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主人公の成長戦略

8つのポイントから考える「主人公の成長」戦略

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主人公を成長させたければ、その成長の証拠を具体的な行動で読者に見せなければならない。

1. 成長とは何か?

「成長」とは、時間の経過と共に能力が高まり、かつて出来なかったことが出来るようになることです。

つまり、「昔」の主人公に足りなかった能力を、「今」の主人公は身につけていなければなりません。「オープニング」にはとても無理だったことを、「クライマックス」では達成しなければならないのです。

2. 成長の三大要素

それでは人間の成長にはどんな能力が必要なのでしょうか?

現実の人間は複雑ですが、ここではあくまで物語上での効率を考えて、キャラクターの3大要素とされる思考(判断力)・行動(決断力)・感情(喜怒哀楽)の3つの能力に分類しました。

▼思考「こだわり、信念、信仰、美学など」
・哲学
・価値観
・態度
・見識

▼行動「決断・選択の能力、勇気など」
・行動そのもの
・行動への意思決定

▼感情「喜怒哀楽&恐怖など」
・感情的反応
・感情的気質

この3つの能力をわかりやすい言葉に置き換えると「知恵」「勇気」「人間性」ということになります。

まずはイメージして欲しいのですが、あなたの主人公は物語が終わったときに、どんなタイプの人間となっているのでしょうか。

あなたの理想とする主人公像は「どんな難解な謎も解き明かす、頭のいい人」なのか?

「いかなる危険も恐れない、度胸の据わった人物」なのか?

「一度会ったら誰もが好きになる、人間味にあふれたひと」なのか?

さあ、さっそく主人公からこの3大要素のうちのどれかを奪い取るべし! すると、成長前の主人公は、例えばこんな感じになります。

「信念」の欠けた政治家。
「行動」を奪われた刑事。
「感情」を失った音楽家。

そんな彼らが「力」を取り戻そうとする時、ほら、何かが起こりそうな予感がしてくるでしょ。

3. 精神的な成長でなければダメ

よくやる失敗例として、特訓や偶然、あるいは絶対者からの贈り物など、「外部からの干渉」によって成長させようとする試みが挙げられます。

これには結局、「成長」のための真の効果はありません。特訓シーンに面白いエピソードがある、という場合ならともかく、特訓すれば主人公が強くなるだろうというなあなあの設定では読者は決して納得しないことを知っておくべきです。

なぜなら、「成長」とは即ち「人間としての成長」「心の成長」だからです。「筋肉の成長」や「暗算力の成長」ではないのです。

ハードな訓練の場面を描くならむしろ、「主人公に不足している能力」を露呈させるために描くべきであり、挫折の場面であり、問題点を明示するシーンとして認識すべきです。

絶対者からの素敵で特別なプレゼントはどうでしょう?

藤子不二雄の名作漫画「パーマン」を見てください。普通の小学生が、ある日、空を飛ぶ能力や怪力を手に入れる話ですね。

しかし、超能力の贈り物の果てに主人公が見出すのは、そのギフトに見合う責任とノルマであり、己の限界と絶望なのです。

パーマンは、義務を果たすために今日もパトロールに出かける。一方では相変わらず学校の宿題もこなさねばならず、消耗しきっている。挙句に宿題をコピーロボットにやらせようとする。ズルいぞパーマン!

▲教訓▲「主人公の成長」は、決して外部からの干渉では達成できない。

4. 成長させるために奪え!

それでは具体的にどうやって成長させればいいのでしょうか? それが意外に簡単なのです。主人公のイメージが決まったら、そのイメージに程遠い人物像を造りましょう。

そのためには、まずオープニングで主人公からその『理想像』の最大の魅力を奪い取ってください。

「頭のいい人」からはその「知恵」を。「度胸のある人」からはその「勇気」を。「人間味にあふれた人」からはその「人間性」を。

そして、物語が進むにつれ幾多の試練を経たあなたの主人公は、あらかじめ失われていた魅力を取り戻し、理想像に近づいていく。

お馬鹿さんは深く考えるようになり、臆病者は度胸を身につけ、冷酷だった人は泣き、笑い、愛するようになる。まさにそうなった時、読者は感動を覚えるのです。

さて、それでは、その具体的な「成長の方法」を説明しましょう。

5. 行動しないと伝わらない

主人公の内面を行動で表わすのはけっこうむずかしいもの。間違っても「その時、マサルの心の中に勇気が生まれてきた」とか「優子の頭の中の霧が晴れていった」とか書いてはいけません。

現代においてエンタテインメントなストーリーを作るのならば、当然、物語の2次利用、3次利用まで考えておくべきです。

小説として書いていても、将来的には映画やドラマ、ゲームなどに転用されていくことを計算しておかねばならないのです。そのためには一にも二にも「絵になる行動」を作ることです。

「小説は意識を描写するものだから」というのは今やエンタテインメントを志す者にとって危険な考え方です。そんな都合のよい言葉に甘えて、行動を描くことを怠れば、それは即ち、作品の映像化の機会を失うことに直結します。

また、ことさらに映像化を前提にしなくても、こういう説明的な叙述が、読者の感興を削ぐことはあっても登場人物の内面を決して伝えられないことを知っておくべきです。

6. 共感を生み出すには

読者に共感してほしければ「想像」させることです。そのためには「主人公が実際に行ったこと」だけを描き、その心理は推して知るべし、という方法を取るべきです。

行動の内容とそれを導く状況がしっかり提示されていれば、読者は自分自身の経験から、むしろ容易にその心理を読み解くものです。

7. 「行動」を引き出すための選択肢

「行動」とそこに到る「決断」をわかりやすく伝えるためには『選択』させる、という方法を使うと簡単です。これなら主人公がやるべきことはたったひとつ。二つの「行動」からの二者択一でいいのですから。

その二つの「行動」が、説明の必要がないほど明確に主人公の気持ちを代弁するものであれば、さらに良いですね。どっちを選ぶか? に集中すればよいのでこれなら、読者も他の事に気を回さずに済みます。

8. 「選択肢」の作り方

そんな『選択肢』を作るときは、クライマックスから逆の順番で発想していくのが秘訣。

STEP1. まずは主人公が出会う危機をイメージする。

STEP2. そして、その危機を脱するために必要なものとは何かを考える。

この時、(知恵/勇気/人間性)のどれかから選ぶと発想しやすい。

STEP3.  次に、それでは今選んだ要素の対極を考える。

(知恵であれば無知、勇気なら臆病、人間性なら非情さなど)

STEP4.  そのペアになった2つの要素を「具体的な行動」として表現する。

※例えば「知恵と無知」というペアを
●主人公が難しいクイズに正解する
●主人公は難しいクイズに不正解する
などという「行為・行動」に置き換えてみるのである。それが選択肢となる。

選択肢が出来たら、まずはクライマックスの筋書きを考えよう。特に重要なのは、主人公が危機を脱するくだりである。

STEP5.  大ピンチを迎えた主人公は、危機を脱するために(STEP4)で作った選択肢から正しい方を選択する。

STEP6.  そしてクライマックスで主人公が危機を脱する場面を作る。

STEP7.  クライマックスが出来たら、次に物語のオープニングを作る。

STEP8.  できるだけ物語のはじめの方で、主人公に選択肢を選ばせる。

オープニングの1行目からでもかまわない。

STEP9.  この時、主人公が選ぶのは、クライマックスで選択する行動とは別の方の選択肢である。

順番が逆行していることに注意して欲しいが、「オープニングでは、クライマックスで選ばなかった方の行動を選択する」のである。

こうして出来上がったオープニングとクライマックスを、読者が本来読む順番に組み立てなおしてみましょう。

すると、そこには、「未成熟だった主人公が成長する」道筋が明確に表現されているはず。

最初は誰もが子どもだったのです。子どもはみんな未熟です。だからこそたくましく成長する余地もあるのであります。

あなたがもしも物語の中で、愛する主人公を傷つけまいとして最初から完璧な人間にして登場させると、逆に後から余計な苦労を背負い込むはめになりますよ。フラッシュバックによる回想シーンなどで、成長前の主人公をどうしても描く必要に迫られるのです。

うまくやれば少しぐらいなら許されますが、基本的には……ウザイですよね、フラッシュバックって。特別に回想の雰囲気を出したいなど、はっきりした目的がなければできれば使いたくないワザのひとつです。

例外としては、オープニングで読者を引き込むために、まず強烈なアクションシーンから入ることがあります。その後で、なぜその場面に至ったかを説明するために「主人公の回想」を使うことがあります。構成を前後することによって読者の心を掴む基本テクニックです。

それ以外で使われる回想シーンは構成の失敗による安易な後付けであることが多いようです。何度も過去を説明的にフラッシュバックするぐらいなら、最初にその場面から始めて伏線を敷けばいいのにと私は思います。せっかく「へえーっ」と言わせるチャンスなのに。もったいない。

主人公を愛するのは自由ですが、何のための登場人物かを考えないと、読者にとってはとても共感できない人物になってしまう。思い切り突き放して試練を与えるのが本当の親心なのです。

まず作者のほうが大人になりましょう。すると、不思議なものでキャラクターのほうも自立する。いわゆる「キャラクターが自分で動き出す」という現象が起こります。

創造の神が降臨して、神秘の一撃をぶちかまし、作り物のイメージに命が宿る瞬間であります。なんだか子育て論みたいになりましたが、物作りの幸福はここにあると思います。いかがでしょうか?

*************<例>*************
(STEP1) まず、クライマックスとして「敵と戦うシーン」をイメージしたとしよう。

(STEP2) 主人公を「勇気ある人間」として描きたい。そこで、「敵と戦うシーン」では「仲間のために自分の命を賭ける主人公」を見せたい。

(STEP3) そこで、その対極として「死に怯える臆病な主人公」を考える。

(STEP4) その2つをペアにして具体的な行動で表現すると…

[1]仲間を守るために囮となって敵をひきつける主人公
[2]仲間を見捨てて真っ先に逃げ出す主人公

以上の2つが「主人公の成長」を表現するために必要な『選択肢』となる。

(STEP5) まずは第2の選択から。クライマックスで、危地に陥った主人公は[1]仲間を守るために囮となって敵をひきつけるという行動を選択する。

(STEP6) その行動によって主人公と仲間は危機を脱するという展開にする。

(STEP7) クライマックスが出来たら、物語のオープニングを作る。
読者を引き込むために、主人公の戦闘シーンから始める。

(STEP8) オープニングの1行目から主人公は危険に直面しており、
[1]仲間を守るために囮となって敵をひきつける
[2]仲間を見捨てて真っ先に逃げ出そうとする

以上の選択肢から行動を選択せざるを得ない状況にいる。

(STEP9) この時、主人公が選ぶのは、クライマックスで選択する行動とは別の方の選択肢。つまり…

[2]仲間を見捨てて真っ先に逃げ出そうとする

である。この選択により主人公の臆病ぶりを提示する。

「最前線から怯えて逃げ帰る主人公」を描いておくことにより、後日の成長ぶりをより印象的に読者に伝えることができるのだ。

さあ、これであなたも主人公の親?

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。

主人公の成長

読者に感動を与えるために主人公が行うべき秘策とは?

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主人公は変化・成長しなければならない

なぜなら、それが人間を描くことだからであり、感動の焦点だからじゃ。ここでは、具体的に何を書けば「主人公の成長」を表現できるか? について研究している。コツは「選択肢」にあった。

主人公の成長

ぴこ蔵
「さて、物語に『魂』を注入するとしよう。つまり「テーマを表現する」ということじゃ」

ブンコ
「えーっ? そんなこと考えてないよー」

ぴこ蔵
「考えていなくとも、物語である限り自然に備わっているものじゃ。中でも「主人公の成長」を明確に描くことは読者に感動を与える大事なテーマの一つじゃ!

ただし、ここで気をつけたいことがある。成長するためには、主人公が「行動」することが重要なのじゃ。しかし「行動」で表わすというのは実はけっこうむずかしくて、“具体的に何をすればいいのか分からない”という場合が多いのじゃよ。

そこで、ここでは手っ取り早く「選択」という方法を使うのじゃ。あらかじめ、主人公が取るべき行動を2つの選択肢にしておいて、主人公に「選択」させるわけじゃな。

その選択肢は「テーマを表現するために主人公がしなければならない行動」とは何かを考えることによって作り出せるのじゃ。そして、この選択は2度行われなければならない」

ブンコ
「へっ? 2度? どーして?」

ぴこ蔵
「『最初の選択』と『第2の選択』で同じような内容の選択肢が提示され、主人公はそれぞれ違う選択をする。最初は未熟な思考によって誤った選択をする。2回目は何事かに開眼して見事に正解を選択する。そのことによって主人公の「成長」を明らかにするわけなのじゃ。

応用としてわざと同じ選択をすることで「成長」を見せるという、読者の予想の裏をかくひねりを効かせた高等テクニックもあるが要はさまざまな意味での成長を具体的に例示できればよい」

ブンコ
「つまり、主人公に同じようなシチュエーションで2回、次に起こす行動を選択させるわけだなー。で、1回目の選択はいつやればいいの?」

ぴこ蔵
「できるだけ最初の方じゃ。オープニングでもかまわん」

ブンコ
「どんな選択肢を作ればいいの?」

ぴこ蔵
「主人公の性格を説明し、その未熟さを表現するために、ストレートに欲求を表わす選択をさせるのじゃ。例えば『主人公は空腹を感じたのでパンを盗んで食べた』みたいな」

ブンコ
「それじゃあ、2回目の選択はいつやんの?」

ぴこ蔵
「これはちょっと難しいぞ! 物語の後半で、どんでん返しが起こった直後じゃ。このタイミングで1回目の選択とは逆の選択をするのじゃ!」

ブンコ
「逆ってつまり、食べたパンを吐き出して空腹になるってこと?」

ぴこ蔵
「違うわいっ! 空腹でもパンを盗んだりしないということじゃっ!」

ブンコ
「なんだ、簡単じゃん」

ぴこ蔵
「そして、実はここでもうひとつ注意点があるのじゃ」

ブンコ
「まだ~?」

ぴこ蔵
「なぜ2回も選択する必要があると思う?」

ブンコ
「だから、1回目と2回目で別の選択をすることで主人公が成長したことを伝えるんでしょ? 最初は盗んだパンにかぶりついてた奴が、大人になったんで、腹が減ってもパンを盗まなくなるわけだ」

ぴこ蔵
「読者はそう感じるわけじゃが、作者は反対に考える。つまり『第2の選択』で「成長した主人公」を表現するわけじゃから、そのために『最初の選択』は『未熟な選択』でなければならん」

ブンコ
「なるほど! 最初から完成された人格を持った主人公は変化しづらいけど、主人公が未熟だと成長させやすいってことだー」

ぴこ蔵
「その通り! 最初、主人公は未熟であること。成長の余地を残したキャラであることが大事なのじゃ」

ブンコ
「そこであんまり主人公に自分を投影しすぎないようにしないと、つい立派すぎる主人公を作っちゃうおそれがあるんだよね」

ぴこ蔵
「最初から完璧に描いてしまうと、どうしても無理が来るのじゃ。成長させようとすると想像力が追いつかず絵空事になってしまう。

それから、無意識というのは怖ろしいものでな、主人公が自分と一心同体になっておると、その身をまるで我がことのように心配してしまうことがある。

せっかく作った、鋭いガラスの破片で覆い尽くされた床。なのに、主人公は靴底に分厚い鉄板の入ったブーツで走ったりしてしまう」

ブンコ
「あうっ! だって痛そうだったから……」

ぴこ蔵
「毒蛇うようよの穴に落ちた主人公が、誰一人噛まれてもいないうちからさっさと火炎放射で蛇を焼き尽くす」

ブンコ
「げげぶっ! だって気持ち悪すぎるんだもん……」

ぴこ蔵
「じゃあ登場させるなっつーの!」

ブンコ
「確かにあたしの主人公にはびっくりするほど説得力ないっすよ。厚着してたらふく食わせて走るのイヤだからドラゴンにまたがりますよ。ああそうさ、自分に甘いから主人公も過保護さ!」

ぴこ蔵
「それでは読者が可哀想じゃ。なんで他人が楽な思いばかりする話を読まされて『これぞ今世紀最大の冒険!』とか言われなければならんのじゃ。読みたいのは裸足でガラスの破片の上を疾走する主人公の痛みであり、感じたいのは蛇に噛まれてふくれあがる顔面の苦しさなのじゃ。しかしお主の主人公と来たら、全然ピンチになったりしない。いつもカッコつけて説教するばかりじゃ」

ブンコ
「そーいえば、主人公が悪党どもに説教するシーンをお姉ちゃんに読ませたらいつもあんたが親に言われてるセリフだってぬかしやがってさ、頭に来たからお姉ちゃんの柿の種チョコ食べてやった。ガハハ」

ぴこ蔵
「何をやっとるんじゃ!」

ブンコ
「そんな、ちょっと未熟な私でした」

ぴこ蔵
「最後まで未熟では意味がないので、ちゃんと成長させることじゃ」

ブンコ
「あたしがなかなか成長しないのはどーしてだ?」

主人公の成長のキッカケは「他人の指摘」で!

ぴこ蔵
「さて、主人公はある時、成長しなければならん。おぬしとその主人公がなかなか成熟しないのは、成長の仕方に説得力がないからなのじゃ!」

ブンコ
「ギクッ!」

ぴこ蔵
「おぬしの主人公は、自分の未熟さにあまりにも都合よく気づいてはいないか? なんのキッカケもなしに突然目覚めてはいないか?」

ブンコ
「そういえば、家族総出で大掃除やってる時にあたしゃ隠れてマンガ読んでてさー、『遊んでるんだったらみんなの昼ごはん作れ』 って親に命令されたんだ。

だから『あたし料理が下手だってことに今突然気づいたから』って断ったら、『そんなのみんな昔から気づいとるわっ』『こっちは死ぬ気で食ってやると言ってるんだ』『ただ死ぬ前にお前の首だけは絞めさせてもらうからな』家族全員にツッコまれて血の涙流したこともありましたっけ」

ぴこ蔵
「うひょひょ。素晴らしい経験ではないか。そもそもおぬし、小説でも、小手先のギャグで逃げようとして結局失敗するじゃろ?」

ブンコ
「いくら師匠でもそんな質問には答えねーぞ!」

ぴこ蔵
「主人公は自分の未熟さに自分で気づいてはならないのじゃ。だってあまりにも嘘くさいではないか! 成長のキッカケとは、まさにどこかの誰かさんみたいに、必ず『誰か他人の指摘を受ける』ことなのじゃ!」

ブンコ
「耳が痛いよーしくしく」

ぴこ蔵
「それじゃ、その痛みが大事なのじゃよ! 主人公には思いっきり恥をかかせよ。ムチでしばけ。痛みを伴うことによって読者は主人公の気持ちを共有できる。同じ経験、同じ胸の痛み、同じ辛さを感じたとき、読者は主人公に共感してくれるのじゃ」

ブンコ
「ある意味、主人公はダメ人間のほうがいいんだね」

ぴこ蔵
「そういうこと。そして他人から容赦なくそのダメぶりを『指摘』されることが成長への近道となる!」

 

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読者をぐんぐん牽引する物語のエンジンを簡単に作る2つの設定

読者をぐんぐん牽引する『物語のエンジン』を簡単に作る2つの設定とは

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主人公に目的はあるか

ブンコ
「ストーリーを前に進めるための『物語のエンジン』には、主人公の目的と障害物の2つがあるって言ってたけど、これってどんでん返しと関係があんの?」

ぴこ蔵
「多いにあるのじゃ! それを理解するためにも目的と障害物についてもう少し考えを深める必要がある」

ブンコ
「それじゃあぴこ蔵師匠、主人公の『目的』っていうのはどーゆーこと?」

ぴこ蔵
「主人公がやらねばならんことであり、主人公の存在理由そのものじゃ。意味もなく外出したり、暇なのでパチンコに行ったりする。そんなヒマは主人公にはありゃあせん。何も変わらないなんてもってのほかじゃ。主人公たるもの読者の貴重な時間を浪費することは許されん。パチンコひとつやるにも確固たる動機が必要なのじゃ!」

ブンコ
「き、厳しいんだねー、主人公の立場って」

ぴこ蔵
「当たり前じゃ。主人公は何かを為すために存在しておる。常に「何をする」かをはっきり決めてやらねばならん」

ブンコ
「前回の実例(2)の主人公の場合は『遺産を相続するためにパチンコ台を攻略する』というのが目的になって、ストーリーが動き始めたわけかー」

ぴこ蔵
「主人公の明確な目的こそが『物語のエンジン』なのじゃ!」

ブンコ
「じゃあ、ストーリーが始まったらすぐに事件が起こらないと読者はついてきてくれないんだねー。出来るだけ早く目的を明確にすることが作者の義務ってことか」

ぴこ蔵
「おぬしの主人公は目的に向かって全力疾走しとるか?」

主人公には苦難を与えよ

ブンコ
「じゃあ『障害物』ってゆーのは何?」

ぴこ蔵
「これが人間の不思議なところなんじゃが、いくらすごい目的を設定しても、あまりにも事が順調に運んではちっともドラマチックには感じないのじゃな」

ブンコ
「そういえば、実例(2)の主人公にしても、『負傷」『不利なルール』などの理不尽な危機が次々に襲いかかってくるからこそドキドキハラハラしちゃうわけだよね。確かに、これと言ったピンチもなしに目的が達成されたって読者にとってはぜんぜん面白くないもんねー」

ぴこ蔵
「良いエンジンを積んだら、さらに物凄い悪路を走らねばならん。苦労しないと読者は前に進んでいる実感が湧かんのじゃ。いやはや、物語作りはサファリラリーみたいな作業じゃよ」

ブンコ
「読者の興味をひきつけるためには、主人公を襲う苦難が必要だってことかー!」

ぴこ蔵
「『障害物』とはまさにそのことなんじゃよ!」

面白い物語の基本形

ぴこ蔵
「さて、面白いストーリーにするためには、主人公が目的を持っていることと、障害物があることが必要じゃということがわかった。それでは、その二つを話の流れに取り入れるとどんな風になるかな?」

ブンコ
「主人公はある目的を持っている。当然その目的を達成しようとがんばるよね。ところが、それを邪魔する奴がいるわけ。主人公はそいつと戦うことになる…」

ぴこ蔵
「うむ、つまりこれが『対立』ってやつの正体なのじゃ」

ブンコ
「わかりましたー! 主人公は『目的達成』のために『障害物』と『対立』するわけだ!」

ぴこ蔵
「そういうことじゃ。『ドラマとは、主人公が目的達成のために障害物と戦うこと』つまり、面白いストーリーにするには、主人公が目的のために邪魔者と戦うべし!」

ブンコ
「師匠、不肖アタクシめがまとめさせていただいちゃうよ。

<面白いストーリーの基本形>
★目的を達成したい主人公が、それを邪魔する敵と戦う

これでどう?」

ぴこ蔵
「上出来じゃ。お主が書くべき『面白いストーリー』の姿がますますわかりやすくなってきたのう! 特に、とりあえず初めて物語を書くのなら、『ある目的を達成したい主人公がそれを邪魔する敵と戦う話』がおすすめじゃ! 基本中の基本じゃからな」

ブンコ
「よーし、さっそく主人公の目的を決めなきゃなー! でも、どうやって? 」

ぴこ蔵
「焦るでない焦るでない! お主にも簡単に「主人公の目的」を決める方法があるのじゃ! じゃが、そのためにまず知らねばならぬことがある!! その前に、この章のまとめなのじゃ!

★面白いストーリーの基本とは
「ある目的を達成したい主人公が、それを邪魔する敵と戦う」物語

 

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