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主人公の目的を決めるなら「欠落感」を探せ!

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ぴこ蔵
「物語を面白くするには黄金の基本パターンがある。もう一度聞いておくか。ブンコちゃんよ、それはなんじゃ?」

ブンコ
「『目的を追う主人公が邪魔する敵と戦う』」

ぴこ蔵
「そうじゃな。ならば、この【 主人公の目的 】というやつをお主はどうやって決めておる? 」

ブンコ
「え? 急にそんなこといわれても…。だってあたし自身の人生の目的もまだ決まってないのにさー」

ぴこ蔵
「うーむ、さすがミス行き当たりばったりじゃな。お主の爆笑人生に関してはわしにはどうしようもないが、主人公の目的なら決めるヒントがあるのじゃ!」

ブンコ
「師匠、ぜひ教えておくんなまし! どうすれば大金持ちになれますか? 少々ヤバイ話でも可」

ぴこ蔵
「だからお主の金目当ての犯行についてはわしゃ知らんがな。しかーし! 【 主人公の目的 】を決めるにあたっては実はとっても簡単でうまいやり方があるのじゃ!」

ブンコ
「知りたーい! 教えて!」

ぴこ蔵
「よいか、よく聞くのじゃぞ。【 主人公の目的 】を決めるなら『欠落感』を探すのじゃ!」

ブンコ
「ケツラクカン? 」

ぴこ蔵
「もしくは欠如とも言う。お主の物語世界で、これだけはなくなっては困るという大切なものがなくなることじゃ」

ブンコ
「大切なものか……」

ぴこ蔵
「例えばお主がいま一番大切にしているものはナンじゃ?」

ブンコ
「なんだろ? 携帯電話かな」

ぴこ蔵
「そしたらその携帯電話が、ある日突然、なくなってしまうのじゃ。お主、どうする?」

ブンコ
「草の根分けても探す! なくなったら絶対マズイ!」

ぴこ蔵
「な? さすがのナマケモノもたまらず行動に移る」

ブンコ
「かーっ! ムカツクー! でもそんなことしてる場合じゃない。携帯はどこ? どこ行ったーっ!」

ぴこ蔵
「それと一緒じゃ。主人公も必ずそれを取り戻すために行動を起こすはずじゃ。ないと困るから取り戻しにいく。これこそが最も手っ取り早い動機付けじゃ」

ブンコ
「はっ!? なるほど。つまり、主人公に目的を持たせたかったら、主人公の大切なものを奪っちゃえばいいわけ?」

ぴこ蔵
「例えば、健康やお金じゃったり、家族の平和じゃったり。なんぼでも出てくるじゃろ?」

ブンコ
「それって結局、人間にとって何が幸せかっていう話になるのかも。深くなりそうだね」

ぴこ蔵
「深すぎて収拾がつかなくなる。ここから先はそれぞれの作品、それぞれの作家が持っているテーマ性やメッセージにかかわってくるので一般論としてはここまでしか語れない。他にも目的としては『復讐』や『夢・野望』などがあるが、それはまた別のところで詳しく語ろう。ただし、この手の話は個別に面談しないと最適なアイデアというのは出にくいもんじゃ。とにかく、主人公を動かすなら『大切なもの』を取り上げるに限るのじゃ!」

ブンコ
「目的を生み出すのは『欠落感』かー!?」

ぴこ蔵
「わかったらさっさと主人公から大切な何かを奪い取るのじゃ!」

ブンコ
「さすが師匠! 何につけても話が早い!」

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。

読者をぐんぐん牽引する『物語のエンジン』を簡単に作る2つの設定とは

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主人公に目的はあるか

ブンコ
「ストーリーを前に進めるための『物語のエンジン』には、主人公の目的と障害物の2つがあるって言ってたけど、これってどんでん返しと関係があんの?」

ぴこ蔵
「多いにあるのじゃ! それを理解するためにも目的と障害物についてもう少し考えを深める必要がある」

ブンコ
「それじゃあぴこ蔵師匠、主人公の『目的』っていうのはどーゆーこと?」

ぴこ蔵
「主人公がやらねばならんことであり、主人公の存在理由そのものじゃ。意味もなく外出したり、暇なのでパチンコに行ったりする。そんなヒマは主人公にはありゃあせん。何も変わらないなんてもってのほかじゃ。主人公たるもの読者の貴重な時間を浪費することは許されん。パチンコひとつやるにも確固たる動機が必要なのじゃ!」

ブンコ
「き、厳しいんだねー、主人公の立場って」

ぴこ蔵
「当たり前じゃ。主人公は何かを為すために存在しておる。常に「何をする」かをはっきり決めてやらねばならん」

ブンコ
「前回の実例(2)の主人公の場合は『遺産を相続するためにパチンコ台を攻略する』というのが目的になって、ストーリーが動き始めたわけかー」

ぴこ蔵
「主人公の明確な目的こそが『物語のエンジン』なのじゃ!」

ブンコ
「じゃあ、ストーリーが始まったらすぐに事件が起こらないと読者はついてきてくれないんだねー。出来るだけ早く目的を明確にすることが作者の義務ってことか」

ぴこ蔵
「おぬしの主人公は目的に向かって全力疾走しとるか?」

主人公には苦難を与えよ

ブンコ
「じゃあ『障害物』ってゆーのは何?」

ぴこ蔵
「これが人間の不思議なところなんじゃが、いくらすごい目的を設定しても、あまりにも事が順調に運んではちっともドラマチックには感じないのじゃな」

ブンコ
「そういえば、実例(2)の主人公にしても、『負傷」『不利なルール』などの理不尽な危機が次々に襲いかかってくるからこそドキドキハラハラしちゃうわけだよね。確かに、これと言ったピンチもなしに目的が達成されたって読者にとってはぜんぜん面白くないもんねー」

ぴこ蔵
「良いエンジンを積んだら、さらに物凄い悪路を走らねばならん。苦労しないと読者は前に進んでいる実感が湧かんのじゃ。いやはや、物語作りはサファリラリーみたいな作業じゃよ」

ブンコ
「読者の興味をひきつけるためには、主人公を襲う苦難が必要だってことかー!」

ぴこ蔵
「『障害物』とはまさにそのことなんじゃよ!」

面白い物語の基本形

ぴこ蔵
「さて、面白いストーリーにするためには、主人公が目的を持っていることと、障害物があることが必要じゃということがわかった。それでは、その二つを話の流れに取り入れるとどんな風になるかな?」

ブンコ
「主人公はある目的を持っている。当然その目的を達成しようとがんばるよね。ところが、それを邪魔する奴がいるわけ。主人公はそいつと戦うことになる…」

ぴこ蔵
「うむ、つまりこれが『対立』ってやつの正体なのじゃ」

ブンコ
「わかりましたー! 主人公は『目的達成』のために『障害物』と『対立』するわけだ!」

ぴこ蔵
「そういうことじゃ。『ドラマとは、主人公が目的達成のために障害物と戦うこと』つまり、面白いストーリーにするには、主人公が目的のために邪魔者と戦うべし!」

ブンコ
「師匠、不肖アタクシめがまとめさせていただいちゃうよ。

<面白いストーリーの基本形>
★目的を達成したい主人公が、それを邪魔する敵と戦う

これでどう?」

ぴこ蔵
「上出来じゃ。お主が書くべき『面白いストーリー』の姿がますますわかりやすくなってきたのう! 特に、とりあえず初めて物語を書くのなら、『ある目的を達成したい主人公がそれを邪魔する敵と戦う話』がおすすめじゃ! 基本中の基本じゃからな」

ブンコ
「よーし、さっそく主人公の目的を決めなきゃなー! でも、どうやって? 」

ぴこ蔵
「焦るでない焦るでない! お主にも簡単に「主人公の目的」を決める方法があるのじゃ! じゃが、そのためにまず知らねばならぬことがある!! その前に、この章のまとめなのじゃ!

★面白いストーリーの基本とは
「ある目的を達成したい主人公が、それを邪魔する敵と戦う」物語

 

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物語をさらにドラマチックに深める2つの実例

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ブンコ
「主人公が他の登場人物と対立することで物語がドラマチックになることは分かったよ。じゃあそろそろどんでん返しの作り方を教えてくれるよね?」

ぴこ蔵
「まだまだ! もっともっとドラマチックを掘り下げてみよう。お次のテーマは『ストーリーの基本形』! まあ、ストーリーのパターンと言っても相当あるし、その作り方に到っては星の数じゃ。決して誤解して欲しくないのじゃが、わしは、唯一絶対のストーリー製作法を教えるわけではないぞ。

そんなことはあり得ない! 不可能じゃ! ただ、最低限これさえ知っておれば、少なくともお主のストーリーが途中で道に迷うことはない。……という非常に実戦向けに簡略化した方法を伝授しようと思う。

この方法を用いて、とにかくひとつでもいい、ストーリーのあらすじを最後まで作って欲しいのじゃ!  一つ出来たらもう一つ。これを何度も繰り返すことによって、創作の要点が掴める。何事も経験、そして反復練習じゃ!

アタマで考えてテクニックを選んでおるようではまだまだ。無意識にさまざまな技法を繰り出せるようになるまでとにかくあらすじを作りまくることじゃ! 1日1あらすじ! これが目標じゃ!

説明のために、あらすじの実例を2つ用意してある。それでは、よくある失敗例として、まずは実例(1)を読んでもらおうかの。


★★実例(1)

パチンコ台には巨大な龍が描かれていた。その両眼は主人公をにらみつけている。主人公は今日も朝から暇つぶしにパチンコ屋で玉をはじいている。

いくつになっても定職につかないことに腹を立てて自分を勘当した亡き父も、会社の帰りによくこのパチンコ屋に通っていたことを思い出す。腹が減ったのでパチンコを中断し、近所の立ち食いそば屋でたぬきそばを食べていると、誰かに肩を叩かれた。振り向けば兄が立っていた。やはり暇そうである。仕事は休みかと問いかけると、兄はうなずいてそばをすすった。

主人公は兄とパチンコ屋に戻って新しい台を探す。隣同士に座って顔見知りの男の噂話をした。その男は親が急死して家業の米屋を引き継いだのだ、と主人公が言った。「米屋もあれだけどコンビニ経営もいいよな」兄は言う。「実はリストラされちゃってさ。一緒にコンビニやるか?」

突然の兄の申し出に主人公はどう答えてよいかわからない。相変わらず玉も出ない。最後の玉が無くなった時、昔、亡き父がよく歌っていた歌が店内に流れた。

その瞬間、今は亡き父の思い出とともに一つの言葉が主人公の脳裏に甦った。「兄貴を見習って就職しろ」主人公はタバコが吸いたくなる。しばらく止めていたタバコを兄からもらって火をつける。どうってことはない、またひとつ禁煙が終わっただけだ、と思う。パチンコ台の龍は主人公を叱るかのようににらみつけている。

主人公は「別に何でもいいけどな、俺の方は」と呟いた。


ぴこ蔵
「どうじゃな? ↑の例は?」

ブンコ
「うっわ~。やる気ないっつーか退屈っつーか本当に何も変わんないなー。でも、よく見かけるんだよよねー、こんな感じのハナシ」

ぴこ蔵
「パチンコしてそば食ってタバコ吸っただけじゃからなあ」

ブンコ
「『俺、小説書いたんだけど、読んでくれない?』とか言ってこういうの読ませられたことあるんだけどさー。悪いけど正直たまんなかったっす。こんな話を聞いても「ドラマチックねえ」とは思わないよねー」

ぴこ蔵
「つまり、誰とも対立しないこんな話にはドラマがないんじゃ。これではいつまでたっても物語が動き出さん。寝たきりじゃ」

ドラマチックにする要素

ブンコ
「ほんじゃーさー、どんな話ならドラマがあるの?」

ぴこ蔵
「パチンコの話が出たんで、これを素材に使ってみるか。こんなストーリーならどうかな?


★★実例(2)

パチンコ台には巨大な龍が描かれていた。その両眼は主人公をにらみつけている。

『この台を攻略した者に全財産を遺す』という遺言に従って自分を勘当した亡き父が遺したパチンコ台に立ち向かう主人公。

固唾を飲む一族郎党の前で公開勝負をする日の直前、主人公は暴漢に襲われ手首を負傷する。

激痛に耐える主人公の前に現れたのは、最大のライバルである実の兄だった。兄は主人公と父親の確執を暴き、お前にパチンコをする権利はないと言う。思わず感情的になった主人公は「たった10発の持ち玉で勝負する」という過酷なルールを呑んでしまう。

勝負が始まり、傷はうずき、玉は減ってゆく。あと4発、3発。

痛む手にラスト2発の玉を握りしめた時、昔、亡き父がよく歌っていた歌が店内に流れた。

その瞬間、今は亡き父の思い出とともに一つの言葉が主人公の脳裏に甦った。「画竜点睛」。

パチンコ台に描かれた巨大な龍。撃つ者をにらみつけるその両眼。

「そうか!わかったぞ!親父!」主人公は最後の気力を振り絞り、痛む手首を極限まで回す。そして2発の玉が目にも留まらぬ速さで一気に打ち出された!


ぴこ蔵
「どうじゃな? ↑の例は? 急ごしらえなんで設定がいい加減なのは大目に見てくれ。ビッグ錠&牛次郎みたいでいい感じじゃろ?(笑)」

ブンコ
「少年漫画のオールドファンならうなずいてくれるかもよ。でも確かに、前の話に比べると、少しドラマチックな雰囲気になったよねー。なぜ?」

ぴこ蔵
「そこじゃ! そこが秘伝のテクニックじゃ! 誰もが簡単に作れる『物語のエンジン』があるのじゃ!」

ブンコ
「えっ? すると師匠、ストーリーをドラマチックにするための特効薬みたいなものがあるということすか?」

ぴこ蔵
「その通り! いいか、よく聞くのじゃぞ。物語を前に進めるには、2つの設定をする必要がある。それは『目的』と『障害物』なのじゃ!」

 

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ドラマとは葛藤のことである

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ブンコ
「さて、ぴこ蔵師匠、ストーリー作りの一番最初にやるべきことはどんでん返しの作り方を覚えることって言ってたよね? 早速教えて!」

ぴこ蔵
「あせるな。まずはその『どんでん返し』の構造を理解するために面白い物語はどうやって出来ているのかを見てみよう!」

ブンコ
「えっと、面白い物語って例えばどんなの?」

ぴこ蔵
「まず、その逆を考えてみようか。『誰も楽しめない話』があるとすれば、それは例えば、朝礼の時の校長先生の長話じゃ」

ブンコ
「げっ、それ聞いただけでもう貧血気味だ!」

ぴこ蔵
「退屈じゃからなー。サスペンスもないし、ロマンスもない。大体結論もわかっておるし、ギャグも言わん」

ブンコ
「その上、お説教されるんだもんなー」

ぴこ蔵
「この手の話と対極にあるのが「面白い物語」じゃな。ドキドキはらはら、次はどうなるの? あの人は誰のことを愛しているの? そんな一瞬たりとも気が抜けない話じゃ。手っ取り早く言ってしまえば、それは『ドラマチックなストーリー』のことじゃな」

ブンコ
「ドラマチックって具体的にどういうこと? どうすればドラマチックになるのさ?」

ぴこ蔵
「小説とかシナリオの書き方を解説した本を読むと、『ドラマとは葛藤である』と書いてあるのをお主もよく目にするはずじゃ。つまり、物語をドラマチックにするためには『葛藤』とやらを持ち込めばええのじゃ」

ブンコ
「『葛藤』とか言われたって全然わかんないよー。画数の多い漢字を見ると、頭がぼやーっとしてくるんだよねー」

ぴこ蔵
「そうか。するとお主、『主人公の成長や変化の過程における葛藤を書け!』なんて言われると頭がフリーズしてしまうじゃろな」

ブンコ
「もうサイアクー! なんか葛藤って夏休みの朝顔観察っぽいよねー」

ぴこ蔵
「いいところを突いたぞ!ちなみに辞書を引いてみると…

【葛藤(かっとう)】
〔もつれ合う葛(かずら) や藤の意から〕
(1) 人と人とが譲ることなく対立すること。争い。もつれ。
(2) 〔心〕 心の中に相反する欲求が同時に起こり、そのどちらを選ぶか迷うこと。コンフリクト。
(3) 禅宗で、解きがたい語句・公案、また問答工夫の意。

まさしくもつれあうツルとツタのことじゃ。ありゃりゃ、禅問答まで出てきおったぞ。葛藤と言う概念はどうも抽象的で扱いにくいんじゃのう」

ブンコ
「葛藤ってさー、意味ぐらいはわかるけど、視覚的にイメージしづらい言葉だよね。なーんか4畳半で一人ぐじぐじ反省するって感じだし」

ぴこ蔵
「確かに葛藤のヴィジュアルはなかなか思いつかんなあ」

ブンコ
「だいたい、主人公が葛藤する様子なんてどうやって描写すればいいのさ? 髪の毛をかきむしりながら独り言でもゆーのか? 口元をゆがめて手も少し震わせてやろーかなー。違うなー。そーゆーことでもないなー。

ポーズかな? 腕を曲げて腰に当ててクイクイッと。そんな葛藤はやだなー。こりゃいかん。無理だ無理だ。あたしに主人公の葛藤なんて描けないよ。老師、またしても頭がぼやーっとしてきた」

ぴこ蔵
「それは、一人で葛藤すると思うから難しいんじゃよ。心理描写しようなどと思ってはいかんぞ。ありゃつまらん。エンターテインメントで「内部の葛藤」は止めたほうがイイ。特に、映像化を考えておるのならおすすめできん。名手ならともかく、おぬしがやっても読者に迷惑かけるだけなのじゃ。

こんな時、よいこは頭を使うのじゃ。例えば…人と人とが争う様子を書くのはイメージしやすいじゃろ? 内面の葛藤も擬人化すればいいのじゃ。誰か主人公が葛藤する相手を登場させればいい。考え方をこう変えてみるのじゃ!

「ドラマとは主人公の葛藤から生まれる」
↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「ドラマとは主人公が他の登場人物と葛藤することで生まれる」

ブンコ
「うーん、まだ「葛藤」の意味がわかりにくいな」

ぴこ蔵
「ならば、お主にもわかりやすい言葉に置き換えてみよう。

それは辞書の中にも出てくる「対立」という言葉じゃ。すると、こうなる。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「ドラマとは主人公が他の登場人物と対立することで生まれる」

ブンコ
「なるほど! ってことはつまり、手っ取り早く話をドラマチックにしようと思ったら主人公を登場人物とケンカさせればいいわけだ。でも、ホントかなあ?」

ぴこ蔵
「葛藤とは、簡単に言えば、異なる意見の中で自分の考えが選択に悩むことである。具体的に言うとこういう例が考えられる。登場人部は主人公と友達。二人で歩いていると主人公が落ちていた財布を拾う。葛藤のポイントはこの財布を交番に届けるか否か。ここからは会話じゃ。


主人公「おいおい、二万円も入っているぞこの財布」

友達「ふーん、でどうすんの?」

主人公「なんかうまいもん食って、欲しかったゲームソフトでも買うか」

友達「これだからゲスなやつとは付き合いたくねえんだよな。お前のやろうとしていることは最低レベルの犯罪だ」

主人公「なんだよおまえ、もしかして交番に届ける派?」

友達「あたりまえだよ。そうすれば半年後に合法的に2千円が手に入る。ノーリスクでだ」

主人公「それって逆にいやらしくない? 正義とはそんなことでいいのか」

友達「泥棒に正義を語られたくないね。さあ、とっとと交番に行くのだ。キリキリ歩け!」

主人公「全然釈然としないけど、まあそういうもんかな。でもな、2千円入ったとしてもお前には奢らないからな」


まあ、こんな感じであろう」

ブンコ
「なるほど、一人で迷うより伝わりやすいし、会話にすればそれだけで面白いね。でも、なんか難しくないかな。私にもできんのかな」

ぴこ蔵
「コツとしては、うまく会話がはずまないところを思い切ってちょっとケンカ腰の会話にしてみることじゃ」

ブンコ
「どんな感じかやってみてよ」

「対立」は物語のエンジン

ぴこ蔵
「それでは『対立』の実例として「会社に遅刻したOLと上司との会話」を書いてみよう。ただし、ポイントとして『この会社では電車の事故で遅れた場合は証明書が必要』ということを絶対書かなければならないと決めておこう。

ま、対立を避けて平穏に会話するとこんな感じじゃろう」


上司「おや、どうしたの? 遅刻?」

OL「すみません! ちょっと忘れ物して1本遅いのにしたら今度はその電車が事故で遅れてしまって…」

上司「30分ね。まあしょうがないよね。たまにはこんなこともあるさ」

OL「何か証明する書類とか提出したほうがいいですか?」

上司「事故のせいだし僕は別にいいんだけどさあ。ただ最近ちょっと管理の件で上がうるさくってね、ま、念のためってことで、悪いけど駅で証明書もらっといてよ」

OL「はい、わかりました。お昼休みに行ってきます。申し訳ありませんでした。以後気をつけますから」

上司「はいはい。よろしく」


 

ブンコ
「なんかこんな会話、別に書くほどのもんじゃないですよね」

ぴこ蔵
「どうやってもこれ以上はふくらまないしな。そこで、軽くギャグ風に対立させるとこうなる」

 


上司「おい、遅刻してきて挨拶なしか?」

OL「だって電車の事故ですから」

上司「こっちは別に電車で来てくれって頼んだ覚えはないぞ」

OL「じゃあタクシー代、課長が出してくれるんですか?」

上司「そういうことを言ってるんじゃないだろ!」

OL「わかりましたよ。駅で証明書もらってくればいいんでしょ」

上司「なんだよお前、態度悪いぞ」

OL「お前なんて言わないで下さい。私は課長の奥様じゃないんです。まあ、奥様にはお前なんて言えないと思うけど」

上司「言ってるよ」

OL「あら、じゃあこないだの飲み会でセクハラしたこと奥さんにはまだバレてないんですねえ」

上司「あ、それは違うんだ。誤解、誤解なんだよ」

OL「フン」


ぴこ蔵
「ちょこっと対立させるだけでテンションが上がる。読者も「おや?」と集中するし、伝えたい情報の他に「次はどうなる?」の要素が入ってくる。つまり、いろんな情報が隠しやすいのじゃ」

ブンコ
「情報を隠すってどういうこと?」

ぴこ蔵
「例えばこの『駅で証明書をもらう』というのが重要な伏線だとする。ところが、この時点では読者にそのことを気づかせたくない。そんな時、OLと上司の関係に目を向けさせてしまえば読者の意識はそちらに流れてしまうのじゃ」

ブンコ
「実例だとよくわかるねー。退屈になりそうな部分には「対立関係」を持ち込むと緊張感も出るしテンポもいいし。登場人物のキャラも立ってずいぶん面白く説明できちゃうんだなー…」

ぴこ蔵
「ドラマとは主人公が他の登場人物と対立することで生まれる。さて、それでは主人公は、いったい誰と、何のために対立するのじゃろうか? 実はそこには、お主の物語を一気に走り出させるための『物語のエンジン』が隠れているのじゃ!」

ブンコ
「ドラマとは、主人公が他の登場人物と対立することで生まれる。…なるほどなー!」

 

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物語のオープニング

「かっこいいオープニング」の罠

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面白いストーリーを作るためにあなたは何をするべきか

ブンコ
「私の名前はブンコ。作家になりたい女。でも、なかなか作品が書けない。書き始めても最後までフィニッシュできない。どうしてなんだろう? やっぱり才能がないのか……? 文章教室に通おうか?」

ぴこ蔵
「そんなことはないぞお」

ブンコ
「あんただれ?」

ぴこ蔵
「わしはあらすじのプロ、ぴこ山ぴこ蔵じゃ! 日本中の悩める書き手を救うためにやってきたのじゃ!」

ブンコ
「あんたいったい何を言って…… たった今、弟子にして下さい!」

ぴこ蔵
「すごい食いつきじゃな」

ブンコ
「だって本当に悩んでるんだよー。だれでもいいから助けて!」

悩める書き手に教えたい

ぴこ蔵
「それではさっそく最初の質問じゃ! お主は物語を作るとき、まずかっこいいオープニングから書き始めておらんか?」

ブンコ
「もちろん! 最近の自作でもお気に入りのファンタジーは

その赤銅色の龍は、この星の一番高い場所にある万年雪の下で、永遠にも似た眠りを静かにむさぼっていた。

から始まるの! なんか凄いお話がはじまりそうでしょ」

ぴこ蔵
「ほほう!」

ブンコ
「ハードボイルドなサスペンスだってあるんだよ。

朝焼けが始まった頃、店の駐車場に一台の車が滑り込んできた。まだ暗いというのにスカーフとサングラスで顔を隠した女が運転席のウインドウを開けて私に合図した。私は営業用の笑顔で車に近づくと女が話し掛けてくるのを、そしてサングラスの奥にある美しい眼を見せてくれるのを待った。しかし女はサングラスを外すよりも先に、ハンドバッグの中から拳銃を取り出した。

なーんて感じの、そりゃもうかっこいい、マイ・フェバリット幕開け。自分の中に湧いて出たイメージに陶酔してしまう瞬間だよ。もうこれで一本書けたような気になってしまうのよん」

ぴこ蔵
「実はそれが失敗の原因なんじゃよ」

ブンコ
「ギクッ!」

ぴこ蔵
「そういうのってオープニングのインスピレーションは強烈でもまず長続きすることはないからのう。その場の雰囲気にハマッて始めた恋愛と一緒じゃよ。お主は自分の影に恋をしておるのじゃ。うひょひょ!」

ブンコ
「ギクギクギクッ! 何てこと言うんだアンタは!」

ぴこ蔵
「ちなみにお主、その小説、最後まで書き上げたのか? いや、半分ほどでも書いたかな?」

ブンコ
「か、書いてません……」

ぴこ蔵
「なぜ書かないのじゃ?」

ブンコ
「だって、刺激的なオープニングが終わると、主人公がさっそく途方にくれちゃって。次に何をすればいいのかわかんないんだもん」

ぴこ蔵
「それはそうじゃろう。お主が決めておらんのじゃから」

ブンコ
「げげっ!」

ぴこ蔵
「そんなタイプの人は書く順番を変えることじゃよ」

ブンコ
「書く……順番?」

ぴこ蔵
「よーし、それでは教えてあげよう!」

何はなくとも「どんでん返し」

ぴこ蔵
「書きたい物語のイメージをすでに持っているなら、『あっと驚く結末』を作るためにはまず、おぬしの物語イメージに合わせた『どんでん返し』を作ることじゃ!」

ブンコ
「どんでん返し? あの『なんとかサスペンス劇場』とかで最後に意外な犯人が出てくるやつ?」

ぴこ蔵
「まあ、あんまり意外ではない場合がけっこうあるけど(笑)基本的にはそういうことじゃ」

ブンコ
「だって老師、それじゃ『サスペンス劇場』用の作品しかできないじゃん」

ぴこ蔵
「とんでもない思い違いじゃな。ミステリー、サスペンスは言うに及ばず、恋愛、ホラー、アクション……。どんなジャンルの物語にも、どんでん返しが隠れておる。

それどころか、大前提なのじゃよ。むしろ、人はどんでん返しを読みたいがために小説を読むのじゃ。どんでん返しがなければ、面白いとは思ってくれん」

ブンコ
「本当ですかあ?」

ぴこ蔵
「少なくともエンタテインメントの要素を持つ物語ならどんでん返しは必ず必要じゃ。

事実を伝えることに意味があるノンフィクションとか、あるいは哲学的な思索を繰り広げる高邁な思想書なら、確かにそんなものは関係あるまい。しかし、エンタテインメントはそれでは許されんぞ。面白くなければ娯楽としての存在価値がないのじゃ。人間とは、薬がどんなに苦くても文句を言わんが、ケーキが期待していたより甘くないと怒り出す生物じゃ」

ブンコ
「どんでん返しがあるとどうなの?」

ぴこ蔵
「どんでん返しが提供するのは、信じていた世界が一瞬で大逆転する衝撃じゃ。予測可能な展開だったはずなのに、あっという間に何もかもが姿を変える。頭の中は真っ白。アドレナリンとドーパミンが駆け巡る至上のびっくり体験なのじゃ!」

ブンコ
「それは確かに自分の作品にどんでん返しが入ってたら面白いよねー……。ちょっと興奮するなー」

ぴこ蔵
「さて、やっとこれでスタート地点に辿り着いたのじゃ。次回からいよいよ、誰も教えてくれなかった『面白くてたまらないストーリー作り』のための具体的なテクニックについて説明をはじめられる。つまり、突き詰めれば『どんでん返しの秘法』じゃ!」

ブンコ
「いや、でも、ぴこ蔵師匠。あたしみたいな素人にどんでん返し作れったって、いきなりそれって難しくないかねー? もっとこう、地味で堅実な文章修行とか……」

ぴこ蔵
「いやいや、お主が一番最初にやらねばならんのは派手な『どんでん返し』の作り方を覚えることじゃ。そうすれば、物語作りはあっという間にプロ並みじゃ。なぜなら、どんでん返しこそが全てを決めるからじゃ」

ブンコ
「どんでん返しが全てを決める????」

ぴこ蔵
「その通りじゃ。結末、伏線、オープニング、全てを決める。難しい、複雑そう、というのは思い込みに過ぎん。どんでん返しには簡単な作り方があるのじゃ!」

ブンコ
「そ、それを早く教えてくでーっ!」

『コフィン・ダンサー 』上 (文春文庫)

『コフィン・ダンサー 』下

著:どんでん返しの魔術師・ジェフリー ディーヴァー

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