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物語創作4つの悩み③書き上げても面白いと言ってもらえない

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当ブログを訪れる人の悩みは、大きく分けると4つに集約されます。そこでぴこ蔵は、この4つの悩みを解決するためにはどうしたらいいかを考えました。

よく書けるねー、凄いねー、とは言われても、作るストーリーはマンネリ化した同じパターンで面白いといわれたことが一度もない

最も必要なのはアイデアのひらめきですが、物語が面白くならないという人はたいていこのコアとなるアイデアが面白くない。あるいはアイデアそのものが全然ないのです。

アイデアすらないのであれば、これまでわしらはいったい何を物語ろうとしてきたのでありましょうか? おそらく、自分が好きなシーンを実現させやすい舞台設定や、好みのタイプのキャラクターの、主に外見的な特徴や喋り方について一生懸命描写していた、あるいはその妄想に浸っていただけなのかもしれません。

残念ですが、それだけでは何も起こらないのです。もっともっと事件が立て続けに起こり、登場人物を必死に行動させるように追い込まなければ、読者には面白く感じてもらえないんです。手に汗握る展開によって観客がドキドキワクワクしてくれなければ、エンタメとは言えないのです。

それには読者を喜ばせるための高度な戦略が必要です。それはまさしく物語の技術であり、文体や絵の上手下手とは関係のないところで決まります。

びっくり、ドキドキ、ハラハラ、びくびく、ワクワク。

そんな、強く感情を揺さぶられる出来事。その驚きや感動を再現するのがエンターテインメントの目標でありましょう。

あなたのストーリーに盛り上がりが足りない、なんか貧相でげっそりすると感じたら、タイムリミットやミッドポイントやどんでん返し、問題解決の切り札、意外な結末、読者を惑わす謎など、リッチな物語エレメンツ(要素)がきちんと入っているか、そして効果的に機能しているかを、まず最初にチェックしてみてください。


ぴこ山ぴこ蔵の物語創作支援メールマガジン
このブログの記事は全て、ぴこ蔵メールマガジン『面白いストーリーの作り方』から転載したものです。メルマガでは「いかにして面白い物語を生み出すか?」をテーマに、毎月、ぴこ蔵流の実践的考察を続けています。バックナンバーは公開しておりませんし、ブログ記事になるまでにはけっこうなタイムラグがあります。すぐにお読みになりたい方は、以下より配信をお申し付けください。折り返し、最新号が届きます!

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物語創作4つの悩み②書き始めても最後まで書き上げられない

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当ブログを訪れる人の悩みは、大きく分けると4つに集約されます。そこでぴこ蔵は、この4つの悩みを解決するためにはどうしたらいいかを考えました。

書きはじめは絶好調なのに、いつも途中で何かつながりがおかしくなって、最後までフィニッシュできたためしがない。

なぜこんなことになってしまうのでしょうか?
面白い物語を作るために私たちはまず何を用意しなければならないのでしょうか?

ピクサーの映画『メリダとおそろしの森』で絵コンテを描いたEmma Coatsさんは、素晴らしい物語を作る上で欠かせない22のルールを語っています。その中で7番目に挙げられているのが「物語の中盤に差しかかる前に、エンディングを思い浮かべよう。物語を終わらせるのはとても大変なので、その前から着手するのが大事」という項目です。

※参考;lifehackerの記事より

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物語創作4つの悩み①面白いストーリーが思いつかないので書き始められない

question

当ブログを訪れる人の悩みは、大きく分けると4つに集約されます。そこでぴこ蔵は、この4つの悩みを解決するためにはどうしたらいいかを考えました。

自分が作りたい物語がどんなものなのかがよく分からないし、無理やり書こうとしても陳腐なエピソードしか頭に浮かばない

ストーリーを作れない原因は山のようにあります。しかし、いくらその理由を断罪し反省したところで面白い話が出来るわけではありません。出来ない言い訳よりも一刻も早く素晴らしいアイデアをひねり出すことの方が大事だし素敵です。

ならばどうするか?
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あらすじを作ろう! ~ ぴこ山ぴこ蔵の使命とは?

こんな質問をよくいただきます。

私は文章を書くことが好きなので、将来はものを書いて生計を立てたいと思っています。「文章を書くのが好き」というだけでプロになれるでしょうか?

プロになる上で

「文章を書くのが好き」というのは絶対に必要な資質です。文字を書くたびに奥歯が痛くなる、という方はマウスピースをはめるかこの道をあきらめたほうが幸せになれると思います。

文章を書いてお金をいただくことは、書く内容を選ばなければ、けっこう簡単に出来たりします。いわゆる雑誌やコピーのライターという職業です。でも、それはライティングマシンになるという覚悟が必要です。編集部の意図や企画に従って取材し、記事や文章にする。かなりの知識や知性が必要ですし、けっしてそれがレベルの低い仕事だとは思えません。有意義で興味深い職業ですが、ひとつだけ問題があります。

多くの場合、ライターという職業では自分だけのオリジナル作品が作れない、ということです。「文章で生計を立てていく」という意味ではライターも作家も同じですが、作家(ここでは小説家や脚本家に限定します)はオリジナルの物語を生み出すのが仕事です。

雑誌ライターの記事やコピーライターの作った宣伝文などは、雑誌というメディアや宣伝商品との関連なしには成立しませんが、オリジナルの物語はメディアを選びません。物語は自立した作品なのです。商品と言い換えてもいいでしょう。

(ルポライターはどうなんだ?! という声が聞こえてきそうですが、ジャーナリストというのはまた全く別のジャンルの職業です。こちらはむしろ取材がメインで、時にはとてもハードです)

もし文章を書くのが好きで、ハードな取材はしたくないが、将来書くことで生きていきたいという都合のよい希望(笑)を持っているのなら……。むしろ割り切って「読んで面白いオリジナル商品」を一刻も早くたくさん作ることに徹底しましょう。

いわゆる記者やライターはサラリーマンや下請けと同じ立場です。企業や団体の仕事なので収入は安定しますが、自分が好き勝手なことを書くわけにはいきません。また、何人の人に読まれようと報酬は一定です。

それにくらべて作家は(本来は)自立した商売です。農家が野菜を作るように、作家は物語を作ります。作った商品は市場に持ち込んで売ります。出来のいい野菜(作品)で適正な価格であれば売れ行きもいいわけです。

ちょっと前までは、個人では宣伝する方法がなかったので、出版社が作家を丸抱えするような形もよくありました。それだけ職業としてリスキーだったわけですね。しかし、webの時代では、戦略と技術さえ持っていれば、個人でもかなりの宣伝をすることが可能です。

あなたにも、面白いオリジナル商品さえあれば、かなりの確率で一山当てるチャンスがあるわけです。オリジナル商品は歩留まりもいいし(笑)。

「文学作品は商品ではない」というご意見があると思いますが、ここで文学の価値について云々するつもりはありません。文学を論じるのであれば、他にいくらでも優れたサイトがありますので、どうぞそちらに行ってください。

さて、作家になるにはいくつかの方法があります。有名な文学賞を受賞するのが最も早道です。出版社に企画や原稿を持ち込んで契約にこぎつけるという手段もあります。ハードルは低くはありませんが、けっして無理な方法ではありません。

ただ、こんなのは誰だって知っていますよね。だから教える側には「作家になるための意識の持ち方」や「新人賞を狙うためにどんなテーマを狙うか?」などとちょっとひねった戦略を講義してくれるところもあります。

しかし、ちょっと考えてみてください。プロの作家と言うのは小説を書いて生活している人のことです。1本や2本書いて生涯食えるわけがありません。作家活動だけで最低限の暮らしを維持するためには、1年にけっこうな数の売り上げを達成する必要があるのです。

出す本が必ずベストセラーになる作家はそうはいませんから、多くの作家は毎日のようにうんうん書かなければなりません。しかも、その作品が全く売れなければ、出版社が契約してくれなくなります。つまり、本当にプロの作家と呼べるのは、出す小説が売れ続けている人のことです。

しかし、現実は厳しい。

今でも、多くの方々が、雑誌や新聞のライターやコピーライターとしての仕事で生活を支えながら、本来の作家活動を続けていらっしゃいます。つまり、プロ作家になることよりも、プロ作家であり続けることのほうがむずかしいのです。

ぴこ山ぴこ蔵の使命とは?

ぴこ山ぴこ蔵は、プロとしてやっていきたい方のための最低限の条件である「あらすじの作り方」を研究しています。そしてぴこ蔵の主張はシンプルです。

「商品として売るつもりなら、面白くない物語を作ってはいけません」この一言に尽きるのです。

ただし、お断りしておきたいのは、ぴこ蔵が教えるのはいわゆる「文章作法」ではないということです。「小説の書き方」というほど幅広い内容を取り扱う気はありません。

文章表現というのは簡単ではありません。例えば、高名な画家が絵を描く技術や、プロの演奏家が楽器を奏でるスキル。これらを身につけるのは非常に困難だということは予想がつくと思います。小説を書くのも同じです。村上春樹さんもおっしゃっているように「技術だけではいい小説は書けない。しかし、技術がなければいい小説は書けない」のです。

文字はほとんど誰にでも書けるので、文章も簡単に出来ると考えてしまいがちです。しかし、芸術としての言語表現のレベル(詩や小説のことですな)にまで達しようとしてちょっと頑張ってみると、これがいかに大変な道であるかは、誰にでもすぐにわかります。

ぴこ蔵が挑むのは「創作物の面白さの抽象化」であります。ここはマンガの線の引き方や文体の磨き方を教えるところではありません。「なぜ面白いのか」「どこが面白くないのか」「どうすればその面白さを再現できるのか」を『物語パターン』から探り出していこうと言う試みであります。

さらに具体的に言うならば、ここで教えるのは、エンタテインメント作品のための「プロット作りのハウツー」なのです。サスペンスのある、読んで面白いといわれるための作品を書きたい人に、具体的でシステマティックな「発想のノウハウ」を提供します。

この「プロット作りのハウツー」さえ知っていれば、今まで書いたことがない人でも簡単に物語を作ることが出来ます。また、よくありがちな「面白くない物語」を書かずに済みます。時間の無駄遣いを防げるのです。

いわゆる純文学作品の講座とはかなり違いますので、ブンガクを志す方は使うのをお止めになったほうがいいですよ。なぜかというと、このノウハウを知ってしまうと、娯楽作品を書いてみたくてたまらなくなるからです(笑)。

くどいようですが、ぴこ蔵がお伝えするのは、読者を「あっ!」とのけぞらせたい、夢中になって読ませたい。そのためになら悪魔にだって魂を売ってやる、という決意がある方のための本当に実利的で実践的なノウハウなのです。

ぴこ山ぴこ蔵は、
●いかに手っ取り早く面白いストーリーを作るか
●いかに多くの物語を作る能力を身につけるか
ということに力を注ぎます。

メインはあくまでもストーリー作りです。「どうすれば作家になれるか?」ということではありません。

「作家になる」ためには、まず「作品を完成させる」ことが絶対に必要だからです。

そして「作家であり続ける」ためにはより多くの作品をより速く書きあげる技術がなければなりません。

しかも、その作品が「面白くない」ことは許されません。

これらの条件が満たされない場合は、万が一作家になれたとしてもすぐに作家生命が尽きてしまいます。

心の底に沈んだアイデアを引き揚げろ!

――不況の今だからこそ、ネットビジネスで稼ごう!
そんな浮かれた言葉に踊らされて、あなたは他人の作った商品を売ることばかり考えていませんか? 売れるかどうかわからない商品の原価ばかり気にしていませんか?

どんな人でも、生涯に1本は小説が書けると言われています。でも、多くの人たちはそんなことに挑戦してみようとも思いません。なぜかというと、どうやって書いたらよいのかがわからないからです。

あんなことは、生まれながらの天才にしか出来ない、おそろしく複雑で精緻で、ほとんど魔術的な精神活動の結果だ、と思いこんでいるからです。しかもその上、館詰めになるための静かなホテルの一室と、署名入りの原稿用紙、モンブランの万年筆が必要だ、と信じ込んでいるからであります。

ここで、はっきり申し上げておきましょう。

物語には作り方があります。誰が読んでも面白いと思うストーリーにははっきりとしたパターンが存在するのです! その方法さえわかれば、誰にでも簡単に作れるのです。

近所の公園のベンチで30分もあれば、安売りチラシの裏側に、ちびた鉛筆で書き殴るだけで、人を惹きつけて止まないストーリーが構成可能なのです。

しかも、それはあなただけのオリジナル商品であり、仕入れ原価は0円。在庫調整の苦労もなく、一度作れば何度でも売れる。紙や映像や演劇、ゲームなどに2次利用もできるし、逆にネット上ではデータだけでも流通させられる素晴らしい商品なのです。

また、「物語の技術」をセールスレターに取り込めば商品を宣伝することにも使えるわけです。これは重要です。商品を売り込むための宣伝文案がインチキくさく、わかりづらく、読むに耐えないものだったとしたら、いったい誰がその商品を欲しがるでしょうか???

あなたの部屋のネタ帳に埋もれているそのアイデアこそ、宝の山かもしれません。小説や映画のシナリオ、あるいは漫画の原作になっていれば、来年の今ごろはもしかすると海の向こうでオスカーをとっているかもしれません。

ところが、アイデアの断片のまま放っておくと、いつしか忘れ去られ、闇の中に沈んでしまいます。しかし、思いついたアイデアを1本1本小説にしていては時間がいくらあっても足りません。だからこそ、短時間であらすじに「立ち上げて」おくことをおすすめします。

あらすじにしてストーリー性をつけておくことで、アイデアは整理され、体系付けられ、常に記憶の中で活性化している状態になります。完成形が小説であれシナリオであれ漫画の原作であれ、あらすじの段階まで出来ていれば、次の段階に進むのもたやすくなります。しかも、あらすじは作れば作るほど自分の力になるものです。

一日一本あらすじを作りましょう。たった一本のあらすじがあなたを救ける宝の山になることだってあるのです。一番もったいないのはアイデアを持ちながら忘れてしまうこと。何度でも言います。あらすじにしておきましょう。あらすじはストーリーを最適化してくれます。

誰かにモニタリングをお願いするときも、長編小説だと嫌がられますが、あらすじなら何本も読んでもらえます。死ぬ思いをして書き上げた小説。その評価に気を揉みながら半年も待つよりも、あらすじの段階で評判の良いものを次々に小説化していくほうが、はるかに効率的ではありませんか。

これからの世の中、作家といえどもマーケティングは大切です。自分の好きなテーマだけを書くのが理想ですが、実績を出したい人はそんな甘いことを言っていられません。市場のニーズを掴むことは非常に重要です。プロであり続けるとはそういうことなのです。

私が小説のコマーシャルを作る現場に20年間いてわかったことは、いわゆる「売れている作家さん」たちが、どんなに自分の作品のセールスに関して真剣に取り組んでいるか、ということでした。

ベストセラー小説の売上で上位にいる作家ほど、宣伝には厳しい制約を課しています。わざわざ自分で書いたコピーをスタジオにまでFAXしてきたり、小説本文からの引用しか許さなかったり、その方法は様々ですが、どの作家も非常に神経を使っていました。

中には「全く自由にやってくれていい」という方もいましたが、その作家は、コマーシャル1本ぐらいでは売上にほとんど影響しないほど、強力なマーケティングとセールスのシステムを作り上げていました。誰でも名前を知っている大作家でも、自著を売り上げるためにものすごく努力しているのです。それがプロの世界です。

もしあなたが漠然と「作家はかっこよくて楽そうでいいな」などと思っていたら、それは大間違いです。昔ならともかく、今は本当に厳しい時代です。1本や2本当てて一生食えるわけがありません。

プロ作家は「物語」というオリジナル商品を売る個人事業主なのです。まずは徹底した生産管理ができなければ成功はありません。なんとなく、ではダメなのです。

一日一本、あらすじを作ることで作品全体のイメージがいったん完成します。あとはそれを詳細に詰めて形にすればいいのです。探りながら書いていては時間がかかりすぎます。まずはあらすじでイメージを完成させ、あとはいかにそのイメージに近づけていくかということが大事です。

もちろん、趣味や気晴らし、研究目的で小説を書く人は、細かいことなんて気にせずに、思いつくまま気が向くままに書けばよいのですが、そのかわり、そういう作品を誰かが読んでくれると思ってはいけません。

あくまでも目標が「他人に読まれて面白かったと言ってもらえる作品作り」にあり、そして、そのことで利潤を上げようとするのなら、まず「あらすじ」から作り始めるべきです。

ぴこ山ぴこ蔵はそんなあらすじ作りをお手伝いします。

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娯楽を目的とする物語のテーマを決めるただ1つの条件とは?

エンタメ物語の創作は「読者に味わってもらいたい感情」を想定することから始まる。ただし、あれもこれもと欲張ってはいけない。1ストーリーに1テーマ。絞り込んで読者を集中させよう。

こんなご質問をいただきました。

「起承転結の構造についての質問です。起から承に移るタイミングは、主人公が事件に巻き込まれる切っ掛けと解説されていたように思ったのですが、それでは、

1.主人公がAという人物と出会う。
2.Aと徐々に友情を深めていき、やがて親友となる。
3.Aが行方不明になる。
4.Aを探すために主人公が行動を開始する。
5.障害が発生!

という流れにおいて、2番が重要な位置を占めるとき、それでも2番はまだ「起」の部分に含まれている、という認識で良いのでしょうか。それとも「事件」という字義を広く捉え、1番の「出会う」ことが「事件」であり、2番の「徐々に友情を深めていく」ことが展開部である、ということになるのでしょうか。となると実は3番ちょい手前にミッドポイントがあり、3番はミッドポイント後半の開始ということになりそうですが、うーん。 少し不安です。(Sさん)」

それではさっそくお答えしてまいりましょう。

1ストーリー1テーマ

さて、この物語は一言で言うと、

「主人公がAと友情を深めていき、やがて親友となる」話なのでしょうか?

それとも

「主人公が行方不明の友人を探す」ストーリーなのでしょうか?

なぜそんなことを聞くのかといいますと、この場合の最大の問題は、メインテーマを決めきれていないことにあるように思えるからです。

「1ストーリーには1テーマ」というのが物語作りの鉄則です。一句の俳句に入れる季語が一つであるようなものです。あれもこれも全部がメインテーマでは、まるで季語が二つある俳句のようになってしまい、イメージが混乱・分散する原因となります。

文学的に『テーマ』というと様々な定義があって分かりにくいので、対象を商業的な娯楽作品のみに絞ります。エンターテインメントを求める読者に味わってほしいのは「唯一極上のフィーリング」です。そこで、ここで言うテーマとは『読者に想起させたい感情』と解釈してください。

Sさんが読者に一番感じてもらいたいのは「真の友情を獲得する」場面の感動なのでしょうか? それとも「拉致された親友を奪還する」際に湧き上がる怒りなのでしょうか?

友情を獲得するストーリー

> 2.Aと徐々に友情を深めていき、やがて親友となる。

というのが最重要なのであれば、「友情の獲得」こそがメインテーマになります。映画『E.T.』なんかはそういう物語ですね。そこに決定的な悪は登場しないのです。

そうすると3以降は、「獲得した友情の厚さを確認する」ためと「クライマックスのエピソードとして何か派手なアクションがほしい」というエンタメ的な要請に従って作られることになります。

消えた親友を探しに行くことは、この物語の主人公にとって主要な目的ではなく、「E.T.における自転車チェイスのための理由付け」ぐらいの意味です。だから、ある程度、予定調和的な結末であることが大事です。

「主人公が親友を見つけ、変化する」というストーリーを作るのであれば、物語の3分の2の分量を占める『起』と『承』の全てを使って「二人の友情が深まるまでの話」をじっくりと描くべきでしょう。

そしてなんらかの『転』があって、「親友が拉致されて取り戻しに行く」というクライマックスに突入すればいいと思います。

友情を獲得するストーリーは本質的な構成としてはラブストーリーです。従って、無理に「敵のどんでん返し」を使うことはありません。ハナサカやアオトリなどの「目的のどんでん返し」を使うと作りやすいのではないかと考えます。

※参考記事

【目的】に仕掛けるどんでん返し「ハナサカ」

【目的】に仕掛けるどんでん返し「アオトリ」

また、その場合はむしろ「主人公がどう変化するか?」のほうが構成のカギになりますので、『主人公の成長』をしっかり設定することに力を注ぐべきでしょう。

親友を奪還するストーリー

一方、メインテーマが「拉致された親友の奪還」であるのなら『なぜその人と親友になったのか』という話はサブテーマです。

サブテーマにどのぐらいの文章量を割くかは別として、「親友になった経緯」はオープニングから『承』の始まりまでの中でさっさと処理してしまうべきです。

あるいは、逆にそのサブテーマを『謎』として読者の目から隠すという手もあります。その場合、1~2の要素はむしろ「承」の中の回想シーンで説明するといいと思います。

どちらにしても、できるだけシンプルに、主人公はのっけから「行方不明の親友を探す人」として登場するべきです。そして「事件のきっかけ」としては主人公自身が大変な状況に追い込まれることが重要です。

例えば、罠にかけられて警察に追われることになるとか。24時間後に爆発する首輪をはめられるとか。脱獄不可能とされる刑務所に収監されるとか。そして、その親友救出作業と並行して、「主人公はなぜ親友を探しているのか?」という謎が明らかになっていく。そんな構成にすると興味を持続しながら読んでもらえるでしょう。

また、親友が拉致されるわけですからそこには「悪」の存在が必要です。この「悪」の存在が、クライマックスシーンにおいて、主人公に大きく関係してこなければ、エピソードとして扱う意味はありません。

そのためには「誰が何のために親友を拉致したのか?」という設定がポイントになってきます。このあたりをじっくり練ることが必要であります。

復讐のストーリー

この質問では取り上げられていませんが、実はもう一つ、ドラマチックな動機として多用されるのが『復讐』です。日本人が大好きな『忠臣蔵』も、シェイクスピアの『ハムレット』も、『復讐』の物語です。おっと、藤子不二雄A先生の『魔太郎がくる!』も忘れてはいけませんね。

やられたからやり返す。大事なものを壊されたから相手の大事なものを壊す。仲間や家族を殺されたから犯人を殺し返す。二度と取り返せないものを失ったとき、人は絶望の中で怒りに身を任せます。

見事に復讐を果たしたときのカタルシスには大変なものがあります。しかし、どこかに虚しさが残るのが復讐物語の特徴です。いくら相手をやっつけても、失ったものは戻ってこない。そんな喪失の悲しみが常につきまとうのです。

しかし、それでも人は復讐の念に駆り立てられ、「仇をとる」という大義名分を掲げて、一途で孤独な戦いを始めてしまう……。この恨みはらさでおくべきか。そんな『復讐』は誰もが最も納得できる動機の代表格なのです。

メインテーマを明確に

ハートウォーミングな『友情』の話か? スリリングな『奪還』の物語か? はたまた宿命的な『復讐』の悲劇なのか? さあ、どれをメインにするかによってストーリー構成は大きく変わります。

エピソードの効率の良い連動性を考えるのなら、まずは最も大きなストーリーの流れから決めていかねばなりません。あれもこれも、ではなく、この物語ではまず何について語るのかを最終的に1つだけに絞りこんで考えてください。全ては『それ』の欠落から始まり、『それ』の獲得を目指して終わっていきます。

他に入れたい要素があったとしても、まずはメインテーマに沿った構成を優先して作り、その上でサブのテーマを乗せていくようにしましょう。

エピソードに優先順位を付ける。そして最高順位のものを『メインテーマ』とする。他のエピソードはメインテーマを生かすために選ぶ。

そのルールを先に決めることで、作る側にとっても読む側にとっても分かりやすいストーリーになるのです。くれぐれも欲張らないように。1ストーリーは1テーマに絞り込んでください。

獲得か? 奪還か? それとも復讐か?
あなたらしい動機を持った物語を作りましょう。

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