創作講座(どんでん返し編)」カテゴリーアーカイブ

どんでん返し狼男

3匹のモンスターその2:狼男

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狼男とは?

ブンコ
「狼男は『内側に潜む恐怖』だよねー。でも、誰の内側?」

ぴこ蔵
「主人公(エピソードの主役)の内側じゃ。多重人格や催眠、憑依霊、宇宙人のテレパシー、そして、主人公が組織の場合は『裏切り者』ということもある」

ブンコ
「主人公と肉体を共有するくせに人格は別で、主人公が知らない間に主人公の体を使って悪いことをするんだよねー」

ぴこ蔵
「はたから見れば『変身』するわけじゃ。満月を見ると狼にな」

★内部に潜む恐怖(狼男)
※主人公の中に潜んでいて、主人公のコントロールが及ばない。

普段は善良な人間の内側におとなしく隠れていますが、満月になると体中に剛毛を生やした残虐なモンスターに変身します。主人公の内部にいて、しかも主人公の意志では制御不能なこの怪物は人間が自分自身に対して抱く恐怖を実体化したものだと言えます。

類型:
このタイプの敵の正体は、主人公自身です。主人公と肉体を共有する存在と言ってもいいでしょう。精神的には全く別人格です。自分勝手な動機に従って行動し、主人公の生活はそのカムフラージュに過ぎません。ただし、主人公はそのことを知りません。

●サイコ、その他の精神的な錯乱状態。
●寄生虫、憑依、などの他人格による乗っ取り。
●催眠術、薬物等による他者からのコントロール。

つまり、「自分の中のもうひとりの人格」です。

これを『組織』にあてはめると、さらに広がります。主人公がある組織で、その組織を代表する登場人物が「本当の敵」の場合です。

●組織の中の裏切り者による詐欺行為。

ということになります。犯人の意外性を追及したい方にはオススメのキャラクタ―ですねえ。

この「組織の中の狼男」という設定を使った作品には『シャドー81』という不滅の名作があります。どんでん返しのところで私は本を取り落としました。

役割:
本当の敵が主人公だった場合、最後に自殺することがよくあります。「敵を倒す」ために主人公が自分の肉体を滅ぼすのです。このタイプはそういう悲劇性を含んでいます。

 

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どんでん返しドラキュラ

3匹のモンスターその1:ドラキュラ

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3匹のモンスターの恐怖

ぴこ蔵
「1匹1匹のモンスターはあまり大したことはない。ただ、これが組み合わさると凄い効果を生み出すのじゃ」

ブンコ
「それにしてもさー、なんであの3匹なの? ゴジラやガメラじゃどーしていけないの?」

ぴこ蔵
「ドラキュラ、狼男、フランケン。もっと簡単に言えば、外の恐怖、内の恐怖、因果の恐怖。これこそが人間の最も基本的な恐怖だからなのじゃ」

ドラキュラとは?

ブンコ
「主人公の外部にある恐怖っていうのはなんとなく分かるよ。例えば、道を歩いていて通り魔に襲われたり、空き巣に入られたり、振り込め詐欺の電話がかかってきたりとか、誰か赤の他人から与えられる暴力への恐怖だよねー」

ぴこ蔵
「それがドラキュラじゃ。おぬしは全然悪くないのに、奴は勝手に襲いかかってくる。その行動原理はまさにハンティングである。ドラキュラは生きていくために人間を捕食する狩人であり、いわば『天敵』なのじゃ」

★外部に存在する恐怖(ドラキュラ)
※主人公の意志とは全く関係なく世の中に存在している。

怪物の中の怪物、人間の天敵・吸血鬼ドラキュラ。不死身にして増殖も可能なこのモンスターに象徴されるのは、主人公の外部に存在していて悪魔の哲学を持ち、人間を堕落させる、絶対的な悪の姿です。まさに憎まれ役としては最強だといえます。

類型:
このタイプの敵にとっては、悪事の標的が絶対に主人公でなければならないというわけではありません。敵にはまず自分勝手な動機が存在し、たまたまそれに適合する相手が主人公だったに過ぎません。一般的な敵は大部分がこれに含まれます。

世界征服を企む悪の組織や、学園を支配する恐怖の抑圧者、勝手に主人公の財産を狙う悪党や泥棒、ストーカー、通り魔、ビジネスやスポーツ、恋愛や勢力争いにおけるライバルなど。

台風などの災害もこれに含まれます。地震、雷、火事、そして究極の頑固オヤジ、星一徹なんかもこれになります。

役割:
主に「倒すための敵」としての役割が与えられます。倒すにしても倒されるにしても、このタイプの敵を相手にする場合、あまりドロドロした話にはなりません。勝てばスカッとします。

巨大な悪や災害などに立ち向かう主人公の物語を作りたいときはこのドラキュラタイプの敵を作るといいでしょう。

例えばドラクエの大ボスです。こいつを倒すことが物語の目的です。悪いのは絶対的に相手なのですから、主人公は勇気をひねりだすくらいで、特にリスクを負わずに戦うことが出来ます。

したがって、逆に、キャラやトリックの面白さで工夫しないと底の浅いB級活劇になってしまうので注意しましょう。

どんでん返しにおけるドラキュラタイプ

最初から悪として登場し、最後まで悪として倒れていく。そんなドラキュラタイプほどどんでん返しが仕掛けにくい敵はありません。単純すぎてすぐに慣れてしまい、怖くないんです。

そこでよく使われるのが、隠れているもう一人のドラキュラ。最初のドラキュラの影に潜み、もっと残虐非道で狡知に長けています。最初のドラキュラを操っている場合もしばしば。

この隠れている「本当の敵」は、主人公の仲間であったり、善良な被害者の顔をしていることが多いのです。もちろんあなたがこのタイプを選ぶ場合にもその手を使いましょう。なぜなら、そのほうが読者が驚くから。

また、最初から最後まで同じドラキュラで通す場合にはどんでん返しとして「一度死んだと思わせる」トリックを使います。

主人公が苦労してやっとのことで敵を倒します。とどめの一撃! これで死んだと思ったら…敵がカッと目を見開く、あの衝撃です。

この「とどめの一撃」に説得力があればあるほど、敵の復活がショッキングになります。そのために、早いうちから伏線を敷くのです。読者や観客がこのとどめの一撃の威力を信じ込むように。

 

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どんでん返し

どんでん返しを連れてくる3匹のモンスター!

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ぴこ蔵
「おぬしの物語で主人公の敵となるのは何であろうか? それは簡単に言えば「悪」の象徴なのじゃ。「悪」とは人間が戦って克服するべき対象である。また、人間にとって意義のある戦いとは「恐怖」への抵抗であり、「恐怖心」のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えぬ。したがって、ストーリーに登場する「悪」とは、主人公が戦うべき「恐怖のタイプ」と言っても過言ではないのじゃ。

「ホラーの帝王」スティーヴン・キングは、著書『死の舞踏』の中で、古今東西の物語に繰り返し現れる根源的な恐怖のタイプを3種類に分類しこう定義づけておる。

A 主人公の外部からやって来た存在
B 主人公の内部に巣食う制御不能な存在
C 主人公が行った悪事が生み出した存在

そしてキングはこの3種類を 有名な3匹のモンスターになぞらえたのじゃ。

1 主人公の外部からやって来た存在→→→ドラキュラ
2 主人公の内部に巣食う制御不能な存在→→→ジキルとハイド
3 主人公が行った悪事が生み出した存在→→→フランケンシュタインの怪物

しかし、日本人なら、この3匹を例えるならこちらのほうがしっくりくる、というキャラがおるのじゃ。そうなのじゃ。藤子不二雄「怪物くん」のお供の3匹なのじゃ。映画「ヴァン・ヘルシング」でもお馴染みじゃな。

1 主人公の外部からやって来た存在→→→ドラキュラ
2 主人公の内部に巣食う制御不能な無意識の存在→→→狼男
3 主人公が行った悪事が生み出した存在→→→フランケンシュタインの怪物

抽象的になりがちな恐怖の概念じゃがこうやってモンスターに例えておくと、すぐに思い出せて便利なのじゃ」

ブンコ
「じゃあ、もう一度確認ね」

ドラキュラ:主人公の意志とは全く関係なく世の中に存在している。
狼男:主人公の中に潜んでいて、主人公のコントロールが効かない。
フランケン:主人公が意識的に犯した悪事が原因で生まれてきた。

ぴこ蔵
「たった3種類じゃが、世界3大モンスターをなめてはいかん。全ての恐怖はこのどれかにあてはまるのじゃ! ではこの3つの悪をもう少し詳細に見ていこう」

 

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あなたの物語の敵役に足りないものは恐怖心

【敵】は「悪者」ばかりとは限らない

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どんでん返しはモンスターで作れ

ぴこ蔵
「どんでん返しの基本構造『敵の正体はαだと思っていたら、βだった』

このαとβに当てはめるモンスターさえ決めれば、お主のストーリーはもう半分以上完成したようなものなのである。そして、この「敵(αおよびβ)」は先ほど言ったとおり、わずか3種類にすぎないのじゃ!」

3匹のモンスター

ぴこ蔵
「ところでブンコちゃんよ。お主の物語で主人公の敵役となるのは何者じゃ?」

ブンコ
「そりゃ悪い奴に決まってますよ! だってあたしの主人公は正義の味方だもん。敵は悪くて卑劣で恐いヤツ! 顔なんか鬼みたいでさー」

ぴこ蔵
「典型的な勧善懲悪パターンじゃのう。勧善懲悪は強烈な対立構造を持っておるからストーリー作りには使いやすいのじゃがそれだけではすぐに行き詰まるぞ」

ブンコ
「え~っ? だって、敵役は悪人でなきゃダメでしょ?」

ぴこ蔵
「『敵役』とは人間が戦って克服するべき対象である。ただし、克服するべきは「悪」ではないぞ。人間が克服すべきは自らの恐怖心なのじゃ! 例えばお主がスポーツ根性ドラマを書いたとする。

主人公は高校生ボクサー。敵役は先輩プロボクサーじゃ。二人は宿命のライバルである。しかし、先輩ボクサーは「悪」と言えるか?」

ブンコ
「あ。そっかー。敵といっても悪とは限らないか」

ぴこ蔵
「でも、そいつは強くて恐ろしい」

ブンコ
「そりゃーそうですよ。弱くて泣き虫で怖くなけりゃ敵にならないもん」

ぴこ蔵
「そういうこと。充分恐いからこそ敵役として認められる。つまり、人間にとって意義のある戦いとは『恐怖』への抵抗のことなのじゃ。

『恐怖心』のない戦いは葛藤を生まず、ドラマとは言えん。したがって、ストーリーに登場する「敵」とは、主人公が戦うべき『恐怖の象徴』と言ってもええじゃろう」

ブンコ
「敵の本質は『悪』というよりも『恐怖』なのか…」

ぴこ蔵
「そこで3匹のモンスターの登場じゃ!」


ここまでのまとめ

★どんでん返しのある面白いストーリーの基本型は全10タイプ。

目的タイプその1 (どんでん返しTYPE09・ハナサカ

邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その途中、いったんは死んだと思ったその【目的】だったが、実は生きていたのである。

目的タイプその2 (どんでん返しTYPE10・アオトリ)

邪魔する【敵】と戦いながら【目的】を追う主人公。
その【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。

そして……

敵タイプ1~8

【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う。
しかし、αだとばかり思っていたその【敵】の正体は、実はβだったのである。

※そのαとβに
恐怖の象徴である3匹のモンスターを当てはめることにより、8タイプの「敵に仕掛けるどんでん返し」が自動的に出来る。

そして、ここからがぴこ蔵オリジナル「3匹のモンスター理論」なのじゃ!

 

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敵のどんでん返し

【敵】のどんでん返し

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【敵】の「どんでん返し」を生み出す3匹のモンスター!

ぴこ蔵
「それではどんでん返しを仕掛ける方法を具体的に説明しよう!」

どんでん返しの構造は【敵の正体はAだと思っていたら、Bだった】

これをひっくり返して作者側から見れば【敵はAだと思わせておいて、最後にBであることをバラす】

この時のA、Bの役割は A=囮の敵(偽敵) B=本当の敵(本敵)

とも言えるのじゃ。

ここでのポイントは「A」と「B」が全く別の登場人物であること。時々、勘違いをして「A」と「B」を一人の人物で間に合わせてしまうことがあるが、これは混乱のもとになるので絶対にやってはいけない。

AからBへ。囮が退場し本物が登場する。意外な敵の正体が明らかになる。その瞬間こそが「どんでん返し」である。つまり、読者はAを「敵」だと誤解して読み進み、どんでん返しで「本当の敵」はBだったと知らされるわけじゃな。でも、これが効くのである。こんなに簡単な設定をするだけで、読者は驚いてくれるのじゃ。さらに言えば、

『敵』のどんでん返しの作り方の第1歩は

【AとBに、3匹のモンスターを当てはめる】

ことから始まるのじゃ!

 

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どんでん返し組み立ての秘技

どんでん返し組み立ての秘技

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どんでん返しを組み立てる方法

ぴこ蔵
「『花咲かじいさん』と『青い鳥』のどんでん返しは、主人公が果たすべき【目的】に仕掛けられておるのじゃ」

ブンコ
「ってことは、師匠! 10タイプあるって言ってたどんでん返しのうちの2タイプは、この『【目的】のどんでん返し』だってこと?」

ぴこ蔵
「そういうことじゃ。それではここまでをまとめておこう。

※どんでん返しには【主人公の目的】に仕掛けるものと【主人公の敵】に仕掛けるものとがある。

【主人公の目的】に仕掛ける2つのどんでん返し
・TYPE09 ハナサカ
……死んだと思っていた【目的】が、実は生きていた。

・TYPE10 アオトリ
……【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。

 

これで全10タイプのうち【TYPE09】【TYPE10】はわかったな。さて、残りの8タイプはすべて『【敵】のどんでん返し』じゃ!」

ブンコ
「はあぁ…。まだ、あと8タイプもあるのかぁ…。『花咲かじいさん』と『青い鳥』ぐらいなら覚えられるけど正直、あと8タイプ丸暗記するのはつらいかも」

ぴこ蔵
「うーむ、やはりそうか。しかし、もっともな話ではあるな。そこで、わしはさらにこの『敵』の8タイプをいちいち覚えていなくても素早く組み立てられる方法を編み出したのじゃ!」

ブンコ
「どんでん返しを組み立てる方法? どうやって?」

ぴこ蔵
「それは『3匹のモンスター』を使う技じゃ!」

ブンコ
「3匹ってだれとだれ?」

ぴこ蔵
「かの有名な世界3大モンスターなのじゃ!

●吸血鬼ドラキュラ
●狼男
●フランケンシュタインの怪物

いやー、いずれ劣らぬ怪物界のスーパースターじゃな。この3匹の組み合わせによって「どんでん返し」ができる。どうじゃ! これなら忘れることはあるまい!」

ブンコ
「ドラキュラ、狼男、フランケン。3匹のモンスターが「どんでん返し」を作る…。師匠、アタマは大丈夫かー?」

ぴこ蔵
「ふっふっふ。まあ、これだけではワケがわかるまい。ただし、言うておくぞ。お主がどんでん返しを作るときに、この3匹のモンスターを思い浮かべるだけでいささかの混乱もなく効率よく組み立てられるのじゃ!」

 

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目的にしかけるどんでん返し「アオトリ」

【目的】に仕掛けるどんでん返し「アオトリ」

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「青い鳥」に見るどんでん返し

ぴこ蔵
「さて、【目的】のどんでん返し・その2についてじゃが、こちらのタイプは、あの世界的に有名な物語、メーテルリンクの戯曲『青い鳥』に隠れておるのじゃ!」

ブンコ
「チルチルとミチルの話だよね」

ぴこ蔵
「実はこれまた「どんでん返し」と「意外な結末」がはっきり分かれておるので、そこも気をつけてみてくれ」

ブンコ
「『青い鳥』の筋はこちら

◆青い鳥 ~メーテルリンクの戯曲より

とても貧しいチルチルとミチルという子どもがいました。夢の中で魔法使いの老婆が教えてくれました。「青い鳥をつかまえてくれば、あなたたちは幸せになれます。隣に住んでいる足の悪い女の子も治るでしょう」

そこで二人は青い鳥を求める大旅行に出かけます。しかし、結局二人は青い鳥をつかまえることができずに、疲れ果てて家に帰ってくるのでした。

そこで二人は同時に夢から覚めます。「青い鳥って結局いなかったね。」がっかりしながらふっとかたわらを見ると、なんと以前から飼っていたフツーの鳥が、見る見る青い鳥に変わってゆくではありませんか。「青い鳥はこんなに近くにいたんだ」と言って二人はびっくりします。

そこへやって来た隣の足の悪い女の子に青い鳥を持たせてやりました。すると、たちまち足が治ってしまったのです。「やったぜ、ぼくたちはなんでも願いのかなう青い鳥を見つけた!」そしてはしゃいで鳥かごから出した青い鳥をとりっこしていると、青い鳥はどこか遠くへ飛び去ってしまいました。

最後にチルチルが、力なく訴えます。「どなたかあの鳥を見つけた方は、どうぞ僕たちに返して下さい。僕たちには、あの青い鳥が必要なんです」

 

『青い鳥』(新潮文庫)

 

ぴこ蔵
「さて、この「青い鳥」のどんでん返しはもうわかるな?」

ブンコ
「よーく考えたらわかっちゃった! 以前から飼っていたフツーの鳥が、見る見る青い鳥に変わってゆくところでしょ!」

ぴこ蔵
「では、『意外な結末』はどこの部分じゃ?」

ブンコ
「せっかく手に入れた青い鳥が飛び去ってしまうところ!」

ぴこ蔵
「よろしい! ちょっと賢くなったではないか! つまりこれが【目的のどんでん返し・アオトリ(TYPE10)】じゃ!」

◆どんでん返し(TYPE10)アオトリ◆
【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。

 

桃太郎にどんでん返しを入れるとどうなるだろう? 誰も見たことのない、面白すぎるストーリー創作法

『創作秘術・物語マッシュアップ: 桃太郎にどんでん返しを入れてみた!

 

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花咲かじいさんのどんでん返し

どんでん返しはどこにある?

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ぴこ蔵
「さあどうじゃ! 『花咲か爺さん』のどんでん返しはどこにある?」

ブンコ
「な、な、な、なに~っ?! どこにあるう?! う~ん、そうだなー…。正直じいさんが大判小判をもらって極悪じいさんが死刑になっちゃうところ?」

ぴこ蔵
「一見するとそう見えるじゃろうが、それは違う。それはいわゆる『意外な結末』であって『どんでん返し』ではないのじゃ」

ブンコ
「え? 『意外な結末』は『どんでん返し』じゃないの?」

ぴこ蔵
「無関係ではないが、似て非なるものなのじゃ。『意外な結末』は『どんでん返し』によって引き起こされる。…というのが正しい筋道なのじゃ! 『どんでん返し』が論理の上に成り立つのに対して、 『意外な結末』は、読者に感覚的な満足や衝撃を与えるための演出効果じゃ。どんでん返しさえ決まれば、結末そのものはハッピーエンドでもアンハッピーエンドでも好きにしてくれい」

ブンコ
「う~。なんだかわかりそうでわからん!」

ぴこ蔵
「なお、どんでん返しと意外な結末、その二つが一度に起こる場合もあるぞ。その場合は『オチ』と言う。ただし、『オチ』た瞬間、物語はパキッと終わらなければならない。こりゃもうみなさんよくご存知の通りショートショートや短編でよく用いられる手法じゃな。これは古くから数々の技術が研究され、開発されておる。とてもここでは解説しきれないのでこの『意外なオチ』に関してはまた別の機会にやろう」

ブンコ
「あのー、師匠、それで『花咲かじいさん』だけどさー、この話のどんでん返しがよくわからなくなっちゃった…」

ぴこ蔵
「では最初から考えてみよう。さあ、主人公は誰じゃ?」

ブンコ
「花咲かじいさん」

ぴこ蔵
「それではその敵は誰じゃ? 」

ブンコ
「極悪じいさん」

ぴこ蔵
「さて、それでは主人公の『目的』は何じゃ? 」

ブンコ
「え? 大判小判…かな?」

ぴこ蔵
「違うな。主人公は一度も大判小判が欲しくて行動してはおらん。思い出せ。『目的』を生み出すのは『欠落』じゃ。主人公が無くした物は何じゃ?」

ブンコ
「ああ、そうか。いったん極悪じいさんに奪われたポチだね。主人公が目指したのは『ポチの奪還』。つまり目的はポチだー!」

ぴこ蔵
「その通り! ところがポチは死んでしまった。奇跡はもう起こらない。誰もがそう思ったとき、なんとびっくり! 死んだはずのポチの灰が桜を満開にしたのじゃ!」

ブンコ
「そうか! それがどんでん返しなんだね!」

ぴこ蔵
「一度失われたと思っていた不思議な力が、実はまだ失われていなかった。これが『目的』のどんでん返し・その1じゃ。死んだはずの『目的』が、実は生きていたわけじゃな」

ブンコ
「あれ? ちょっと待って、ぴこ蔵師匠! それじゃ、極悪じいさんの撒いた灰が殿様の目に入って極悪じいさんが手打ちにあっちゃうシーンは?」

ぴこ蔵
「それが『意外な結末』なのじゃ! この部分はなくてもお話は成立するのじゃが、それじゃと読んでいる人がすっきりせん。そこでどんでん返しを受けて、さらに効果を倍増させる結末を作ったわけじゃよ。というわけで、最初に紹介するのは【目的のどんでん返し・ハナサカ(TYPE09)】じゃ。

◆どんでん返し(TYPE09)ハナサカ◆
死んだと思っていた【目的】が、実は生きていた。

 

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「花咲かじいさん」に見るどんでん返し

ブンコ
「師匠、そもそも『どんでん返し』って何ですかあ?」

ぴこ蔵
「よしよし、わかりやすく説明するぞい。わかっているようで実は他のものと混同している場合が多い。それがどんでん返しなのじゃ。例えば、ブンコちゃんよ、お主はおとぎ話の「花咲かじいさん」を知っておるかな。簡単に語ってみ!」

ブンコ
「えーと、大体こんな感じ↓だったと思うけど…」

◆花咲かじいさん

昔々あるところに正直じいさんが住んでおりました。ある日のこと、愛犬ポチが裏庭で騒ぐので、畑の真ん中を掘ってみたら大判小判がざっくざく! それを見ていた隣の極悪じいさん。さっそくポチを盗み出して、自分の畑で鳴かせます。正直じいさんは驚いてポチを返せと言いますが「こりゃわしの犬だもん。ポチだというなら証拠を見せろ」極悪じいさんは相手にしません。そのうち、鳴かないといって虐待されていたポチがついに鳴きました。極悪じいさんが躍りあがってその場所を掘ると、汚いガラクタがざっくざく! ぶちキレた極悪じいさんはその場でポチを叩き殺してしまいました。

驚いたのは、ポチの様子を胸を痛めながら物陰から見守っていた正直じいさん。こときれたポチの亡骸を抱きしめて泣きながら家に帰っていきました。正直じいさんは、そんなポチの遺骸を焼いて灰にしました。そして、近所の山に散骨したのです。するとそこに生えていた何百本もの桜がいっせいに見事な花を咲かせました。

丁度その場に居合わせた殿様が、この様子を見て感激し、正直じいさんに大判小判をごっそり与えました。

これをまた見ていた隣の極悪じいさん。よーし俺も、とばかりにかまどの灰を持ち出して、桜の木に撒きました。するとその灰が殿様の目に入って、下郎無礼なりと怒りを買い、極悪じいさんはその場でバッサリと斬り捨てられましたとさ。

民話にはさまざまなバージョンがありますので、あなたの知っている
「花咲かじいさん」とは多少の相違があるかもしれません。ご了承ください。

ぴこ蔵
「それでは聞くが、この話のどんでん返しはどこにある?」

 

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どんでん返しの作り方

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どんでん返しとは囮で騙す技術

ブンコ
「ぴこ蔵師匠、『どんでん返し』をどう作るのか? というのがテーマなわけだよね?」

ぴこ蔵
「そういうことじゃ。それではさっそく質問じゃ。『どんでん返し』を最も簡単に言い表すと何じゃと思う?」

ブンコ
「…? さっぱりわかりましぇん」

ぴこ蔵
「よいかな、耳の穴かっぽじって聞きなさい。どんでん返しとは…『Aと見せかけて、本当はBである』ことじゃ!」

ブンコ
「Aと見せかけて、本当はB…?」

ぴこ蔵
「これがどんでん返しの基本形なんじゃよ」

ブンコ
「たったこれだけ?」

ぴこ蔵
「さよう! あとはいかに読者にAと思い込ませるかだけのことじゃな」

ブンコ
「今度は単純すぎてわかんない」

ぴこ蔵
「それではもう一度。《Aだと思っていたらBだった》これがどんでん返しの構造じゃ」

ブンコ
「つまり、予想や思い込みをひっくり返されるってこと?」

ぴこ蔵
「さよう。ポイントは”思っていたら”の部分じゃ。誰が”思っていた”のかというと『読者』なのじゃ。つまり作者側からいうと《Aだと思いこませておいてBを出す》という、読者に『ミスリーディング』させる技なのじゃ。どうじゃ、思いっきり簡単じゃろ? 」

ブンコ
「シンプルだねー」

ぴこ蔵
『【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う』 これが読者を物語に引き込むためのベーシックな構成である。そして読者を満足させるためになくてはならないのが「どんでん返し」なのじゃ。『Aと思ったらBだった』がその基本構造である。この「どんでん返し」を構成の中心にすえて肉付けをすれば『面白いストーリー』が完成するのじゃ!」

ブンコ
「で、その肝心の「どんでん返し」はどう作るのさ?」

ぴこ蔵
「手っ取り早く言うとじゃな、どんでん返しには明確なパターンが存在する。最初はとにかくその中から選択すればよいのじゃ」

ブンコ
「マ、マジで? それってチョー楽勝じゃん!」

ぴこ蔵
「では、どんなパターンがあるのか???  ズバリ言おう! わしは「どんでん返し」を全部で10タイプと見ておる!」

ブンコ
「ええっ!? どんでん返しって、たった10タイプ?!」

ぴこ蔵
「いわば最大公約数じゃな。細かく分けていけば50、100とどんどん分けられる。しかし、それでは「どんでん返し」を作ろうとするたびに分厚い事典が必要になってしまうじゃろう?」

ブンコ
「たしかに…」

ぴこ蔵
「いつでもどこでもどんでん返しを考えるためには、常に頭の中にその構造を思い浮かべる必要がある。10タイプというのは、これ以上少ないと分ける意味がなくなってしまうし、多いと全体像を把握できなくなるギリギリの数なのじゃ」

ブンコ
「ふ~ん。じゃあ、その10タイプを覚えるとどんないいことがあるのさ?」

ぴこ蔵
「この10タイプさえ知っていれば、もうどんでん返しのネタに困ることはない。映画や小説など、さまざまな物語の「どんでん返し」が簡単に分析・理解できて、あっという間に、次々に、作れてしまうのじゃ!」

ブンコ
「ではさっそくぴこ蔵老師! 10タイプのどんでん返しとやらについて説明してちょーだい!」

ぴこ蔵
「おっと、その前に、前提となる条件を言っておこう!面白い物語の基本的なパターンとは、何度も言うが、【目的】を追う主人公が、邪魔する【敵】と戦う話じゃ。実はじゃな、どんでん返しはこの2大要素である『目的』あるいは『敵』に仕掛けるのじゃ」

ブンコ
「『目的』のどんでん返しと『敵』のどんでん返しがあるの?」

ぴこ蔵
「うむ。そういうことじゃ。【目的】と【敵】のどちらにも仕掛けることができる。そして、そのうち【目的】のどんでん返しには2タイプある。まずは『目的』のどんでん返しから説明しようかの」

 

ぴこ蔵ニュースレター

『生成AI時代のストーリーテリング』

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