではいたずらに時間ばかりかかって、しかも物語がついに終わらないという最悪の事態になりかねません。

問題は、いかにそのクライマックスと結末に向けて方向転換するか、なのであります。

そこで、ぜひ身につけていただきたい『感覚』があります。

物語を終わらせるための『感覚』です。

それには、ある“お遊び”を体験するといいのです。終わらせる流れに入るタイミングを理解しやすくなります。

どこらへんまで話を広げたら、収束への道を探せばいいのか?

それには実は、ある変わった“しりとり”をやってみると分かるのです。

この“しりとり”にはちょっとした特別ルールがあります。

それは、スタートとゴールの単語をあらかじめ決めておくこと。

そして、単語を必ず10個使うこと。(スタートとゴールの単語を含む)

論より証拠。
それではさっそく、試しにやってみましょう。

例えば「リンゴ」から「パイナップル」へ、きっちり10個の単語でつながっていくしりとりをやってみましょう。

実際にやってみるとよくわかりますが、このようにスタートとゴール、使う単語数が決っているしりとりというのは、途中から「必要な文字」が語尾についている単語を探す『逆しりとり』になる局面を迎えます。

つまり
「9つ目の単語をパで終わらせるためにはどうするか?」

「9つ目を“ラッパ”にすればいい!

「では、8つ目をラで終わらせるには?」

「8つ目を“ゴリラ”にすればいい!」

そんなふうに『逆算』していかないと終わらないのです。そうしなければ、9つ目で、偶然語尾がパになる単語に当たるまで、ただただ闇雲に言葉を探すことになります。

この時、最後がパで終わる単語よりも、“ゴリラ”のゴで終わる単語のほうが、数が多くて見つけやすそうですね。

無駄な時間を費やすのが嫌なら、当然あなたは逆算するでしょう。

物語を終わらせる方法を理解するためには、この『逆しりとり』を考える体験が非常に有効なのです。

ただし、全てを逆しりとりにするとけっこう大変です。ある程度まで普通のしりとりをしないと時間がかかって仕方がない。

そこで、しりとりと逆しりとりを交互に繰り返しながら、中間点を探る感じになるのではないでしょうか。

逆しりとりを2つか3つ作ることで、思いつきやすい単語を用意しておきます。さらに、タイムトライアル方式で誰かと勝負すれば、効率的にしりとりをすることに集中せざるを得ません(^^

この感覚は、まさに、物語のあらすじを最後まで作りきる時に感じるのと同じものだと言ってもいいでしょう。

結末まで作らなければ物語は完成しないのです。枚数や制限時間という制約の中でベストを目指す。そのためには何にこだわり、何を割り切るのかを自ら決定しなければなりません。

「しりとりを10個の単語で完結させる」という制約によって、物語を収束するための考え方とその感覚を体験できると思います。

<実践に挑戦!>

さて、こうして実際に「10個の単語によるしりとり」が完成したら、次はその単語をそのまんまの順番で使って、物語のあらすじを作ってみてください。

まずはしりとりのスタートとゴールを決めておきましょう。

なんでもいいんです。

ただ、せっかくなら、あなたのお好きな言葉や、描きたい物語世界を象徴するような単語がいいでしょう。

例:

スタート「江戸城」→→→ゴール「隅田川」
スタート「黒魔術」→→→ゴール「マンドラゴラ」
スタート「機関銃」→→→ゴール「ヘリコプター」
スタート「三日月蹴り」→→→ゴール「かかと落とし」

後はひたすら、その間をしりとりで埋めてください。
単語は、スタートとゴールを含めて10個です。

しりとりが完成したら、その単語をその順番通りに使って物語を作ってください。

落語の「三題噺」と同じようなものですが、10個のお題を順番につなげていくには、さらにしっかりと構成する必要があります。

例えば、下記のガイドに沿った工程などが考えられます。それぞれの内容に「しりとりの単語」を当てはめていきます。

このぐらい無責任&無頓着に物語を作っていくと、案外簡単に、ほぼ自動的にストーリーが出来てしまうものです。

あなたの実力とはあまり関係のない話ですから、気を抜いて、パズルのつもりでトライしてみてください。

あくまでも一例ですから、このやり方が全てではありません。遊びのつもりでやってみて、それがストーリー作りのきっかけになれば十分なのです。

大事なのは、しりとりの単語という制限による重みをかけて、あなたの想像力をストレッチし、固くなった思考回路を柔軟にすることなのであります。

しりとりをすることで、日頃、好きな世界を妄想している時には出てこない言葉が混じってきます。「スマホ」が出てくる時代劇、「消費税」が登場する魔法使いファンタジーはあんまりないと思いますからね(笑)

ところが、よく考えてみれば、江戸時代にも遠距離情報伝達の仕組みはあったはずですし、税金システムのない社会は考えられません。

書きたいことだけを書いていると、そういう面倒なリアリティーは無視されがちです。

ところが、たとえあなたの空想上の世界であったとしても、そこに人間が棲んでいる限り、彼らは狼煙を上げたり、早馬を飛ばしたり、取引をごまかしたり、金融商品を作ったりしているはずなんです。

そういう細かいディテールが、物語世界に奥行きを与えます。誰もが共感できる手触りが出てくるのです。

登場人物の行動の動機が常に「プライドのため」とか「愛と正義を守るため」では飽きられます。そんなお約束に守られて細部にこだわらない都合のいい展開では、作家としてのスケールが小さくなります。

あえてあなたの好みではない「脱税のため」とか「人件費を削減するため」とか「密輸したパイナップルの腐敗を防止するため」に奔走する人物を描くことに挑むのです。

こうして書けるジャンルを増やして、新たな組み合わせを見つける努力をしなければ、新しい物語はなかなか生み出せません。

そこで、しりとりです。

意味ではなく音で選ばれた10個の単語が、かなりの無茶振りをしてくれます。しかし、最初と最後の単語だけは好きなモノを入れられます。

とりあえず練習用の課題ですが、うまく単語がハマれば、あなたのオリジナル・ストーリーが一個増えるかもしれません(笑)

想像の翼を畳んで、リアリティーの上に着地していくのは、翼をはためかせるよりもずっと大変で、知恵と体力のいる作業だということを知っていただきたいと思います。

しかし、だからこそ、そのコツさえ掴んでしまえば、どんなに長い、込み入った物語であっても、バテずに作り上げることが出来るようになります。

今はまだあなたの頭の中だけにしか存在しない素晴らしい物語を、大胆にして細心に、巧緻にして野性的に、現実世界に引っ張りだしてあげましょう!

■■しりとり物語の作り方ガイド■■

※これに従って書くというよりも、書いた後でチェックするための物差しです。うまく行かなくなった時に、その原因を探すのに使ってください。

(1)スタートの単語を使った興味深いオープニングシーン。

その事件の中で、この物語で解決すべき問題を提示できるといいですね。

思い浮かばない場合は、このシーンは最後に作ることにして、さっさと先送りしましょう。穴があっても後から埋めればいいんです。

(2)しりとり2つめの単語を使った興味深い出来事。

主人公やその仲間、敵など、主要な登場人物を紹介するために、「誰かが何かをしている」具体的なエピソードを作りましょう。

(3)3つめの単語を使った出来事をもう一つ。

ここでも、残りの登場人物を、その具体的な行動を語ることによって紹介してください。

(4)4つめの単語は大事件へと主人公が関わっていくきっかけ。

このあたりからいよいよメインストーリーの流れとなります。

(5)5番めの単語はミッドポイント。

この辺は物語の中間地点であり、転換点でもあります。
ここからはクライマックスへの流れを意識し始めてください。

(6)メインの大事件に、6つめの単語を使ったさらに大きな困難が加わります。

(7)いわゆる「転」、どんでん返しのチャンスです。

7つめの単語を入れて、どんでん返しを構築してみてください。

(8)クライマックス。8つめの単語を使って話を大いに盛り上げましょう!

ここでは「最大の難題」が主人公を襲うことを忘れずに!

(9)問題の解決。9つめの単語は「切り札」になるはずです。

スマートにやりたければ、物語前半のどこかにあらかじめこの単語を忍ばせておくと、良い伏線になるでしょう。バレないように、さりげなく。

(10)ゴールの単語を使った意外な結末。

最後の最後に新たに小さな問題を発生させることで、意外性が生まれます。余韻のある結末にするためです。

■以上、しりとりから物語を作る方法でした。しりとりをする際の『拡散と収束』の感覚を、そのままストーリーにも対応させてください。物語の構成力をつける練習なので、文章やセリフに凝る必要はありません。分かりやすければ箇条書きでもかまいません。

さあ、あなたもさっそく物語を作り、それをきっちり終わらせてみましょう!

 

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100年たっても小説を書く

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思えば手探りでショートショート小説を書いていた中学・高校生の頃、私は自分が書こうとしてどうも上手く書けないでいる、作品の『テーマ』というものがさっぱりわかりませんでした。

私は『テーマ』というものを、自分から発信するイメージやメッセージだと、誤解していたのです。

そこには、「宇宙の謎を解く」とか、「人生の意味を明らかにする」みたいな、途方もなく立派な目的が潜んでいなければならないと思っていました。

ところが私には、世界に向けてメッセージを発信できるような、深くて大きい哲学などありませんでした。

難しい問題を考えようとしても
「カレーパンやカレーうどんはあるのにカレー餅はなぜないのか」
ぐらいがせいぜいで、立派な思想どころか幼稚で薄い言葉すら出てきません。

悔しくてへこみました。
大いにプライドが傷つきました。

中学生当時は、ライティングのノウハウとして学校で教わった“作文の書き方”しか知らなかったのと、「まずは文学的なテーマを決めなくちゃ」と思い込んでいたのとで、背伸びした上にさらに大上段に構えていたのです。

私が書きたかったのは、純文学やジャーナリスティックなノンフィクションなどではなく、梶原一騎先生の『タイガーマスク』みたいなエンターテインメント小説であり、活劇漫画のシナリオだったんですけどねえ。

すっかりひねくれて星を睨んだ私は、いつしか小説や漫画やシナリオのテーマなど考えないようになりました。

その代わり、とにかく読者をびっくりさせることだけに集中するようになったのです。追い詰められた鼠が猫に噛みついた挙句の選択でしたが、結果オーライで「テーマ性」に対してある種の覚悟を決めることが出来ました。

テーマなんてものは、結果的に作品全体で表現できればいいや、と思うことにしたのです。

「とにかく優先的にストーリーを面白く語ることだけに集中しよう。白い原稿用紙のジャングルでは面白ければいいのさ、面白ければな。虎だ虎だ。お前は虎になるのだ!」

そう考えを切り替えると、今度はいきなり対極に走りました。テーマに沿ったキャラや暗喩を考えるのではなく、まずは読者を引きずりまわし、誤解させ、ネタをばらした時に「あっ!」と驚かせる話を作ろうと決心したのです。

人を驚かすために何が必要だろう? SF的な奇抜な発想や、ファンタジックなイメージの飛躍は有効だと思いましたが、そこにはいわゆるセンス・オブ・ワンダーが大きく関わってくるので、おそらく自分にはムリだろうと感じました。

鈍感で不器用な私にも出来るうまい訓練方法がどうしても思いつかなかったのです。

でも、どうにかして、面白い小説や漫画やシナリオのストーリーを書きたい。

そこでまずは「そのコツを最も確実に身につけるためにはどんな技術を学ぶべきか?」を考えました。

入手しやすいお手本がたくさんあって、面白くて通俗的で、しかも目的がはっきりしているジャンルは何か?

その結論として、長い歴史を持ち、すでに多くの研究者によって系統だてられている『ミステリー小説の構成テクニック』が強い武器になるのではないかと思い至ったのです。

重要視したのはその「論理性」でした。ルービック・キューブのように基本的なロジックがわかっているものは、反復して練習すればだれでも正解を再現できるからです。

それからはパズルを解くようにあらすじを組み立てるようになりました。テーマやメッセージについて最初から悩むことはしなくなったのです。

そんなことよりも、出来事のつながりを考えることで、ストーリーが最後まで破綻なく完成することに気づきました。

自分が書いている以上、自分らしさは登場人物の行動の選択に絶対に投影されるはず。そう思ったので形而上的で観念的な思索は放棄したのです。そして自分自身に言い聞かせました。

探すべきは、100年間変わらぬ評価を保ち続ける作品を作る方法だ」と。

流行している風俗や、それぞれの時代の社会状況にあったキャラクターのスタイル、最新の科学技術などはすぐに移り変わってしまいます。

知りたいのは、O・ヘンリーのような、具体的でかつ通俗的なスタイルを徹底的に踏襲したストーリーの『作り方』です。

O・ヘンリーが数々の名作短編を書いていたのは約100年前。その小説は世界中で親しまれ、何度も脚本化されては、今も舞台やTVで上演され続けています。世は移ろい、風俗や流行も変わっていったというのに。

そんなふうに、自分が死んだ後1世紀もの間、ずっと面白がってもらえるストーリーが作れたら最高ではありませんか。

「俺はこれから、通りがかりの人に面白い話を語って聞かせて小銭をもらう、街角のエンターテイナーになるのだ。通俗的な『面白さ』を売りにするからには、途中でネタがばれないように気をつけて語ろう。そろそろと慎重に騙していって、思いもよらぬ展開にして、後は思いっきりびっくりさせてやるのだ。ええい虎だ虎だおま(以下略)」

ひとつ間違えると振り込め詐欺師ですが、これでやらなければならないことが明確になったので、落ち着いて考えられるようになりました。

その結果、まず自分がやらなければならないのは、世界中の偉大なる先人たちが残していった名作を解析することだと思いました。とくに、具体的なエピソードをいかに構成しているかに集中しました。

エンターテインメント・ストーリーで重要なのは、何よりも「面白いアイデア」です。キャラや世界観は重要な要素ですが、その前に優れたアイデアがなければ、当然ながら話は面白くならないのです。

小説や漫画やシナリオにおいて、特に短編作品の出来は、中心となるアイデアの良し悪しに直結します。短編を作りたければ、できるだけたくさんの短編、それも評判のいい作品、いわゆる「名作」を探して分析することが大事です。

まずは「その名作のどこが面白いと感じたのか?」と自分の中で考えぬき、言語化して、できるだけその感覚を明確に把握しようと努めました。

そうやって面白い部分のコアをピックアップできたと思ったら、次に、「なぜか? どうしたらそうなるのか?」ということをじっくり考えるようにしました。

図解でもなんでもして、具体的なエピソードを抽象化し、普遍化し、言葉に固定できるまで自分なりに分析するのです。

ここで妥協してはいけないと肝に銘じました。自分がとことん納得できなければその面白さを他人に伝えることはできません。

そして、その作品を面白くしている理屈が完璧に理解できたら、その論理を、キャラや世界観を変えて「再現」してみました。

漠然と感じていた『面白さ』をオリジナルとは全く違う設定の下で確実に再現できたとき、その名作の力を使いこなせるようになります。

技術を学ぶというのはそういうことだと思います。そんな名作の『面白さ』を再現するためのコツを探るべく、あなたの愛してやまない物語の一つを楽しく解析してみましょう!

※新潮文庫『O・ヘンリ短編集』は短篇テクニックの宝庫にして教科書であります。(一)から(三)までありますのでぜひ全部読んでください。

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。

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満月の夜に狼男を駆使して読者をあっと驚かせるには

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あなたの作った物語をエンターテインメントとして評価されたければ「読者をあっと驚かせる」ことが不可欠。そのための効果的な方法論の一つが『どんでん返し』という技術である。

もしもあなたの作る物語が、それを読んだ誰かに「陳腐だ」「よくある展開だ」「退屈極まりない」「だからお前は」「そもそもお前って奴は」などと血も涙もない酷評を浴びたとしたら……。

あなたが物書きを標榜する以上、そいつの頸動脈を絞めあげる前に、急いで物語に『どんでん返し』を組み込むべきです。そしてその腰を抜かさせてやるのです。怒りこそは力の源泉であります。腹立たしい批評を喰らったら、反省なんかしないで怒りに燃えればいいのです。そして次はそんな批評を絶対にさせないような圧倒的に面白い作品を書いてみせましょう。

信じきっていた登場人物の怖ろしい正体に震え上がり、少なくとも一週間は一人で学校や会社のトイレに行けないぐらいの、あるいは亭主の幸せそうな寝顔を「こいつもしかしてワシのヘソクリ狙うとるんちゃうんか?」と疑惑の目で見てしまうぐらいの、そんな驚愕と衝撃を与えてやりましょう! そうすればもう誰も二度とあなたの作品に対して「面白くない」とは言わなくなるでしょう。

それでは、読者の腰が抜けるようなどんでん返しをうまく仕掛けるためにはどうすればいいのでしょうか?

『3匹のモンスター』メソッドによって分類された敵のどんでん返しには、それぞれ固有の「伏線と連動」のパターンがあります。

※言ってる意味がよくわからない、という方は以下の講座をお読みください。
『創作講座(どんでん返し編)』

例えば、『狼男』というタイプを使ったどんでん返しを見てみましょう。

主人公自身の中に本当の敵がいるタイプの場合、そのどんでん返しの存在を読者に嗅ぎつけられないためには、まず主人公がその事実を知らないということが大前提です。主人公は自分自身が怖ろしい『狼男』であることに気づいてはいけません。ところが内部にいる『狼男』は、そんなことおかまいなしに悪事を働く。

主人公にそのことを悟られないためには主人公の記憶を奪わなければなりません。主人公が気づけば読者も気がつくからです。しかし、エンタメとしてここが肝心なところなのですが、伏線だけはしっかり張っておかねばなりません。後になって「しまった! そういえば!」と想起されるからこそ衝撃を与えられるのです。

そういえばあの時……「主人公は誰かに睡眠薬を飲まされて眠りこけていたはずだ!」とか「現場に到着するのが妙に早いな、と思ったんだ!」とか。なんだか小さな違和感があったのに見逃していて「そうか、あれはそういうことだったのか!」と後から気がつくわけですね。

でも、地団太を踏んでももう後の祭り。

「思えばヒントは与えられていたのに、ああ悔しい。でも、引っ掛かっていた胸のつかえが解消された。こりゃ気持ち良くだまされたなあ。この作者の物語をまた読みたい!」

あなたもそんな感想がもらえるような物語を書いてみましょう。

この『狼男』タイプの物語には、伏線として「主人公が意識を喪失する」場面が不可欠なものとなります。主人公が気を失っていないと、その意識を伝わって読者に真相が判ってしまうからです。

さらにその他のタイプの敵を組み合わせてどんでん返しを作る場合は、そちらの伏線も敷いておかねばなりません。

例えば……

※偽敵=狼男、本敵=ドラキュラの組み合わせによるどんでん返し

★敵は自分の中にいると思ったら、実は別にいた★

【このどんでん返しの特徴】
物語の基本的な型としては、狼男、つまり【主人公の内側に隠れている敵】を囮にして、本敵ドラキュラが主人公をペテンにかけるという構成です。

つまりこれは「自分の中にいる何かが知らないうちに悪事を働いていた」とばかり信じこんでいたら、実は「悪党にすっかりだまされていた」という話なのです。

どんでん返しが訪れて真犯人が明らかになり狼男の恐怖が真っ赤な嘘だったとわかることで、一転してとてつもない解放感と爽快感を体験することになります。悪いのは自分じゃなかったんだ! と、ほっと安堵できるわけです。

このどんでん返しは、だまされたことによる痛みや苦しみの後で、素直に人生の喜びや楽しみや有難みを味わうために使うと非常に読後感のよいストーリーになるでしょう。

本敵は「偽の記憶(記録)」を巧みに操る知能犯

さて、それでは主人公の内部に別の人格がいるという真っ赤な嘘をでっちあげ、それを信じ込ませるためにどんな手口を用いるか。

この物語にはどんでん返しを成立させるために本敵の補助をする伏線が必要になります。それは「主人公をだます客観的な証拠」を見せるというものです。

つまり『本当の敵』は「主人公が意識を失っている(眠っている)間に、別人格が主人公の肉体を乗っ取って悪事を働いている」という決定的な記録を捏造する必要があるわけです。具体的に言うならば、主人公自身には覚えがない行動が写っているビデオや写真であるとか、あるいはその行動の目撃証人をでっち上げるのです。(ちなみにぴこ蔵はこれらを『記憶装置』と呼んでおります)

このタイプのどんでん返しには、ロジカルな結論として、最低限この仕掛が不可欠なのです。

このようにして、どんでん返しを成立させるには、必要な小道具や人間関係を用意し、そのたびにさまざまな伏線を張らなくてはなりません。どんでんのタイプを選択した瞬間に、好き嫌いに関係なく、必ず書かねばならないシーンが発生するのであります。

どんでん返しを作ることによって主人公のキャラクターや物語のテーマとかを語る以前に伏線が自動的かつ必然的に決まっていきます。Aだと思ったらBだった、というだけのシンプルなパターンの中には実は非常に複雑なストーリーが折りたたまれているのです。

これをゼロから考えるのには大変な時間と労力がかかります。しかも、苦労したあげく誰もが同じ結論に達するわけですから、最初からその定石を知っていれば自分でも驚くほどのスピードで、破綻することなくストーリーが作れます。

まずはどんでん返しを選ぶ。そしてそれに必要な伏線を張っていく。ぴこ蔵がまとめた10タイプの『どんでん返しが入ったあらすじの型』には、それぞれに必要不可欠な伏線があらかじめ組み込まれています。この連動の構図を知ることにより、あなたの物語構成力は格段にレベルアップすることでしょう。

 

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