ぴこ蔵
「おぬしの物語で主人公の敵となるのは何であろうか? それは簡単に言えば「悪」の象徴なのじゃ。「悪」とは人間が戦って克服するべき対象である。また、人間にとって意義のある戦いとは「恐怖」への抵抗であり、「恐怖心」のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えぬ。したがって、ストーリーに登場する「悪」とは、主人公が戦うべき「恐怖のタイプ」と言っても過言ではないのじゃ。
「ホラーの帝王」スティーヴン・キングは、著書『死の舞踏』の中で、古今東西の物語に繰り返し現れる根源的な恐怖のタイプを3種類に分類しこう定義づけておる。
A 主人公の外部からやって来た存在
B 主人公の内部に巣食う制御不能な存在
C 主人公が行った悪事が生み出した存在
そしてキングはこの3種類を 有名な3匹のモンスターになぞらえたのじゃ。
1 主人公の外部からやって来た存在→→→ドラキュラ
2 主人公の内部に巣食う制御不能な存在→→→ジキルとハイド
3 主人公が行った悪事が生み出した存在→→→フランケンシュタインの怪物
しかし、日本人なら、この3匹を例えるならこちらのほうがしっくりくる、というキャラがおるのじゃ。そうなのじゃ。藤子不二雄「怪物くん」のお供の3匹なのじゃ。映画「ヴァン・ヘルシング」でもお馴染みじゃな。
1 主人公の外部からやって来た存在→→→ドラキュラ
2 主人公の内部に巣食う制御不能な無意識の存在→→→狼男
3 主人公が行った悪事が生み出した存在→→→フランケンシュタインの怪物
抽象的になりがちな恐怖の概念じゃがこうやってモンスターに例えておくと、すぐに思い出せて便利なのじゃ」
ブンコ
「じゃあ、もう一度確認ね」
ドラキュラ:主人公の意志とは全く関係なく世の中に存在している。
狼男:主人公の中に潜んでいて、主人公のコントロールが効かない。
フランケン:主人公が意識的に犯した悪事が原因で生まれてきた。
ぴこ蔵
「たった3種類じゃが、世界3大モンスターをなめてはいかん。全ての恐怖はこのどれかにあてはまるのじゃ! ではこの3つの悪をもう少し詳細に見ていこう」