どんでん返しはモンスターで作れ
ぴこ蔵
「どんでん返しの基本構造『敵の正体はαだと思っていたら、βだった』
このαとβに当てはめるモンスターさえ決めれば、お主のストーリーはもう半分以上完成したようなものなのである。そして、この「敵(αおよびβ)」は先ほど言ったとおり、わずか3種類にすぎないのじゃ!」
3匹のモンスター
ぴこ蔵
「ところでブンコちゃんよ。お主の物語で主人公の敵役となるのは何者じゃ?」
ブンコ
「そりゃ悪い奴に決まってますよ! だってあたしの主人公は正義の味方だもん。敵は悪くて卑劣で恐いヤツ! 顔なんか鬼みたいでさー」
ぴこ蔵
「典型的な勧善懲悪パターンじゃのう。勧善懲悪は強烈な対立構造を持っておるからストーリー作りには使いやすいのじゃがそれだけではすぐに行き詰まるぞ」
ブンコ
「え~っ? だって、敵役は悪人でなきゃダメでしょ?」
ぴこ蔵
「『敵役』とは人間が戦って克服するべき対象である。ただし、克服するべきは「悪」ではないぞ。人間が克服すべきは自らの恐怖心なのじゃ! 例えばお主がスポーツ根性ドラマを書いたとする。
主人公は高校生ボクサー。敵役は先輩プロボクサーじゃ。二人は宿命のライバルである。しかし、先輩ボクサーは「悪」と言えるか?」
ブンコ
「あ。そっかー。敵といっても悪とは限らないか」
ぴこ蔵
「でも、そいつは強くて恐ろしい」
ブンコ
「そりゃーそうですよ。弱くて泣き虫で怖くなけりゃ敵にならないもん」
ぴこ蔵
「そういうこと。充分恐いからこそ敵役として認められる。つまり、人間にとって意義のある戦いとは『恐怖』への抵抗のことなのじゃ。
『恐怖心』のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えん。したがって、ストーリーに登場する「敵」とは、主人公が戦うべき『恐怖の象徴』と言ってもええじゃろう」
ブンコ
「敵の本質は『悪』というよりも『恐怖』なのか…」
ぴこ蔵
「そこで3匹のモンスターの登場じゃ!」
ここまでのまとめ
★どんでん返しのある面白いストーリーの基本型は全10タイプ。
目的タイプその1 (どんでん返しTYPE09・ハナサカ)
邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その途中、いったんは死んだと思ったその【目的】だったが、実は生きていたのである。
目的タイプその2 (どんでん返しTYPE10・アオトリ)
邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。
そして……
敵タイプ1~8
【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う。
しかし、αだとばかり思っていたその【敵】の正体は、実はβだったのである。
※そのαとβに
恐怖の象徴である3匹のモンスターを当てはめることにより、8タイプの「敵に仕掛けるどんでん返し」が自動的に出来る。
そして、ここからがぴこ蔵オリジナル「3匹のモンスター理論」なのじゃ!