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敵のどんでん返し

【敵】のどんでん返し

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【敵】の「どんでん返し」を生み出す3匹のモンスター!

ぴこ蔵
「それではどんでん返しを仕掛ける方法を具体的に説明しよう!」

どんでん返しの構造は【敵の正体はAだと思っていたら、Bだった】

これをひっくり返して作者側から見れば【敵はAだと思わせておいて、最後にBであることをバラす】

この時のA、Bの役割は A=囮の敵(偽敵) B=本当の敵(本敵)

とも言えるのじゃ。

ここでのポイントは「A」と「B」が全く別の登場人物であること。時々、勘違いをして「A」と「B」を一人の人物で間に合わせてしまうことがあるが、これは混乱のもとになるので絶対にやってはいけない。

AからBへ。囮が退場し本物が登場する。意外な敵の正体が明らかになる。その瞬間こそが「どんでん返し」である。つまり、読者はAを「敵」だと誤解して読み進み、どんでん返しで「本当の敵」はBだったと知らされるわけじゃな。でも、これが効くのである。こんなに簡単な設定をするだけで、読者は驚いてくれるのじゃ。さらに言えば、

『敵』のどんでん返しの作り方の第1歩は

【AとBに、3匹のモンスターを当てはめる】

ことから始まるのじゃ!

 

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生成AIに対抗できるライティング技術を手に入れたければ「どんでん返しのスキル」を身に付けることです。このニュースレターでは文字コンテンツを発信したいあなたに、小説のプロットから記事の構成にまで使える『物語の技法』を徹底解説。謎と驚きに満ちた、愉快で痛快なストーリーの作り方を伝授します。

どんでん返し組み立ての秘技

どんでん返し組み立ての秘技

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どんでん返しを組み立てる方法

ぴこ蔵
「『花咲かじいさん』と『青い鳥』のどんでん返しは、主人公が果たすべき【目的】に仕掛けられておるのじゃ」

ブンコ
「ってことは、師匠! 10タイプあるって言ってたどんでん返しのうちの2タイプは、この『【目的】のどんでん返し』だってこと?」

ぴこ蔵
「そういうことじゃ。それではここまでをまとめておこう。

※どんでん返しには【主人公の目的】に仕掛けるものと【主人公の敵】に仕掛けるものとがある。

【主人公の目的】に仕掛ける2つのどんでん返し
・TYPE09 ハナサカ
……死んだと思っていた【目的】が、実は生きていた。

・TYPE10 アオトリ
……【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。

 

これで全10タイプのうち【TYPE09】【TYPE10】はわかったな。さて、残りの8タイプはすべて『【敵】のどんでん返し』じゃ!」

ブンコ
「はあぁ…。まだ、あと8タイプもあるのかぁ…。『花咲かじいさん』と『青い鳥』ぐらいなら覚えられるけど正直、あと8タイプ丸暗記するのはつらいかも」

ぴこ蔵
「うーむ、やはりそうか。しかし、もっともな話ではあるな。そこで、わしはさらにこの『敵』の8タイプをいちいち覚えていなくても素早く組み立てられる方法を編み出したのじゃ!」

ブンコ
「どんでん返しを組み立てる方法? どうやって?」

ぴこ蔵
「それは『3匹のモンスター』を使う技じゃ!」

ブンコ
「3匹ってだれとだれ?」

ぴこ蔵
「かの有名な世界3大モンスターなのじゃ!

●吸血鬼ドラキュラ
●狼男
●フランケンシュタインの怪物

いやー、いずれ劣らぬ怪物界のスーパースターじゃな。この3匹の組み合わせによって「どんでん返し」ができる。どうじゃ! これなら忘れることはあるまい!」

ブンコ
「ドラキュラ、狼男、フランケン。3匹のモンスターが「どんでん返し」を作る…。師匠、アタマは大丈夫かー?」

ぴこ蔵
「ふっふっふ。まあ、これだけではワケがわかるまい。ただし、言うておくぞ。お主がどんでん返しを作るときに、この3匹のモンスターを思い浮かべるだけでいささかの混乱もなく効率よく組み立てられるのじゃ!」

 

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目的にしかけるどんでん返し「アオトリ」

【目的】に仕掛けるどんでん返し「アオトリ」

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「青い鳥」に見るどんでん返し

ぴこ蔵
「さて、【目的】のどんでん返し・その2についてじゃが、こちらのタイプは、あの世界的に有名な物語、メーテルリンクの戯曲『青い鳥』に隠れておるのじゃ!」

ブンコ
「チルチルとミチルの話だよね」

ぴこ蔵
「実はこれまた「どんでん返し」と「意外な結末」がはっきり分かれておるので、そこも気をつけてみてくれ」

ブンコ
「『青い鳥』の筋はこちら

◆青い鳥 ~メーテルリンクの戯曲より

とても貧しいチルチルとミチルという子どもがいました。夢の中で魔法使いの老婆が教えてくれました。「青い鳥をつかまえてくれば、あなたたちは幸せになれます。隣に住んでいる足の悪い女の子も治るでしょう」

そこで二人は青い鳥を求める大旅行に出かけます。しかし、結局二人は青い鳥をつかまえることができずに、疲れ果てて家に帰ってくるのでした。

そこで二人は同時に夢から覚めます。「青い鳥って結局いなかったね。」がっかりしながらふっとかたわらを見ると、なんと以前から飼っていたフツーの鳥が、見る見る青い鳥に変わってゆくではありませんか。「青い鳥はこんなに近くにいたんだ」と言って二人はびっくりします。

そこへやって来た隣の足の悪い女の子に青い鳥を持たせてやりました。すると、たちまち足が治ってしまったのです。「やったぜ、ぼくたちはなんでも願いのかなう青い鳥を見つけた!」そしてはしゃいで鳥かごから出した青い鳥をとりっこしていると、青い鳥はどこか遠くへ飛び去ってしまいました。

最後にチルチルが、力なく訴えます。「どなたかあの鳥を見つけた方は、どうぞ僕たちに返して下さい。僕たちには、あの青い鳥が必要なんです」

 

『青い鳥』(新潮文庫)

 

ぴこ蔵
「さて、この「青い鳥」のどんでん返しはもうわかるな?」

ブンコ
「よーく考えたらわかっちゃった! 以前から飼っていたフツーの鳥が、見る見る青い鳥に変わってゆくところでしょ!」

ぴこ蔵
「では、『意外な結末』はどこの部分じゃ?」

ブンコ
「せっかく手に入れた青い鳥が飛び去ってしまうところ!」

ぴこ蔵
「よろしい! ちょっと賢くなったではないか! つまりこれが【目的のどんでん返し・アオトリ(TYPE10)】じゃ!」

◆どんでん返し(TYPE10)アオトリ◆
【目的】はどこか遠く(自分の外部)にあると思っていたら、実は、すぐ近く(自分の内部)にあった。

 

桃太郎にどんでん返しを入れるとどうなるだろう? 誰も見たことのない、面白すぎるストーリー創作法

『創作秘術・物語マッシュアップ: 桃太郎にどんでん返しを入れてみた!

 

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花咲かじいさんのどんでん返し

どんでん返しはどこにある?

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ぴこ蔵
「さあどうじゃ! 『花咲か爺さん』のどんでん返しはどこにある?」

ブンコ
「な、な、な、なに~っ?! どこにあるう?! う~ん、そうだなー…。正直じいさんが大判小判をもらって極悪じいさんが死刑になっちゃうところ?」

ぴこ蔵
「一見するとそう見えるじゃろうが、それは違う。それはいわゆる『意外な結末』であって『どんでん返し』ではないのじゃ」

ブンコ
「え? 『意外な結末』は『どんでん返し』じゃないの?」

ぴこ蔵
「無関係ではないが、似て非なるものなのじゃ。『意外な結末』は『どんでん返し』によって引き起こされる。…というのが正しい筋道なのじゃ! 『どんでん返し』が論理の上に成り立つのに対して、 『意外な結末』は、読者に感覚的な満足や衝撃を与えるための演出効果じゃ。どんでん返しさえ決まれば、結末そのものはハッピーエンドでもアンハッピーエンドでも好きにしてくれい」

ブンコ
「う~。なんだかわかりそうでわからん!」

ぴこ蔵
「なお、どんでん返しと意外な結末、その二つが一度に起こる場合もあるぞ。その場合は『オチ』と言う。ただし、『オチ』た瞬間、物語はパキッと終わらなければならない。こりゃもうみなさんよくご存知の通りショートショートや短編でよく用いられる手法じゃな。これは古くから数々の技術が研究され、開発されておる。とてもここでは解説しきれないのでこの『意外なオチ』に関してはまた別の機会にやろう」

ブンコ
「あのー、師匠、それで『花咲かじいさん』だけどさー、この話のどんでん返しがよくわからなくなっちゃった…」

ぴこ蔵
「では最初から考えてみよう。さあ、主人公は誰じゃ?」

ブンコ
「花咲かじいさん」

ぴこ蔵
「それではその敵は誰じゃ? 」

ブンコ
「極悪じいさん」

ぴこ蔵
「さて、それでは主人公の『目的』は何じゃ? 」

ブンコ
「え? 大判小判…かな?」

ぴこ蔵
「違うな。主人公は一度も大判小判が欲しくて行動してはおらん。思い出せ。『目的』を生み出すのは『欠落』じゃ。主人公が無くした物は何じゃ?」

ブンコ
「ああ、そうか。いったん極悪じいさんに奪われたポチだね。主人公が目指したのは『ポチの奪還』。つまり目的はポチだー!」

ぴこ蔵
「その通り! ところがポチは死んでしまった。奇跡はもう起こらない。誰もがそう思ったとき、なんとびっくり! 死んだはずのポチの灰が桜を満開にしたのじゃ!」

ブンコ
「そうか! それがどんでん返しなんだね!」

ぴこ蔵
「一度失われたと思っていた不思議な力が、実はまだ失われていなかった。これが『目的』のどんでん返し・その1じゃ。死んだはずの『目的』が、実は生きていたわけじゃな」

ブンコ
「あれ? ちょっと待って、ぴこ蔵師匠! それじゃ、極悪じいさんの撒いた灰が殿様の目に入って極悪じいさんが手打ちにあっちゃうシーンは?」

ぴこ蔵
「それが『意外な結末』なのじゃ! この部分はなくてもお話は成立するのじゃが、それじゃと読んでいる人がすっきりせん。そこでどんでん返しを受けて、さらに効果を倍増させる結末を作ったわけじゃよ。というわけで、最初に紹介するのは【目的のどんでん返し・ハナサカ(TYPE09)】じゃ。

◆どんでん返し(TYPE09)ハナサカ◆
死んだと思っていた【目的】が、実は生きていた。

 

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目的に仕掛けるどんでん返し「ハナサカ」

【目的】に仕掛けるどんでん返し「ハナサカ」

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「花咲かじいさん」に見るどんでん返し

ブンコ
「師匠、そもそも『どんでん返し』って何ですかあ?」

ぴこ蔵
「よしよし、わかりやすく説明するぞい。わかっているようで実は他のものと混同している場合が多い。それがどんでん返しなのじゃ。例えば、ブンコちゃんよ、お主はおとぎ話の「花咲かじいさん」を知っておるかな。簡単に語ってみ!」

ブンコ
「えーと、大体こんな感じ↓だったと思うけど…」

◆花咲かじいさん

昔々あるところに正直じいさんが住んでおりました。ある日のこと、愛犬ポチが裏庭で騒ぐので、畑の真ん中を掘ってみたら大判小判がざっくざく! それを見ていた隣の極悪じいさん。さっそくポチを盗み出して、自分の畑で鳴かせます。正直じいさんは驚いてポチを返せと言いますが「こりゃわしの犬だもん。ポチだというなら証拠を見せろ」極悪じいさんは相手にしません。そのうち、鳴かないといって虐待されていたポチがついに鳴きました。極悪じいさんが躍りあがってその場所を掘ると、汚いガラクタがざっくざく! ぶちキレた極悪じいさんはその場でポチを叩き殺してしまいました。

驚いたのは、ポチの様子を胸を痛めながら物陰から見守っていた正直じいさん。こときれたポチの亡骸を抱きしめて泣きながら家に帰っていきました。正直じいさんは、そんなポチの遺骸を焼いて灰にしました。そして、近所の山に散骨したのです。するとそこに生えていた何百本もの桜がいっせいに見事な花を咲かせました。

丁度その場に居合わせた殿様が、この様子を見て感激し、正直じいさんに大判小判をごっそり与えました。

これをまた見ていた隣の極悪じいさん。よーし俺も、とばかりにかまどの灰を持ち出して、桜の木に撒きました。するとその灰が殿様の目に入って、下郎無礼なりと怒りを買い、極悪じいさんはその場でバッサリと斬り捨てられましたとさ。

民話にはさまざまなバージョンがありますので、あなたの知っている
「花咲かじいさん」とは多少の相違があるかもしれません。ご了承ください。

ぴこ蔵
「それでは聞くが、この話のどんでん返しはどこにある?」

 

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どんでん返しの作り方

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どんでん返しとは囮で騙す技術

ブンコ
「ぴこ蔵師匠、『どんでん返し』をどう作るのか? というのがテーマなわけだよね?」

ぴこ蔵
「そういうことじゃ。それではさっそく質問じゃ。『どんでん返し』を最も簡単に言い表すと何じゃと思う?」

ブンコ
「…? さっぱりわかりましぇん」

ぴこ蔵
「よいかな、耳の穴かっぽじって聞きなさい。どんでん返しとは…『Aと見せかけて、本当はBである』ことじゃ!」

ブンコ
「Aと見せかけて、本当はB…?」

ぴこ蔵
「これがどんでん返しの基本形なんじゃよ」

ブンコ
「たったこれだけ?」

ぴこ蔵
「さよう! あとはいかに読者にAと思い込ませるかだけのことじゃな」

ブンコ
「今度は単純すぎてわかんない」

ぴこ蔵
「それではもう一度。《Aだと思っていたらBだった》これがどんでん返しの構造じゃ」

ブンコ
「つまり、予想や思い込みをひっくり返されるってこと?」

ぴこ蔵
「さよう。ポイントは”思っていたら”の部分じゃ。誰が”思っていた”のかというと『読者』なのじゃ。つまり作者側からいうと《Aだと思いこませておいてBを出す》という、読者に『ミスリーディング』させる技なのじゃ。どうじゃ、思いっきり簡単じゃろ? 」

ブンコ
「シンプルだねー」

ぴこ蔵
『【目的】を追う主人公がそれを邪魔する【敵】と戦う』 これが読者を物語に引き込むためのベーシックな構成である。そして読者を満足させるためになくてはならないのが「どんでん返し」なのじゃ。『Aと思ったらBだった』がその基本構造である。この「どんでん返し」を構成の中心にすえて肉付けをすれば『面白いストーリー』が完成するのじゃ!」

ブンコ
「で、その肝心の「どんでん返し」はどう作るのさ?」

ぴこ蔵
「手っ取り早く言うとじゃな、どんでん返しには明確なパターンが存在する。最初はとにかくその中から選択すればよいのじゃ」

ブンコ
「マ、マジで? それってチョー楽勝じゃん!」

ぴこ蔵
「では、どんなパターンがあるのか???  ズバリ言おう! わしは「どんでん返し」を全部で10タイプと見ておる!」

ブンコ
「ええっ!? どんでん返しって、たった10タイプ?!」

ぴこ蔵
「いわば最大公約数じゃな。細かく分けていけば50、100とどんどん分けられる。しかし、それでは「どんでん返し」を作ろうとするたびに分厚い事典が必要になってしまうじゃろう?」

ブンコ
「たしかに…」

ぴこ蔵
「いつでもどこでもどんでん返しを考えるためには、常に頭の中にその構造を思い浮かべる必要がある。10タイプというのは、これ以上少ないと分ける意味がなくなってしまうし、多いと全体像を把握できなくなるギリギリの数なのじゃ」

ブンコ
「ふ~ん。じゃあ、その10タイプを覚えるとどんないいことがあるのさ?」

ぴこ蔵
「この10タイプさえ知っていれば、もうどんでん返しのネタに困ることはない。映画や小説など、さまざまな物語の「どんでん返し」が簡単に分析・理解できて、あっという間に、次々に、作れてしまうのじゃ!」

ブンコ
「ではさっそくぴこ蔵老師! 10タイプのどんでん返しとやらについて説明してちょーだい!」

ぴこ蔵
「おっと、その前に、前提となる条件を言っておこう!面白い物語の基本的なパターンとは、何度も言うが、【目的】を追う主人公が、邪魔する【敵】と戦う話じゃ。実はじゃな、どんでん返しはこの2大要素である『目的』あるいは『敵』に仕掛けるのじゃ」

ブンコ
「『目的』のどんでん返しと『敵』のどんでん返しがあるの?」

ぴこ蔵
「うむ。そういうことじゃ。【目的】と【敵】のどちらにも仕掛けることができる。そして、そのうち【目的】のどんでん返しには2タイプある。まずは『目的』のどんでん返しから説明しようかの」

 

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物語を面白くするどんでん返し

物語を面白くするには「どんでん返し」が効果的

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読者や観客を驚かし、思わずアッと言わせる「どんでん返し」はエンタテインメントの醍醐味です。しかし、その役割は単なるドッキリ効果だけにあるのではありません。どんでん返しは起承転結でいうところの「転」にあたる非常に重要な部分なのです。

あらすじドットコムはこの『「転」から物語を作る方法』にこだわります。全てを「どんでん返しを成立させるため」に作っていくことで最初から必要な伏線やサブプロットが把握できるため、緊密で無駄のない物語が効率的に構築できるからです。

しかもこの方法だと確実に「最後まで」作ることが出来ます。どんでん返しを作ることで「結末」も導きやすくなるからです。

今まで、物語を書き始めたことはあっても、なぜか最後まで書き終えられなかったあなたや、途中で悩んで投げ出してしまいがちだった方にはぜひ試してほしい創作法です。

派手なトリックだけがどんでん返しではありません。地味で目立たないけれども非常に効いている。物語の根底に関わるいい仕事をしている。そんなどんでん返しを作る手順とは?

型を知って型を破る
型破りな物語の「型」を知る

どんでん返しという娯楽作品には欠かせない技術を中心に据えて、読者がついつい引きずり込まれるストーリー展開の土台を作りました。

これが創作法の全てだなんて言いません。ただし、これを知っていると知らないとでは、随分効率に差が出ます。「型」というのはそういうものです。

これまで、その強烈な独自性ゆえに日の目を見ることのなかったあなたの悪魔の如き才能は、型に嵌めることでついに完成するのかもしれません。

むしろ型に嵌めることで、これまであなたを逆に狭い枠に閉じ込めていたユニークなるがゆえの「非客観性」や「わがまま」の排除が可能になり、はじめて他者と感覚を共有でき、あなたの独自性が伝わる……。そう、「型」こそがその輝きを引き出す唯一の鍵かもしれないのです。

天才作曲家モーツァルトは「型」を駆使して数多くの名曲を生み出し続けました。

例えば「ジュピター音型」(C→D→F→E)というものがあります。古くから多くの作曲家に使われていた「型」ですが、モーツァルトも大のお気に入りでした。

この「型」は、8歳で作曲された交響曲第1番をはじめ、生涯を通じてさまざまな楽曲に使われ、最後の交響曲である交響曲第41番『ジュピター』にも用いられています。短い人生にたくさんの楽曲を作り出した天才の秘密は「型」を使いこなすことにあったのです。

「型」を知り抜き、踏襲することによって、「自分が表現したいイメージ」の核心にすばやく到達し、しかもその「型」を破っていく。貴重な時間を消費して「よくある話」を作ってしまう愚を避けるには、逆に「よくある話」のパターンを土台にして自分だけの「どこにもない話」に変えていくことです。

最も悲惨なのは、古今東西のストーリーで頻繁に使われている代表的な「型」を知らないこと。そして、長い歴史を通じて人類が築き上げてきた物語の基礎工事たる「型」の合理性に無自覚なこと。

誰もが知っているおなじみのパターンを応用して、誰も見たことのない世界を無尽蔵に生み出すにはどこをどう使えばいいのか? 何に注意して書けば能率的なのか?

「型」を軽んじてはいけません。それは神話にも登場するほどの歴史を持つ、何千年にも及ぶ人類の遺産です。

新しいものを生み出すためには伝統を知らなければなりません。いったん型に嵌めることで、初めて反発が生まれ、型を破ることができるのです。

試してみましょう。気に入らなければ使わなければいいのです。「型」を知ることにリスクはないはずです。

 

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物語を動かす悪の動機

物語を突き動かす「悪」の動機~悪を生み出す6つの「欲望」とは?

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物語の登場人物が行う全ての行動には理由があります。中でも特に重要なのが「悪事」とその動機。

「善なるもの」ばかりを書いていても「面白い物語」にはなり得ません。エンタテインメントにおいては「悪事」は華その「悪」を生み出すものは「欲望」です。強い欲望こそがストーリーに命を与え、前に進める推進力を生み出します。

そこでこの講座では、その「欲望」を解明するために、「欲望」が人の心に忍び込むための隠れ蓑として利用する「人間の欲求」についてまず考えます。

心理学者マズローの学説が、あなたの物語の登場人物に悪の刺激を与えてくれることでしょう。ぐっふっふ。
いざ目を覚ませ、心の中のモンスターたち!

マズローの欲求段階

物語の上で起きる事件には「動機」が必要です。というよりもむしろ「動機」こそが事件を生むのです。そして、あなたの物語に「人間性」を与えるのは、まさにこの「動機」です。読者が衝撃を受けながらも納得できる動機を見つけたとき、あなたの物語の登場人物は実在の人間を超えるのです。

そんな「動機」を生むのは「欲望」です。そしてその「欲望」が模倣するのが人間が本来持っている「欲求」です。「欲求」はアクションのきっかけとしては非常に使いやすい要素です。

しかし、ご注意ください! 「欲望」と「欲求」は似ていますが明らかに違うものです。

「欠如しているがゆえにそれを必要とする行為」が「欲求」であるのに対して「欠如とは関係なく欲しくなる行為」が「欲望」です。

「欲求」は生命維持の為に必要なものを手に入れる本能です。喉が渇いたから水を飲みたくなったり、空腹だからメシを食べたくなるので、特殊な場合を除いて善悪とは関係ありません。

一方「欲望」は人間の関係性から生まれます。「隣の芝生が青い」というだけで欲しくなります。「友達の彼氏だから」という不条理な理由で誘惑してみたくなるのです。他人の幸福を模倣したい。それが「欲望」の正体なのです。それがために非常に複雑で、その対象は多岐に渡ります。

注意すべきなのは「欲望」が「欲求」のシステムを真似して私たちの意識を騙して行動させるところにあります。「これがなきゃ死んじゃう!」と思ってしまうわけですが、実はそんなものなくたって死にゃしないものがほとんどなのです。

人間を描くために、私たちは「悪の動機」である「欲望」の尻尾をつかむ必要があります。そこで、まずは「欲望」がモノマネする「欲求」についてしっかり認識することが重要です。

「欲求」の研究者、アブラハム・マズローの非常に有名な研究成果を紹介します。

ぜひ、あなたの物語に応用してください。

マズロー(心理学者 1908~1970 アメリカ)

Maslow, Abraham H.

欲求階層説

マズローは人間の欲求を5段階に分類。人間は低次の欲求が満たされると、高次の欲求を満たすように動機づけられているとした。

1.生理的欲求:食欲、睡眠欲、排泄欲など生存に関わる基本的欲求
2.安全・安定の欲求:安全、住居、衣服など
3.社会的欲求:集団に属したり、仲間に受け入れられたりすること
4.自我・自尊の欲求:尊敬されたい、名声を得たいなど
5.自己実現の欲求:自己の能力を発揮して目標を達成すること

本講座では、これにさらに

6.自己超越の欲求:現状の自分の限界を超える

という説を加えて、以下の6つの欲求段階から「動機」となる欲求を選ぶことにします。

※あくまでも「ストーリー作り」のためにまとめたものです。純粋なマズローの理論そのものとは微妙に異なる点があるかと思われます。従って、学生諸君は試験勉強にはこのまま使わないほうがいいと思いますぞ(笑)

人間の行動の原点である「欲求」(マズローの欲求段階より)

生理的欲求
★サバイバル
★食欲や性欲及び睡眠・排泄・空気・庇護・睡眠への欲求、
金銭欲や、俗にいう物欲など、人間が生きる上での根源的な生理的欲求

安全の欲求
★安心と安全
★自分の身を守るための住居、衣服など、

安全・安定・依存・保護・秩序に関わる欲求

親和の欲求
★愛と帰属意識
★家族の中に居場所が欲しい、愛されたいなど、

自分を暖かく迎えてくれる集団や人を求め、他人と関り、他者と同じようにしたいという集団帰属の欲求

自我の欲求
★尊敬と自尊
★地位や名声を得たいなど、

自尊心を満足させ、自分が集団から価値ある存在と認められ、尊敬されることを求める認知欲求

自己実現の欲求
★自分がなりたいものになりたい。

自らの才能や能力を開花させ、目標を達成したい。
自分の能力、可能性を発揮し、創造的活動や自己の成長を図りたい。
などの欲求

自己超越の欲求
★知識欲と理解欲
★審美的欲求
★調和や絶対的な秩序、偉大なるものとの結びつきを求める。

神になりたい、限界を超えたい、今までや現状の自分自身を超えたいという欲求

以上の「欲求」を模倣して巧みに人の心に忍び入るのが「欲望」です。作者はここをしっかり認識していないと単なる「欲求」だけで「悪」を語ることになりかねません。

「欲望」と「欲求」。この「差異」を嗅ぎ分けることがあなたの物語に深みを与えることでしょう。

 

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主人公の成長戦略

8つのポイントから考える「主人公の成長」戦略

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主人公を成長させたければ、その成長の証拠を具体的な行動で読者に見せなければならない。

1. 成長とは何か?

「成長」とは、時間の経過と共に能力が高まり、かつて出来なかったことが出来るようになることです。

つまり、「昔」の主人公に足りなかった能力を、「今」の主人公は身につけていなければなりません。「オープニング」にはとても無理だったことを、「クライマックス」では達成しなければならないのです。

2. 成長の三大要素

それでは人間の成長にはどんな能力が必要なのでしょうか?

現実の人間は複雑ですが、ここではあくまで物語上での効率を考えて、キャラクターの3大要素とされる思考(判断力)・行動(決断力)・感情(喜怒哀楽)の3つの能力に分類しました。

▼思考「こだわり、信念、信仰、美学など」
・哲学
・価値観
・態度
・見識

▼行動「決断・選択の能力、勇気など」
・行動そのもの
・行動への意思決定

▼感情「喜怒哀楽&恐怖など」
・感情的反応
・感情的気質

この3つの能力をわかりやすい言葉に置き換えると「知恵」「勇気」「人間性」ということになります。

まずはイメージして欲しいのですが、あなたの主人公は物語が終わったときに、どんなタイプの人間となっているのでしょうか。

あなたの理想とする主人公像は「どんな難解な謎も解き明かす、頭のいい人」なのか?

「いかなる危険も恐れない、度胸の据わった人物」なのか?

「一度会ったら誰もが好きになる、人間味にあふれたひと」なのか?

さあ、さっそく主人公からこの3大要素のうちのどれかを奪い取るべし! すると、成長前の主人公は、例えばこんな感じになります。

「信念」の欠けた政治家。
「行動」を奪われた刑事。
「感情」を失った音楽家。

そんな彼らが「力」を取り戻そうとする時、ほら、何かが起こりそうな予感がしてくるでしょ。

3. 精神的な成長でなければダメ

よくやる失敗例として、特訓や偶然、あるいは絶対者からの贈り物など、「外部からの干渉」によって成長させようとする試みが挙げられます。

これには結局、「成長」のための真の効果はありません。特訓シーンに面白いエピソードがある、という場合ならともかく、特訓すれば主人公が強くなるだろうというなあなあの設定では読者は決して納得しないことを知っておくべきです。

なぜなら、「成長」とは即ち「人間としての成長」「心の成長」だからです。「筋肉の成長」や「暗算力の成長」ではないのです。

ハードな訓練の場面を描くならむしろ、「主人公に不足している能力」を露呈させるために描くべきであり、挫折の場面であり、問題点を明示するシーンとして認識すべきです。

絶対者からの素敵で特別なプレゼントはどうでしょう?

藤子不二雄の名作漫画「パーマン」を見てください。普通の小学生が、ある日、空を飛ぶ能力や怪力を手に入れる話ですね。

しかし、超能力の贈り物の果てに主人公が見出すのは、そのギフトに見合う責任とノルマであり、己の限界と絶望なのです。

パーマンは、義務を果たすために今日もパトロールに出かける。一方では相変わらず学校の宿題もこなさねばならず、消耗しきっている。挙句に宿題をコピーロボットにやらせようとする。ズルいぞパーマン!

▲教訓▲「主人公の成長」は、決して外部からの干渉では達成できない。

4. 成長させるために奪え!

それでは具体的にどうやって成長させればいいのでしょうか? それが意外に簡単なのです。主人公のイメージが決まったら、そのイメージに程遠い人物像を造りましょう。

そのためには、まずオープニングで主人公からその『理想像』の最大の魅力を奪い取ってください。

「頭のいい人」からはその「知恵」を。「度胸のある人」からはその「勇気」を。「人間味にあふれた人」からはその「人間性」を。

そして、物語が進むにつれ幾多の試練を経たあなたの主人公は、あらかじめ失われていた魅力を取り戻し、理想像に近づいていく。

お馬鹿さんは深く考えるようになり、臆病者は度胸を身につけ、冷酷だった人は泣き、笑い、愛するようになる。まさにそうなった時、読者は感動を覚えるのです。

さて、それでは、その具体的な「成長の方法」を説明しましょう。

5. 行動しないと伝わらない

主人公の内面を行動で表わすのはけっこうむずかしいもの。間違っても「その時、マサルの心の中に勇気が生まれてきた」とか「優子の頭の中の霧が晴れていった」とか書いてはいけません。

現代においてエンタテインメントなストーリーを作るのならば、当然、物語の2次利用、3次利用まで考えておくべきです。

小説として書いていても、将来的には映画やドラマ、ゲームなどに転用されていくことを計算しておかねばならないのです。そのためには一にも二にも「絵になる行動」を作ることです。

「小説は意識を描写するものだから」というのは今やエンタテインメントを志す者にとって危険な考え方です。そんな都合のよい言葉に甘えて、行動を描くことを怠れば、それは即ち、作品の映像化の機会を失うことに直結します。

また、ことさらに映像化を前提にしなくても、こういう説明的な叙述が、読者の感興を削ぐことはあっても登場人物の内面を決して伝えられないことを知っておくべきです。

6. 共感を生み出すには

読者に共感してほしければ「想像」させることです。そのためには「主人公が実際に行ったこと」だけを描き、その心理は推して知るべし、という方法を取るべきです。

行動の内容とそれを導く状況がしっかり提示されていれば、読者は自分自身の経験から、むしろ容易にその心理を読み解くものです。

7. 「行動」を引き出すための選択肢

「行動」とそこに到る「決断」をわかりやすく伝えるためには『選択』させる、という方法を使うと簡単です。これなら主人公がやるべきことはたったひとつ。二つの「行動」からの二者択一でいいのですから。

その二つの「行動」が、説明の必要がないほど明確に主人公の気持ちを代弁するものであれば、さらに良いですね。どっちを選ぶか? に集中すればよいのでこれなら、読者も他の事に気を回さずに済みます。

8. 「選択肢」の作り方

そんな『選択肢』を作るときは、クライマックスから逆の順番で発想していくのが秘訣。

STEP1. まずは主人公が出会う危機をイメージする。

STEP2. そして、その危機を脱するために必要なものとは何かを考える。

この時、(知恵/勇気/人間性)のどれかから選ぶと発想しやすい。

STEP3.  次に、それでは今選んだ要素の対極を考える。

(知恵であれば無知、勇気なら臆病、人間性なら非情さなど)

STEP4.  そのペアになった2つの要素を「具体的な行動」として表現する。

※例えば「知恵と無知」というペアを
●主人公が難しいクイズに正解する
●主人公は難しいクイズに不正解する
などという「行為・行動」に置き換えてみるのである。それが選択肢となる。

選択肢が出来たら、まずはクライマックスの筋書きを考えよう。特に重要なのは、主人公が危機を脱するくだりである。

STEP5.  大ピンチを迎えた主人公は、危機を脱するために(STEP4)で作った選択肢から正しい方を選択する。

STEP6.  そしてクライマックスで主人公が危機を脱する場面を作る。

STEP7.  クライマックスが出来たら、次に物語のオープニングを作る。

STEP8.  できるだけ物語のはじめの方で、主人公に選択肢を選ばせる。

オープニングの1行目からでもかまわない。

STEP9.  この時、主人公が選ぶのは、クライマックスで選択する行動とは別の方の選択肢である。

順番が逆行していることに注意して欲しいが、「オープニングでは、クライマックスで選ばなかった方の行動を選択する」のである。

こうして出来上がったオープニングとクライマックスを、読者が本来読む順番に組み立てなおしてみましょう。

すると、そこには、「未成熟だった主人公が成長する」道筋が明確に表現されているはず。

最初は誰もが子どもだったのです。子どもはみんな未熟です。だからこそたくましく成長する余地もあるのであります。

あなたがもしも物語の中で、愛する主人公を傷つけまいとして最初から完璧な人間にして登場させると、逆に後から余計な苦労を背負い込むはめになりますよ。フラッシュバックによる回想シーンなどで、成長前の主人公をどうしても描く必要に迫られるのです。

うまくやれば少しぐらいなら許されますが、基本的には……ウザイですよね、フラッシュバックって。特別に回想の雰囲気を出したいなど、はっきりした目的がなければできれば使いたくないワザのひとつです。

例外としては、オープニングで読者を引き込むために、まず強烈なアクションシーンから入ることがあります。その後で、なぜその場面に至ったかを説明するために「主人公の回想」を使うことがあります。構成を前後することによって読者の心を掴む基本テクニックです。

それ以外で使われる回想シーンは構成の失敗による安易な後付けであることが多いようです。何度も過去を説明的にフラッシュバックするぐらいなら、最初にその場面から始めて伏線を敷けばいいのにと私は思います。せっかく「へえーっ」と言わせるチャンスなのに。もったいない。

主人公を愛するのは自由ですが、何のための登場人物かを考えないと、読者にとってはとても共感できない人物になってしまう。思い切り突き放して試練を与えるのが本当の親心なのです。

まず作者のほうが大人になりましょう。すると、不思議なものでキャラクターのほうも自立する。いわゆる「キャラクターが自分で動き出す」という現象が起こります。

創造の神が降臨して、神秘の一撃をぶちかまし、作り物のイメージに命が宿る瞬間であります。なんだか子育て論みたいになりましたが、物作りの幸福はここにあると思います。いかがでしょうか?

*************<例>*************
(STEP1) まず、クライマックスとして「敵と戦うシーン」をイメージしたとしよう。

(STEP2) 主人公を「勇気ある人間」として描きたい。そこで、「敵と戦うシーン」では「仲間のために自分の命を賭ける主人公」を見せたい。

(STEP3) そこで、その対極として「死に怯える臆病な主人公」を考える。

(STEP4) その2つをペアにして具体的な行動で表現すると…

[1]仲間を守るために囮となって敵をひきつける主人公
[2]仲間を見捨てて真っ先に逃げ出す主人公

以上の2つが「主人公の成長」を表現するために必要な『選択肢』となる。

(STEP5) まずは第2の選択から。クライマックスで、危地に陥った主人公は[1]仲間を守るために囮となって敵をひきつけるという行動を選択する。

(STEP6) その行動によって主人公と仲間は危機を脱するという展開にする。

(STEP7) クライマックスが出来たら、物語のオープニングを作る。
読者を引き込むために、主人公の戦闘シーンから始める。

(STEP8) オープニングの1行目から主人公は危険に直面しており、
[1]仲間を守るために囮となって敵をひきつける
[2]仲間を見捨てて真っ先に逃げ出そうとする

以上の選択肢から行動を選択せざるを得ない状況にいる。

(STEP9) この時、主人公が選ぶのは、クライマックスで選択する行動とは別の方の選択肢。つまり…

[2]仲間を見捨てて真っ先に逃げ出そうとする

である。この選択により主人公の臆病ぶりを提示する。

「最前線から怯えて逃げ帰る主人公」を描いておくことにより、後日の成長ぶりをより印象的に読者に伝えることができるのだ。

さあ、これであなたも主人公の親?

 

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主人公の成長

読者に感動を与えるために主人公が行うべき秘策とは?

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主人公は変化・成長しなければならない

なぜなら、それが人間を描くことだからであり、感動の焦点だからじゃ。ここでは、具体的に何を書けば「主人公の成長」を表現できるか? について研究している。コツは「選択肢」にあった。

主人公の成長

ぴこ蔵
「さて、物語に『魂』を注入するとしよう。つまり「テーマを表現する」ということじゃ」

ブンコ
「えーっ? そんなこと考えてないよー」

ぴこ蔵
「考えていなくとも、物語である限り自然に備わっているものじゃ。中でも「主人公の成長」を明確に描くことは読者に感動を与える大事なテーマの一つじゃ!

ただし、ここで気をつけたいことがある。成長するためには、主人公が「行動」することが重要なのじゃ。しかし「行動」で表わすというのは実はけっこうむずかしくて、“具体的に何をすればいいのか分からない”という場合が多いのじゃよ。

そこで、ここでは手っ取り早く「選択」という方法を使うのじゃ。あらかじめ、主人公が取るべき行動を2つの選択肢にしておいて、主人公に「選択」させるわけじゃな。

その選択肢は「テーマを表現するために主人公がしなければならない行動」とは何かを考えることによって作り出せるのじゃ。そして、この選択は2度行われなければならない」

ブンコ
「へっ? 2度? どーして?」

ぴこ蔵
「『最初の選択』と『第2の選択』で同じような内容の選択肢が提示され、主人公はそれぞれ違う選択をする。最初は未熟な思考によって誤った選択をする。2回目は何事かに開眼して見事に正解を選択する。そのことによって主人公の「成長」を明らかにするわけなのじゃ。

応用としてわざと同じ選択をすることで「成長」を見せるという、読者の予想の裏をかくひねりを効かせた高等テクニックもあるが要はさまざまな意味での成長を具体的に例示できればよい」

ブンコ
「つまり、主人公に同じようなシチュエーションで2回、次に起こす行動を選択させるわけだなー。で、1回目の選択はいつやればいいの?」

ぴこ蔵
「できるだけ最初の方じゃ。オープニングでもかまわん」

ブンコ
「どんな選択肢を作ればいいの?」

ぴこ蔵
「主人公の性格を説明し、その未熟さを表現するために、ストレートに欲求を表わす選択をさせるのじゃ。例えば『主人公は空腹を感じたのでパンを盗んで食べた』みたいな」

ブンコ
「それじゃあ、2回目の選択はいつやんの?」

ぴこ蔵
「これはちょっと難しいぞ! 物語の後半で、どんでん返しが起こった直後じゃ。このタイミングで1回目の選択とは逆の選択をするのじゃ!」

ブンコ
「逆ってつまり、食べたパンを吐き出して空腹になるってこと?」

ぴこ蔵
「違うわいっ! 空腹でもパンを盗んだりしないということじゃっ!」

ブンコ
「なんだ、簡単じゃん」

ぴこ蔵
「そして、実はここでもうひとつ注意点があるのじゃ」

ブンコ
「まだ~?」

ぴこ蔵
「なぜ2回も選択する必要があると思う?」

ブンコ
「だから、1回目と2回目で別の選択をすることで主人公が成長したことを伝えるんでしょ? 最初は盗んだパンにかぶりついてた奴が、大人になったんで、腹が減ってもパンを盗まなくなるわけだ」

ぴこ蔵
「読者はそう感じるわけじゃが、作者は反対に考える。つまり『第2の選択』で「成長した主人公」を表現するわけじゃから、そのために『最初の選択』は『未熟な選択』でなければならん」

ブンコ
「なるほど! 最初から完成された人格を持った主人公は変化しづらいけど、主人公が未熟だと成長させやすいってことだー」

ぴこ蔵
「その通り! 最初、主人公は未熟であること。成長の余地を残したキャラであることが大事なのじゃ」

ブンコ
「そこであんまり主人公に自分を投影しすぎないようにしないと、つい立派すぎる主人公を作っちゃうおそれがあるんだよね」

ぴこ蔵
「最初から完璧に描いてしまうと、どうしても無理が来るのじゃ。成長させようとすると想像力が追いつかず絵空事になってしまう。

それから、無意識というのは怖ろしいものでな、主人公が自分と一心同体になっておると、その身をまるで我がことのように心配してしまうことがある。

せっかく作った、鋭いガラスの破片で覆い尽くされた床。なのに、主人公は靴底に分厚い鉄板の入ったブーツで走ったりしてしまう」

ブンコ
「あうっ! だって痛そうだったから……」

ぴこ蔵
「毒蛇うようよの穴に落ちた主人公が、誰一人噛まれてもいないうちからさっさと火炎放射で蛇を焼き尽くす」

ブンコ
「げげぶっ! だって気持ち悪すぎるんだもん……」

ぴこ蔵
「じゃあ登場させるなっつーの!」

ブンコ
「確かにあたしの主人公にはびっくりするほど説得力ないっすよ。厚着してたらふく食わせて走るのイヤだからドラゴンにまたがりますよ。ああそうさ、自分に甘いから主人公も過保護さ!」

ぴこ蔵
「それでは読者が可哀想じゃ。なんで他人が楽な思いばかりする話を読まされて『これぞ今世紀最大の冒険!』とか言われなければならんのじゃ。読みたいのは裸足でガラスの破片の上を疾走する主人公の痛みであり、感じたいのは蛇に噛まれてふくれあがる顔面の苦しさなのじゃ。しかしお主の主人公と来たら、全然ピンチになったりしない。いつもカッコつけて説教するばかりじゃ」

ブンコ
「そーいえば、主人公が悪党どもに説教するシーンをお姉ちゃんに読ませたらいつもあんたが親に言われてるセリフだってぬかしやがってさ、頭に来たからお姉ちゃんの柿の種チョコ食べてやった。ガハハ」

ぴこ蔵
「何をやっとるんじゃ!」

ブンコ
「そんな、ちょっと未熟な私でした」

ぴこ蔵
「最後まで未熟では意味がないので、ちゃんと成長させることじゃ」

ブンコ
「あたしがなかなか成長しないのはどーしてだ?」

主人公の成長のキッカケは「他人の指摘」で!

ぴこ蔵
「さて、主人公はある時、成長しなければならん。おぬしとその主人公がなかなか成熟しないのは、成長の仕方に説得力がないからなのじゃ!」

ブンコ
「ギクッ!」

ぴこ蔵
「おぬしの主人公は、自分の未熟さにあまりにも都合よく気づいてはいないか? なんのキッカケもなしに突然目覚めてはいないか?」

ブンコ
「そういえば、家族総出で大掃除やってる時にあたしゃ隠れてマンガ読んでてさー、『遊んでるんだったらみんなの昼ごはん作れ』 って親に命令されたんだ。

だから『あたし料理が下手だってことに今突然気づいたから』って断ったら、『そんなのみんな昔から気づいとるわっ』『こっちは死ぬ気で食ってやると言ってるんだ』『ただ死ぬ前にお前の首だけは絞めさせてもらうからな』家族全員にツッコまれて血の涙流したこともありましたっけ」

ぴこ蔵
「うひょひょ。素晴らしい経験ではないか。そもそもおぬし、小説でも、小手先のギャグで逃げようとして結局失敗するじゃろ?」

ブンコ
「いくら師匠でもそんな質問には答えねーぞ!」

ぴこ蔵
「主人公は自分の未熟さに自分で気づいてはならないのじゃ。だってあまりにも嘘くさいではないか! 成長のキッカケとは、まさにどこかの誰かさんみたいに、必ず『誰か他人の指摘を受ける』ことなのじゃ!」

ブンコ
「耳が痛いよーしくしく」

ぴこ蔵
「それじゃ、その痛みが大事なのじゃよ! 主人公には思いっきり恥をかかせよ。ムチでしばけ。痛みを伴うことによって読者は主人公の気持ちを共有できる。同じ経験、同じ胸の痛み、同じ辛さを感じたとき、読者は主人公に共感してくれるのじゃ」

ブンコ
「ある意味、主人公はダメ人間のほうがいいんだね」

ぴこ蔵
「そういうこと。そして他人から容赦なくそのダメぶりを『指摘』されることが成長への近道となる!」

 

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『生成AI時代のストーリーテリング』

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