オープニングシーンを最後に作るべき3つの根拠

 

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冒頭のシーンが面白くなくては作品を読んでもらえない。そのためには3つのポイントがある。そして、その3つこそ、オープニングを最後に作るべき根拠でもあるのだ。

くつろいで本を読みたい……。
そんな時、重厚な大長編の素晴らしさはよく判っているけど、肩の凝らないエンタメで手っ取り早く楽しみたいことも多いですよね。ちょいと寄った書店で、『自炊』するほどでもない、消費というか蕩尽を前提としたエンタメ小説を選ぶとします。

さあ、どれを買うか?

当然、立ち読みでぱらぱらと中味を読むことになります。そのとき途中から読んだりはしません。だからこそ今更ながら思うのであります。オープニングって重要だなあ、と。

小説で一番多くの人に読まれるのは『1行目』です。ということは、作品を『読ませる』上で一番大切だということです。それでは次に大切な部分はどこでしょう? それは『2行目』です。

笑わせようとしているのではありませんぞ。

そもそも読者に「読む義理」はないのですから、1行目の出来次第で2行目を読む人の数は変わります。読者はいつだって読むのをやめてスマホに戻る理由を探しています。あなたの作品のライバルは他人の作品ではありません。LINEでありゲームアプリなのです。

この摂理に従って、1行ごとに読者はどんどん減っていきます。いかなる偶然か、せっかくあなたの作品を手にとって読み始めた貴重な読者が、不用意な1行のせいで離れていくのです。けっして増えることはありません。

だいたいは物語のオープニングシーンの間じゅう、これが繰り返されるのです。作り手はこの読者の自然減と戦わなければならないわけですよね。どんな手を使ってでも。どうにかして読者の乖離を最小に食い止めなければ、最悪、オープニングが終わるとともに読者はいなくなってしまいます。

あなたは静謐で暗示的なゆったりとしたオープニングを書いていませんか?

あなたが名の売れた大作家でしたら読者も期待感で付き合ってくれるでしょうが、知られていない新人の場合、そんなオープニングシーンを誰も読んではくれません。

最初のページを開いたとき、読者の心は半分まだ『日常』にいます。夢うつつで空中浮遊している読者は、よほどがっちりとと捕まえなければ、10行以上読んでくれません。作者はスパイダーであり食虫植物です。練りに練った罠を仕掛け、読者という名の獲物をガツガツと捕食しなければ生きていけないのです。

それなのに、大事なオープニングで、世界観を暗示するイメージや人間関係の説明、登場人物のキャラ立てなどの『セッティング』ばかりに気を取られていると、会話がメインのおとなしいものになりがちです。これでは読者が退屈してしまう危険性が高いので、1行目から何か異常な事態が起きなければなりません。

だからと言ってただ単に『爆発シーン』や『アクションシーン』を書けばいいのか? いやいや、そうではありません。もちろん『見た目の派手さ』はエンタメとして非常に重要ですが、それ以上に大事な要素があるのです。

大切なのは“日常”と“非日常”のズレのふり幅です。読者が共感しやすい日常的な描写の中に、「おや?」という非日常的な違和感を忍び込ませる技です。あなたは共感と違和感の狭間に、強靭な蜘蛛の巣を張らねばならないのです。

サイズや角度や光の反射の具合を考えて、どこに巣をかけるか決めるのです。慎重に計算し、大胆に仕掛けてください、読者をあえかな細い糸でがんじがらめにするのです。そして、その糸には獲物を強烈に誘引する物質を塗りこんでおきましょう。

その誘引物質は読者自身の欲望や恐怖から出来ています。例えば、ただの物理的な爆発シーンではなく、読者の恐怖感を刺激する本質的な喪失の局面。ありがちなバイオレンスアクションではなく、読者の暗い欲望を引き出すような暴力行為を描くのです。うずくほど欲しがらせ、たっぷりと怖がらせるのです。

最初の1行から数ページで読者の心を掴んでしまえば、オープニング明けに少々説明的なシーンが書かれていても、興味を持って読み続けてもらえるはずです。自分が読んでいるときを考えると、まさにそういうことです。

……ところが、これは口で言うほど簡単な作業ではありません。

物語創作には『物語を作るための技術』と『鑑賞者を魅了するための技術』とがあります。ストーリーを作る上ではどうしても終盤がポイントになりますが、魅せるために重要なのは当然『オープニング』なのであります。

それでは具体的に実作品の『オープニング』を見てみましょう。

脚本がシンプルで基本に忠実、なおかつ面白くて分かりやすいのは、何と言っても『ディズニー映画』です。ディズニー流物語の『型』はエンタメの1つの完成形だと思います。例えば、ニコラス・ケイジが主演した映画『ナショナル・トレジャー』を見てみましょう。

これは典型的な『宝探し』のシナリオですが、ごく簡単にまとめるとオープニングはこんな感じ↓です。

▼どこかの辺境に雇い主と共に宝探しにやってきた主人公。お目当ての宝は見つかったものの雇い主に裏切られ殺されそうになる。しかし、主人公は偶然に助けられ、機転を利かせると、雇い主から宝を奪って逃げ出した。

3つのポイント
●ここで手に入れたお宝は実は終盤の『切り札』の伏線になっている。
●ドラマを生み出す原動力となる対立軸である『敵』が登場。
●『目的』にまつわる解けない謎が提示される。

宝探しタイプの話を展開するならこの3つが最低限必要なファクターです。

これに『爆発シーン』『暴力(格闘)シーン』『顔は頼りないけど主人公は機転が利くぞシーン』『髪は薄いけど愛情は濃いぞシーン』などのオプションが加わって、はらはらドキドキのうちに見事にセッティングが完了。最も大事な『登場人物の行動の動機』も大まかに説明されます。

タイトル前のたった数分間でこれだけの要素を、タイムリミットを仕掛けたアクションの中で面白く描写してしまう構成。ハリウッドのお見事な技術力に感心すると同時に、まさにオープニングはもう一つのショートストーリーだということがわかりますね。

それとともに気づいていただきたいのは、上記の3つのポイントは『物語全体の構成』が完璧に把握できない限り作れない、ということであります。特に、主人公の目的、敵対者の動機、問題とその解決方法。作り手はこの3つを早く決めること。

つまり、面白いオープニングを作るためには全体のあらすじをしっかり組み立てておく必要があるわけです。しかも、できるだけ短い時間でオープニングを完結させるためには、オープニングシーン専用のあらすじが必要だと思います。

もう一度、整理しておきましょう。

《オープニングシーンに最低限必要な要素》

・終盤での『どんでん返し』や『切り札』につながるいくつかの伏線
・敵の強さと恐ろしさ
・『目的』に関わる不可思議な謎

あなたのオープニングには、全体の構成から逆算した必要な要素がきっちり入っていますか?

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。